『日天』に投稿したものの読まれなかったメッセージの数々#4

「恥ずかしかったこと」

以前住んでいた郊外の街は、平日のお昼間などは駅にも人はまばらで、交通量も少なく、隣接する踏切にストレスを感じることも少なかったのですが、くだり電車がやっと出発したと思ったら、のぼりがやってきたり、特急の通過待ちまであると、急いでる時などはイラっとします。
その日は珍しく自転車で出かけて、あと踏切まで7〜8メートルってところで、「カンカンカン」と鳴り始めました。鳴ってからバーが降りるまで少し猶予があるので、加速すれば何とか渡りきるだろうと、ペダルを強くこぎ始めはしたものの、対岸までは20メートルほどあり、左のバーが先に下りるなら間に合うけど、右のバーが先に下りたら渡りきらないかもと逡巡して、渡るの諦めストップしました。が判断が少し遅かったようで、すでに領域内に侵入してました。焦って自転車にまたがったまま、つま先で蹴って後退したのですが、あれよあれよと言う間にバーが前カゴに乗ってしまいました。バーを持ち上げようと試みたのですが、思いの外重量があって持ち上がらず、自転車を降りて必死に引き出そうとしてもビクともしないのです。そこで自転車を横倒しにして、やっとバーの重荷から解放され引き戻す事が出来ました。
ホッとした瞬間恥ずかしさが襲ってきて、周りを見廻したところ、特に誰も見てなかった様子。良かったぁと気を取り直して出かけました。
ところが、あくる日子供の友だちのお母さんがニヤニヤと近寄ってきて「昨日見たわよ。踏切にはさがってたでしょう。」と。
何と彼女はご主人とちょうどその時車で通りかかって、私の一部始終を目撃したそうなんです。
誰にも見られてないと思ってたのに、よりによって知り合いに見られてたー。車はノーチェックだったー。恥ずかしさがぶり返しはしたものの、「久しぶりに涙流して2人でハラ抱えて笑ったわよ」と楽しそうに語るので、私も何だか可笑しくなって「あらぁ見てたのねぇ、へへへ」と照れ笑いを返しました。
私にとっての災難が人を幸せにしたなら、結果オーライです。はさがり甲斐がありました。
でも危ないので無理に踏切に侵入するのはオススメしません。

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