とある若者：
　昨日もだったんです。オレがテーブルのオレの椅子から立ち上がって、スマホをポッケに入れて、２歩進んだら、あの気色の悪い、ねちょっとする感覚……。米つぶを踏んづけたんです。アイツが悪いんです。うちの妹が。アイツ、昨日もテーブルの下に米つぶ落としてたから、「きれいに食べろよ！」って、忠告したんです。それなのに、さっきまた、昨日と全くおんなじように落としたままにしてたんです。だから、「きったねぇなっっ！」って、つぶやいちゃったんです。

とある少女：
　でも、すごく感じの悪い言い方だったんです。ぜったいわざとです。
　アニメとか、漫画のお兄ちゃんって、妹の面倒見が良くて、妹に甘いのに、うちのお兄ちゃんは全然そんなんじゃないんです。六つも歳が上なのに。最初は譲るふりをして、いつも最後には本気勝負で負かしてきます。
　しかも、お兄ちゃんだって結構、自分も落としているんです。むしろお兄ちゃんのほうが落としているんです。テーブルの上にも下にも、おやつに食べたカップラーメンの汁とか短い麺とか、朝ご飯の味噌汁の野菜とか。べちょっとしたものを何回も、何回も。でも、わたしはいつも我慢してるし、いちいちこんなに感じ悪く文句を言ったりしないんです。食器洗い機にお皿を並べるときも、わたしは手が届かないから、奥からお皿を並べてって言うのに、いつも、……

とある若者：
　それなら、その時に１回１回言えばいいだろうに、アイツは今になって言ってくるんです。オマエっ、その時に言えばいいやん！

とある少女：
　え～～、だって、お兄ちゃんすぐ自分の部屋に消えるやん。（それにホントにいつも我慢してあげてるんだよぉ～～・・・・・怨）

ギャラリーの心の声：
（とある若者よ、いちいち言うかまとめて言うかは文化の違いだ。
　足の裏中ご飯粒だらけになってしまったかのように、がみがみ妹を責め立てているあなたのこの度の腹立ちの原因は、たった、米つぶ１つぶ２つぶの、ちいさなちいさな物体だよ？）

わが家だけの傾向だろうか？

乳歯が生えるとき、６歳臼歯が生えるとき、永久歯に生え替わるとき……
歯が生えるとき、なぜ人はこうも、性格が悪くなるのだろう……
昨日から親知らず生やし中の、とある若者
（はやく完全に生やしてしまってよね）

収束。
とある若者は自分の部屋へ。
とある少女はついたての中へ。

とある少女：
　（ついたてのうしろから、）もぉぅ、好かんねぇ？

ギャラリー：
　そうやねぇ。

（とはいえ、とある少女さん、子どものみなさん、食べた後はなるべく振り返って食卓の周りを見ましょうね？そしたら、片付け係も助かります。）