[小説]能登の夏-辛いから、頑張る!-⑤

 ヒーミーは、ずっとぐるぐる考えていた。その次の瞬間、丸まげの部分を結う練習を始めた。
「次があるんだから!」
ヒーミーは、夜、部屋で1人で泣いていた。
「と言っても、中止は辛い。…でも、泣いとっても、頑張るしかないがやちゃ」
と次に期待した。
 ノロシーは、この後、キリコを9月に出せると自治体から聞いて、嬉しくなり、どんどんと組み上げて、キリコは完成。
「やった~。これで、9月に出せるぞぉ!」
ノロシーは、ここに残っていてよかったと思った。
と言うのは、金沢に引っ越すかどうかの話があったからだ。ノロシーの家は金沢で、実家の祭り師ということ。実家が地震で全壊だったので、みんなで金沢に引っ越そうという話が出ていた。それでもノロシーは、珠洲に残ることを決めた。それは、ノトーやタカ、ヒーミーも同じ。タカとヒーミーは、家は、滑川。ホタルイカで有名な場所である。タカの実家は、半壊。ヒーミーの実家は、全壊だった。
来週から、実家の公費解体作業が始まる。ノトー、ノロシー、タカ、ヒーミーは、未来に期待する。
「このキリコが、復興の足がかりになってくれれば!」
「来年、丸まげ祭り、やるじゃ!」
「伴旗も立てる!」
「オー!!」
4人の表情は、明るい。復興への一歩が始まる。
              (終わり)

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