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阪神、優勝(アレ)す

阪神、優勝!

阪神ファンではないので特段嬉しさはないが、大阪の街の盛り上がりはすごいものがある。優勝当日の電車は誰も彼もが阪神の優勝の話題で持ちきりであった。バ先の高校生もみんなその話であった。

優勝直前に話題になったのが、「アレ」という表現。今期阪神タイガースの指揮を取った岡田監督が優勝を「アレ」と表現したことで、優勝を指す言葉としてファンの間に広まった。その流行の背景には、最後に優勝した2005年から18年間、阪神が何度も順位をひっくり返されて優勝を逃してきた事情がある。明るく調子に乗りがちな関西人の性質が故か、阪神の調子の良い年は前半戦終了時点で「今年は絶対優勝や!!」系の雑誌やテレビ番組が世に出ていたが、こういった特集が組まれた年に限って歴史的な他球団の猛追に遭い優勝を逃していた。こうして、「優勝」の2文字を発することそのものがトラウマとして阪神ファンに植え付けられたのである。

我が国にはこういった、言葉が力を持つという「言霊」信仰が遥か昔から存在する。言霊という言葉は万葉集にも記載があるほど古く、未だに受験期には「滑る」や「落ちる」という言葉を、結婚式では「切る」や「離れる」という言葉を避けたりする。もっとも、ここまでの理屈に則れば優勝を口にすれば優勝となりそうだが、口に出したことを引き金に悪い結果となるのはジンクス(英:Jinx,縁起の悪いもの・こと)信仰の影響もあるのだろう。近年では、創作物においてその言動をとった者がよく死亡する「死亡フラグ」(「この戦争が終わったら結婚するんだ」「ここは任せて先に行け」等を指す)という言葉にもその信仰が連なっている。

言霊やジンクスは力を持つと言われるが、それにも限度はある。プロスポーツは厳しい実力の世界。言葉に出したり出さなかったりするだけでは勝つことができず、実際の行動と結果が全てである。阪神タイガースの面々の実力は賞賛されて然るべきだろう。もっとも、口だけではなく本当に道頓堀に飛び込む阪神ファンの実力には苦笑いする他ないが。

-アカン、優勝してもうた-

今日も人生、超カラフル。

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