碧(みどり)

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最近の記事

忘れえぬ人々 3 Tさんとの至福のナンチャッテ連句作り

 Tさんは知人のお母さんですが、パソコンを覚えたのでメル友になってもらいたいというお話がありました。当時の私は50代、Tさんは80代という異色の組み合わせでしたが、相性が良かったようで、すぐにメル友になりました。  日々の暮らしは変わり映えしませんので何か工夫を、と考え連句を提案してみました。連句は四人で5・7・5を36句作ってゆくものですが、そんなことはおかまいなしで、二人でメールで交互に句を並べて36句にし、一巻として仕上げることにしました。  それが実に楽しかったの

    • わかりあえない生き物、それが人間

       その昔、高校の授業に倫理・社会というのがあり、人間について『性善説』と『性悪説』というのがあると知りました。詳しい内容はすっかり忘れましたが、その単語だけは覚えています。  人間が生まれついていいとか悪いとかの思想はわかりかねますが、人間はどんなに話し合っても多くをわかりあえない生き物だと思います。それは善悪の問題ではなく、ただただそういう生き物だということです。  話し合いというのは、当然主に言葉によるコミュニケーションになります。言葉は人の個々の感覚体験によって意味

      • ポジティブ思考(嗜好)と信仰

         ある信仰に生涯を捧げた伯母が、何か不幸があるとよく言ってました。「このくらいで済んだのは〇〇様のおかげだ」と。反対に何か良いことがあると「こんなに良いことがあったのは〇〇様のおかげだ」と。  「このくらいの不幸」の最果ては、死の訪れだと思いますが、死んだら死んだで「天国へ」「極楽へ」などと〇〇様のおかげで幸せになれる仕組みです。  あれは究極のポジティブ思考、いやむしろポジティブ嗜好というものではないでしょうか。  そういえばフロイト先生は「宗教は阿片」と言ってました

        • 「え? なんでそんなこときくかな」と思ったこと

           人との付き合いの中で、あまり自分語りをしなかったせいか、たまに私自身のことをきかれました。中には愚問だと思うものもありました。  その一つは「どうしてあんな人に惚れたのか?」というのがあります。これは実に典型的な愚問です。とっさに「自己愛でしょうね」と答えたところ「それはそうでしょうけど・・」といぶかしげな顔をされました。  恋愛なんてものは、正気でできるものではありませんから、その理由なんぞを尋ねられても、まともに答えられるわけがありません。  もう一つは「休日は何

        忘れえぬ人々 3 Tさんとの至福のナンチャッテ連句作り

           絵にも悪酔いすることがある

           私はゴッホの有名な絵が苦手です。見ていると気分が悪くなるのです。多分、独特な筆使いによる小さな絵の具の波に酔ってしまうのだろうと思います。もちろん、そうではない絵もあるのですが、あまり魅力は感じません。すごいな、と感心はするのですが。  日本ではゴッホは人気があり、たくさんの人がゴッホ展へ足を運びますが、生前ほとんど売れなかた画家です。ゴッホの絵を好きだと感じる人は実際には少数だろうと思います。絵画史上に名を残している偉大な画家で、作品は超高額ですから、一度見ておこうかな

           絵にも悪酔いすることがある

          自己実現の説明を求められて

           もう、20年以上も前のことです。「自己実現ってどういうことでしょうか」と何度か尋ねられたことがありました。 「さあ・・・何でしょうね。自分で考えるところに意義があるかもしれませんね。」とお茶を濁し、どう説明するのが一番よかったのか、それから時々思い出しては考えて続けています。  最近は「自分らしく生きている、と自分が思えばそれでいいのではないか」と思ったり、「いやいや、その人らしさって案外他人から見て指摘され、そうかな、って思ったり、いや、そうじゃないよ、と思ったりしな

          自己実現の説明を求められて

          この世で一番『かわいい』生き物

           『かわいい』というのは、自分よりも少し弱さを感じさせつつ警戒心を抱かせないやさしくて甘い印象のものに対して抱く感覚かもしれません。  小動物を愛でる人はたくさんいますが、私の場合は、人間の2歳児がこの世で一番『可愛い』生き物だと思っています。よく3歳児までは母親がそばで育てる方がいい(三つ子の魂百までも)という話があり、それが『3歳児神話』と批判されることがあります。  『3歳児神話』にとらわれないことも大事ですが、この世で一番『かわいい』魅力ある生き物のそばでいられる

          この世で一番『かわいい』生き物

          2023年にnoteをはじめて思ったこと

           書いた物を誰かが読んでくれたら嬉しいですが、一番の読者は自分です。なんのために書くかというと、気持ちが集中してきて落ち着くからです。  思い出は、書きながら少しずつ思い出すことが増えてきて面白いです。ただし、嫌な思い出の方がよく覚えているので、気をつけないと芋づる式に嫌なことばかりを思い出して憂鬱になってきます。そんな時は意識して気分転換を。  それからnotoで驚いたのは『スキ』というのが、読まないままに自動的につけられることがあるという点です。また、いちいちバッジな

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          江戸の仇を長崎で討ったかもしれない

           私たちの中学時代(1960年代)、一部ですが暴力的な先生たちがいました。テストの点数が激下がるとゲンコツでゴツン、宿題をサボると教室の後ろで正座、私語にはチョークが飛んでくるなど日常茶飯事でした。時にアル中の先生が気に入らない生徒を授業に使う道具で何度もぶったたくという・・あれは酷かった。今では考えられないことです。  先生から生徒への暴力も嫌でしたが、ある先生の指示で生徒同士がシッペを強要されるのも、とても嫌でした。小テストで隣席の人との点差分、点数で勝った人が負けた人

          江戸の仇を長崎で討ったかもしれない

          明るい長屋と暗い長屋

           江戸時代のことではありません。今から60年前くらいの1960年代の地方都市での話です。幼稚園から小学校低学年の頃、私は長屋に住んでいました。  平屋で部屋が簡単な仕切りで横並びになっている建物です。私の長屋は1世帯に二部屋の4世帯くらいだったと思います。通路と共同の炊事場は土間でしたが建物内にありました。通路の片側は戸が開け放たれていて、昼でも明るかったです。  通路に面した仕切りは障子で縁側があり、開放的でした。夏、縁側に腰掛けて食べたトマトはとても美味しかったです。

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          私の散歩道 #1             東大和市駅の操車場                         

           東大和市駅には西武拝島線の操車場があります。駅を出て線路沿いの松の木通り(赤松並木)を玉川上水駅の方へ10分ほど行くと、右手に車両が見えてきます。    近くには入れませんが、車両がたくさん並んでいて、なかなか楽しい眺めです。その日によって並ぶ車両は少し異なっています。(うまく撮れませんが↓)  松の木通りは整備されている遊歩道です。それほど幅はありませんが、車椅子は十分通れます。途中に(残念ながら排除ベンチですが)ちょっと休憩できる場所にベンチが三つあります。ラッシュ時

          私の散歩道 #1             東大和市駅の操車場                         

          忘れえぬ人々 2 近所のM君

           私が7歳くらいの時のこと。母が近所のM君の家へお茶しに行くというのでお供をしました。M君は同級生でしたが、口をきいたこともありません。親同士は楽しそうに話をしていても、子ども同士は退屈で、私は先に帰りました。  ある日、道の角でM君と出会い、同じ方へ曲がりました。しばらく並んで歩いていると、突然M君が殴りかかってきたのです。とても驚きました。お腹や腕を殴られ苦しかったですが、どうにか走って逃げました。  母に話すと、娘が殴られたのに怒り出すわけでもなく、少し考えてから「

          忘れえぬ人々 2 近所のM君

          すっぱいイチゴ(苺)

           子どもの頃、一度だけ友だちの家の庭でいちご狩りをさせてもらったことがあります。かごいっぱいに小さなイチゴをたくさんつんでとても楽しかったです。  昔のイチゴはけっこうすっぱかった。家で食べる時は必ず牛乳と砂糖をかけてよく潰してからいただきました。最近のイチゴはそれだけで高級なお菓子のように甘い。特に出始めの頃の宝石のように輝くイチゴはとても甘いです。  でも、イチゴもそろそろ終わりかなという頃、たまに八百屋さんに一山500円くらいの小ぶりのイチゴが並ぶことがあります。あ

          すっぱいイチゴ(苺)

          自分の顔がよくわからない

           人の顔がわからない相貌失認とは違います。人の顔は識別できるし、ちゃんと認識できます。でも、自分の顔を思い浮かべるとなると、これがなかなか難しい。  私が自分の顔だと思っているのは、鏡に映った顔と写真の顔、誰かが描いてくれた似顔絵くらいです。鏡に映る顔は実際の顔とは違います。写真の顔は実際の顔ですが、デジタルであってもほんの少し過去の顔です。似顔絵に至ってはあちこちデフォルメされています。  そのためか、自分で自分の顔を思い浮かべようとすると、どこかぼんやりとしてしまいま

          自分の顔がよくわからない

          情報の海を泳ぐ 1  ワクチンの影響?

           たまたま目にしたTwitter(X)からの情報、インフルエンザワクチンを毎年接種している65歳以上の人たち、認知症発症がワクチンをしていない人たちに比べてかなり低いそうです。論文を確認していないので、どういう基準で母集団を選んだのか不明ですが・・どうなんでしょうね。健康への取り組み方の違いを比べてあるのかしら・・  たまたま会った近所の方の話「新型コロナのワクチン接種後、ある高齢者施設の方々にそれまでになかった痛くも痒くもない吹き出物が足にポチポチと見つかっているらしいの

          情報の海を泳ぐ 1  ワクチンの影響?

          創作と現実の距離感

           子どもが幼稚園児の頃、あまりにテレビのヒーロー物に夢中になっているのを見て、私は不安になってしまいました。無粋ではありましたが、「テレビの中のお話はね、大人が子どもにたくさん見てもらいたくて作っているお話なんだよ。」とつい言ってしまいました。怪訝そうな表情の我が子でした。    成長とともに気が付くはずのフィクションとノンフィクションの違い、今はそのグレーゾーンが限りなく広がっています。創造世界と現実世界の境界の曖昧さの中で多くの人が勝手に癒され、そして勝手に傷ついています

          創作と現実の距離感