今朝、ホームレスの人にお金を渡した。駅に時々いる人だ。頭を抱えて地面に座っている。何百人が彼を無視する。当たり前の風景だ。どうしても今日は、彼を無視したくなかった。

朝、自己否定で苦しんでいる人を書いた文章を読んだ。しんどい文章だった。もちろん文章の人とホームレスの人は何の関係もない。けど何かしたかった。自己否定をしている様なホームレスの彼に何かしたかった。

彼に渡したのは300円だ。300円が彼を救うとは思えない。いいことなのかも分からない。300円でお酒を買うかもしれない。彼の生活は変わらないだろう。だけど伝えたかった。私にはあなたが見えます、と伝えたかったのだ。

「おはようございます」と声をかけた。彼は顔を上げて、私を見た。