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塞ぐ 1話

青春とは嘘であり、悪である。

青春をおう歌せし者達は常に自己と周囲を欺き

自らを取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。

彼らは青春の2文字の前ならば

どんな一般的な解釈も社会通念もねじ曲げてみせる。

彼らにかかれば嘘も秘密も罪科も失敗さえも

青春のスパイスでしかないのだ。

仮に失敗することが青春の証しであるのなら

友達作りに失敗した人間も

また 青春のど真ん中でなければおかしいではないか。

しかし彼らはそれを認めないだろう。

すべては彼らのご都合主義でしかない。

結論を言おう。

青春を楽しむ愚か者ども、砕け散れ。

高二になってまた生きていくことが辛いと思うようになった。

大学はどこに行くのか

何をしたいのか

そんなこと聞かれても答えれるわけがない

手に持った進路希望の紙は風にあおられている

屋上から見える景色はとても好き

特にこの夕焼け時は誰もがきっと息を呑むだろう

○○:この柵が無ければな、、、

○○:はぁ、、、、帰ろ

??:待ってーーー!

急に誰かの声が聞こえた

??:はやまらないで!

??:なにか悩みがあるなら私が聞くから!

慌てている彼女はスケッチブックを落としたのに構わず僕の方に駆け寄ってくる

○○:、、、勘違いしてる

??:、、、?

小首を傾げる姿はとても可愛くて自然と心音が早く、うるさくなっていく

??:飛び降りない?

どうやらここから飛び降りようとしているように見えたらしい。

あながち間違ってはいなかったみたいだ

○○:降りないです

??:良かったぁ〜( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )ホッ

安心している顔を見てさらに心音がうるさくなってくる

??:私は2年E組の賀喜遥香

そう自己紹介をしながら右手を差し出してくる

○○:、、、、 井上○○です

一瞬フリーズしてしまったがおそらく不自然じゃないスピードで右手を握り自己紹介をした

遥香:○○君よろしくね

すごくスムーズに名前呼びをされ限界になって距離をとる

○○:スケッチブック

どうやら僕の脳みそは動くのをやめたらしい

やっと絞り出した言葉は彼女の足元に落ちている物の名前だった

遥香:あっありがとう

ひとつひとつの仕草は学校の高嶺の花と言われるだけの事はある

自己紹介されたが彼女の名前を知らない人はこの学校にはいないだろう

容姿端麗で成績優秀。もちろん凡の凡の陰キャである僕との接点はない

遥香:ここの景色綺麗だよね

彼女は独り言のように呟いた

その意見にはもちろん賛成だ

このまま近くにいると心臓が疲れそうなので帰ろう

遥香:また今度ね

○○:、、、、、うん

彼女の呼び掛けに蚊の鳴くような声で返事をし屋上をあとにする

玄関を出ると運動部の声が余計大きくなる

うるさくなった自分の心音と他人の声から自分を守るためにイヤホンをつけて曲を聴く

校門を出るとそれだけで少しだけ肩が軽くなったような気がした

聞こえなくなった声とともに心音も落ち着いていく

明日のことを考えるのをやめて曲に意識を向け帰路に着く


この物語はなんの面白みもないただの男お話

to be continued

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