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親が亡くなる前にやることリスト

親には元気で長生きして欲しい。
そう思ってもいつかは終わりを迎えてしまう。
その前にやっておく事を調べてまとめました。

親が亡くなる前にやることリスト

【お金に関してやっておくべきこと】

〇まとまったお金を銀行口座から下ろす
〇貸金庫や定期預金を解約・銀行や証券の口座を集約する
〇金融機関の口座情報や暗証番号を確認する
〇光熱費やクレジットカードの引き落とし口座を確認する
〇加入保険の確認

【相続に関してやっておくべきこと】

〇親の家を片付ける・生前整理
〇相続財産を把握する(財産目録を作成する)
〇相続税の試算をしておく
〇戸籍謄本を取り寄せる
〇不動産や銀行口座などの名義変更を行う
〇遺言書を作る

【葬儀・お墓に関してやっておくべきこと】

〇葬儀やお墓について親の希望を聞く
〇葬儀社や葬儀プランを選ぶ
〇遺影用の写真を撮る
〇お墓の承継について決める

【親が亡くなる前にしてあげられること】

〇人生の最期をどう過ごしたいか親に聞く
〇一緒に過ごす時間を増やす
〇思い出話をする
〇感謝の気持ちを伝える
〇元気なうちに写真を撮る

--------------------------------解説---------------------------------


【お金に関してやっておくべきこと】

まず最優先で対応すべきなのが、お金に関すること。親が亡くなると親名義の銀行口座は凍結されてしまい、口座に入っているお金や定期預金は下ろせなくなるため、早めにある程度の現金を手元に確保しておこう。

〇まとまったお金を銀行口座から下ろす
故人の銀行口座が凍結されるタイミングは、銀行が名義人の死亡を把握した時点で、市区町村の役所に死亡届を提出した時点ではない。公的機関である役所と金融機関である銀行は、相続の手続きにおいてまったく連動していないから。
そのため、親が亡くなった後もしばらくは銀行口座からお金を引き出すことは出来る。そして親が亡くなった後に銀行口座からお金を引き出しても、刑法上の罪に問われる事はない

しかし相続財産を独占したとして他の相続人と揉めることがあるため、親が亡くなる前に引き出したお金の使い道をきちんと記録しておくことで、のちのトラブルを避けられる。

〇貸金庫や定期預金を解約・銀行や証券の口座を集約する
親の死亡後は貸金庫の中身も預貯金も相続財産となり簡単には使えなくなる。亡くなった方の預金口座の解約手続きは想像している以上に手間と時間がかかるため、あまり使っていない口座は亡くなる前に解約し残高を集約をしておく。

契約者である親本人が窓口に行けばどちらも簡単に解約できる。
しかし子が代理で解約しようとすると、委任状など各銀行の定めるさまざまな書類(戸籍謄本、印鑑証明書、遺産分割協議書など)が必要となる。
トラブル防止のために金融機関では口座解約にあたってのルールが厳格に定められており、不足書類や記入漏れがある場合には一切手続きを受け付けてもらえない。また、印鑑証明書は有効期限が定められており期限を過ぎてしまった場合には再度取得をする必要がある。

金融機関の窓口または郵送で手続きをするが、中には取引のある支店の窓口まで行かなければ解約手続きができないというケースもある。学生時代や結婚前に地元の金融機関で作った口座がある場合には要注意。

他にも、旧姓の名義での口座や屋号付きの口座がある場合は、より一層負担が掛かるので亡くなる前に口座の整理をしておこう。

親が元気なうちに解約手続きを済ませておき、いざというときにすぐ引き出せるようにしておくと良い。

〇加入保険の確認
親が生命保険に加入していた場合は、死亡時に保険金が支払われる。
加入している生命保険がある場合には受取人に誰が指定されているか確認しておく。

土地や預金・株式などは、亡くなった方の相続財産として相続人の間でどのように分けるかの遺産分割協議を行い財産の取得割合を決めることになるが、生命保険は保険契約に基づき指定された受取人の固有財産として扱われるので遺産分割の対象にはならない

《相続発生後にトラブルになりやすい受取人のケース》

  • 離婚後に変更をしておらず、前配偶者が受取人のままになっている

  • 結婚前に契約したため、高齢の親が受取人になっている

  • 受取人が既に死亡している

  • 子や孫が生まれ、家族構成に変化があった

《生命保険の受取人の変更》
保険会社へ連絡し契約者本人が変更手続きをする。
受取人単独の意思では変更することが出来ない。

受取人に指定できる人は、原則「配偶者又は2親等以内の血族」。
しかし孫や甥姪など相続人以外を指定することも可能
また、保険会社によっては婚約者や内縁の妻などを指定することが可能な場合もあるため、事前に保険会社に確認すると良い。


【相続に関してやっておくべきこと】

親の死後、遺族にとっての大きな仕事の1つが遺産相続。少しでも負担を軽くするためには、親が生きているうちにできることを済ませておくのが良いだろう。

〇親の家を片付ける・生前整理
親の家の片付けは、相続手続きの第一歩。相続財産を正確に把握するためには、通帳やカード、土地の権利証などの資料を漏れなく見つける必要があるからだ。金庫・引き出し・棚・仏壇など大事なものが保管されていそうな場所を中心に整理整頓を進めよう。

また、本人にとっては思い出の大切な品であっても、家族にとってはそうでもない事もあるため、亡くなった後を見据えて生前のうちに処分・換金できるものがないか確認をしておこう。
一方で大切なものに関しては、亡くなった後に『形見分けするもの』『処分しても問題ないもの』『売却・換金すべきもの』について家族に伝えておくだけでも、遺された家族の手間と心情的な負担は減るだろう。

また、デジタル化が進んだ現代では物理的な財産の他に、デジタル化された情報の整理が必要な場合がある。

《生前に整理を検討すべきデジタル財産》

  • 写真や動画などの保存、処分

  • SNSやブログなどのアカウント情報の整理

  • FXや仮想通貨の口座整理

  • ネット専用銀行、証券の口座

  • 電子マネーやポイントアプリの整理

  • サブスクスクリプションの解約

SNSなどの各種アカウントやPC・スマホといったデバイス内のデータ削除には、基本的にパスワードやIDの入力を求められる。
遺された家族が困ることのないよう、生前にデジタル財産を整理するとともに、それらの情報を記しておくことも必要だ。

〇相続財産を把握する(財産目録を作成する)
どこにどのような財産があるか遺された家族が分かるよう、財産目録を作っておこう。

財産目録とは:その方が保有している全ての財産の内容が分かるように一覧でまとめたもの。『どこに』『何が』『どれだけ』あるかを特定できるように情報を記載しておく。

特に親と別居をしている場合には、『親がどこにどれくらいの財産を持っているか』把握することが困難なため、親に話を聞くだけではなく金融機関や保険会社にも直接問い合わせると、正確な情報を得られる。

財産目録に記載する事項は、プラスの財産とマイナスの財産があるが、大切なのは『すべての相続財産を漏れなく把握』することである。

《財産目録に記載する事項》
プラスの財産:土地・家屋・預貯金・上場株式・非上場株式・出資金・投資信託・債券・ゴルフ会員権・貴金属・美術品など
マイナスの財産:借金やローンなど

マイナスの財産がプラスの財産を上回ると、相続により負債を抱えることになる。このような場合、子は相続を放棄したほうがいい。相続を承認してから借金が見つかると子は借金の返済義務を免れられない。相続財産を調べるにあたっては間違いがないよう弁護士や税理士など専門家の力を借りると良いだろう。

〇相続税の試算をしておく
相続税は、亡くなった方の財産が基礎控除を超える場合に発生する。

基礎控除:3,000万円 + 600万円×法定相続人の数

《例》
父親が亡くなり、法定相続人が母親と子2名の場合
3,000万円+600万円×3人=4,800万円が基礎控除

相続税は現金・一括納付が原則。
相続税の申告・納税期限:故人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内。期限を過ぎると、翌日から延滞税が発生する。

相続税の税率:10%~最高55%

相続税がかかりそうな家庭は事前に相続税の試算を行い、納める税金がどれくらいになるか把握しておこう。

〇戸籍謄本を取り寄せる
戸籍謄本とは:
出生や結婚、死亡など個人の身分事項が記載された『戸籍簿』の写し

戸籍謄本の請求先:本籍地の市区町村役場。本人などが窓口へ行くと交付請求できるが、郵送での請求やマイナンバーカードを利用したコンビニ交付も可能。
住民票:現住所
戸籍謄本:本籍地と身分事項

《戸籍謄本が必要となる相続手続きの例》

  • 相続人調査

  • 相続登記:不動産の名義変更をする際には法務局へ提出

  • 預貯金の払い戻し:預貯金の払い戻しを受ける際には金融機関へ提出

  • 株式名義変更

  • 自動車の名義変更

  • 相続税申告

  • 生命保険の請求

現在の正式名称は『戸籍全部事項証明書』。
戸籍謄本というのは少し古い呼び方で、現在は多くの役所で戸籍が電子化されているので『戸籍全部事項証明書』が発行されるのが一般的。

戸籍謄本と戸籍全部事項証明書は同じもの
戸籍謄本:戸籍の電子化以前のもの
戸籍全部証明書:電子化後のもの

《戸籍謄本の記載事項》

  • 氏名

  • 出生年月日

  • 戸籍に入った原因及び年月日

  • 実父母の氏名や実父母との続柄

  • 養子であるときは、養親の氏名や養親との続柄

  • 夫婦については、夫や妻である旨

  • ほかの戸籍から入った人については、元の戸籍の表示

  • 届出や申請の受付年月日、事件の本人でない者が届出または申請をした場合には、届出人または申請人の資格、氏名(父または母が届出人または申請人であるときは、氏名を除く)

  • 報告の受付年月日と報告者の職名

  • 請求や嘱託、証書もしくは航海日誌の謄本の受付年月日

  • ほかの市町村長や官庁から受理した届書、申請書その他の書類の送付を受けた場合には受付年月日やその書類を受理した者の職名

  • 戸籍の記載を命ずる裁判確定の年月日

《戸籍謄本を取り寄せる》
相続権を持つ遺族を正確に把握するためには、戸籍謄本を取り寄せる必要がある。戸籍謄本には、ひとつ前の本籍地が載っている。出生時から死亡時まですべてのものが必要になるため、順に本籍地を遡って親の戸籍謄本をすべて取得する。相続時には平均的に4~5枚の戸籍謄本を揃えると言われている。早めに相続人を確認し、住所や連絡先をまとめておこう。

〇不動産や銀行口座などの名義変更を行う
銀行口座や不動産など、親が所有している資産の名義を変更しておくと相続税対策になる。いわゆる生前贈与と言われるもので、生前贈与した財産には相続税ではなく贈与税が課せられます。贈与税にはさまざまな非課税枠があり、うまく活用すれば節税できる。
ただし相続開始前3年以内の贈与については、贈与税ではなく相続税の課税対象になるので注意。親が元気なうちにコツコツ財産を移しておこう。

  • 親の死亡日から起算して3年より前に贈与された資産:贈与税

  • 親の死亡日から起算して3年以内に贈与された資産:相続税


〇遺言書を作る

遺産分割において優先されるのは遺言書の内容だ。精神面でのハードルが高いかもしれないが、トラブルを避けるためには親の存命中に遺言書を作成してもらうのが良いだろう。
遺言書は故人の遺志を示す客観的な証拠として法的な効力を持っているが、遺言書が法的根拠として認められるためには法律に則って作成する必要がある。知識がない場合は司法書士・行政書士・弁護士などの専門家を頼ると良いだろう。一口に遺言書と言っても自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言などの種類があるので、目的や資産状況に応じてどれにするかまずは専門家に相談してみよう。

遺言書がない場合は、法定相続による割合を目安すべての相続人で話し合い分割を決める。これを遺産分割協議と言う。
法定相続による分割はあくまでも『目安』であり、必ずもらえる割合ではない。法律で守られる最低限の遺産の取り分は『遺留分』と言う。

遺留分:相続人が相続できるものとして民法で保証されている最小限度の財産の相続割合のこと。法定相続分の1/2または1/3。遺言作成時には注意が必要。

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長生きして欲しいと思っても、いつかは終わりを迎えてしまう。
その時に慌てないように、事前に準備、情報収集をしておこう。


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