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お母さんと酒粕

お正月に母が作ってくれる甘酒が飲みたくなった。それなのに肝心の酒粕がスーパーに置いてない。

そのことを母に話した翌週
実家に行くとバスケットボール大ほどの酒粕が
どーんと用意されていた。
2キロあるらしい。


「いるやろ?(要りますよね?)」
そう言いながら酒粕をジップロックに
ざくざく詰め込んでいく母。


Lサイズジップロック
三分の一程の量になったところで
もういいよ、ストップ!というが
母の手は止まらない。

私一人暮らしだしさ、
冷蔵庫小さいしね。
お母さん、ね、もういいよ…


結局、Lサイズジップロックの
半分ほどまで詰め込まれた
酒粕を持って帰ることになった。



母がくれた酒粕は
造り酒屋で販売しているもので
お酒の風味がしっかり感じられて美味しい。


初日は甘酒を作った。

次の日はマグカップに酒粕のかたまりをいれ、
お湯に注ぎ、即席甘酒で飲んだ。

まだある。
まだまだある。
握り拳6個分くらいある。


冷蔵庫で数ヶ月保存可能らしいので
そう焦る必要はないのだが、
美味しいうちに完食したいという思いが先走ってどうしても焦ってしまう。


お味噌汁に加えても美味しかったし
無調整豆乳に溶かしても美味しかった(味噌も入れてスープっぽくする)

まだあるだろう、
まだあるはずだ酒粕レシピ。


何かないか考えていたら
酒粕を砂糖につけ、
ちびちびと食べてる母親を思い出した。

初めて見た時は驚いたけど
甘酒と何が違うかと聞かれたら
水分量が違う程度なので理にかなっているのかもしれない…


すごく美味しそうに
ちびちび食べていたんだよなぁ。
でもさすがに私はしないな。

そう思いネットで酒粕レシピを調べていたら
「おすすめはそのまま食べることです。
お砂糖につけて食べても美味しいですよ」と書いてある。

酒粕のビタミン、酵母、酵素は熱に弱いため
そのまま食べることで余すことなく栄養価を摂取できるらしい。


ということで私は今、
きび砂糖つけた酒粕のかたまりを
ちびちびと食べながらこれを書いてます。
美味しい。

黒糖を包んで食べたら
コクがプラスされて美味しいだろうな。

あんこと一緒に食べても美味しいらしいから
近所のスーパーで売ってる手作りあんこと一緒に食べてみよう。(あんこは絶対つぶあん派)




口に運ぶたび、
母が美味しそうに食べていた表情を思い出す。
その表情を思い出してかわいいな、と思う。

ここ数年で両親のことを愛おしく感じる瞬間が増えた。

かわいいな、とか
愛しいな、という感情。

私が一人で暮らしていて
一定の距離があるからこそ感じられる
貴重な感情なんだろう。

いつかまた一緒に暮らすことになったら
いざこざが沢山あるだろう。
生活を共にするとはそういうことだもんな。

歪みあったり、
顔も見たくなくなったり、
そんな時もかならずあるだろうけど

今のこの感情をしっかり覚えていたいなと
酒粕をちびちびと食べながら思った。



















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