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「FRB=アメリカの中央銀行」、じゃないの? (愚痴日記 第3日)

 また、憂鬱なオンエア日がやってきた。
 
 今日の番組テーマは、アメリカの金融政策。

 今日読む原稿には、
「アメリカの中央銀行にあたるFRBが、インフレ抑制のために、さらなる政策金利引き上げを決定。」と書いてある。

 この間教えてもらったから、原稿の中身は何となく分かった。
 要するに、アメリカ経済は、室温が上昇するインフレになっているので、エアコンのコントローラーを握っている中央銀行が、政策金利を引き上げて、冷房を強くしているというわけよね。

 でも、FRBって何?
 
 原稿には「アメリカの中央銀行にあたるFRB・・・」って書いてあるけど、アメリカの中央銀行は、「アメリカ銀行」じゃないの?
 日本銀行みたいに・・・。
 うっかり質問すると、馬鹿だと思われるので、自分で調べてみた。
 FRBは“Federal Reserve Borad”(連邦準備制度理事会)の略称だという。

「理事会が中央銀行?」
 
 フリーズしてる私を見て、先輩キャスターMが、またマウントを取ってくる。
「FRBっていっても、アメリカじゃ通じない。ホントは"Fed”って言うのは知ってるよね。」と言ってきた。
 
 思考停止。
 FRBなんて知らないし、もちろん、Fedも知らない。
 私、文学部出身だからさ。英語もほとんどしゃべれないし。

「知らないんなら、教えやろう。」
で、Mのレクチャーが始まった。
聞きたくない・・。

「日本の中央銀行は日本銀行だけど、アメリカでは連邦準備銀行(Federal Resreve Bank)がその役割を担っている。ところがこの連邦準備銀行、全米に12行もあるんだ。ニューヨーク、ボストン、シカゴ、サンフランシスコなど全米各地に散らばっている。Federal Reserve Districts(地区連銀)と呼ばれることもあるね。」

中央銀行が12もあるの?
それじゃ中央銀行じゃないよね・・・。
ニューヨークとボストンで、違うお札が使われているっていうの?

「でも、経済は一体化しているから、中央銀行も統一する必要がある。ニューヨークとシカゴで、使われているお札が違っていたら面倒だろ。そこで、12の連邦準備銀行を傘下に置く、連邦準備制度(Federal Resreve System:FRS)という組織が構築されていて、本部はワシントンD.Cにある。その最高意思決定機関が連邦準備制度理事会、FRBなんだな。」

やっと、FRBが出てきた。

「連邦準備制度理事会のトップが議長で、日本で言う日銀総裁になる。これに2人の副議長、さらに理事が4人で合計7人。このFRBが12ある地区連銀を一体的に運営し、金融政策を行っているわけだ。」

「でも、理事会が中央銀行って、変じゃないですか?」
 悔しいから、ちょっと反論してみた。

「そうだ。中央銀行を意味するならFRSだ。でも、日本ではそれを動かしているFRBという理事会を、中央銀行と呼んでしまっている。でも、連邦準備銀行(Federal Resreve Bank)の略称もFRBだから、その意味で使っているなら、完全な間違いとは言えないかな。」

ひどくややこしい・・・。

「いずれにしても、アメリカではこうした呼び方はしない。中央銀行を示す場合はFederal Resreve System、長ったらしいので、少し略してFederal Resreve、さらに略して、頭の部分だけとって“Fed”と呼んでる。CNNとかを見てみるといいよ。すごくすっきりしてるだろ。」

 私の頭の中は混乱中です。

「なんで日本では、FRB=中央銀行となっているのか、よく分からない。金融政策がFRBで決められているから、そうなってしまったんじゃないかと思ってる。まあ、視聴者が混乱するから、不正確ではあるけど、番組でも『アメリカの中央銀行にあたるFRB・・・』ということにしているんだ。」

 じゃ、私も細かいことは忘れる。
 「FRB=アメリカの中央銀行」ということにしておいてやる。
 

 

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