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〔74〕白頭狸の時務随想 5/22

〔74〕白頭狸の時務随想
 五月十九日から広島で開催された先進七ヵ国サミットが昨日閉幕しました。議長国の日本がウクライナ大統領ゼレンスキーの出席を許したのはいかなる存念か。これについて白頭狸は色々考えました。
 まだ結論を出せる段階ではありませんが、取りあえず念頭に浮かぶのは、広島で開催した今回のサミットの主たる目的が、表向きにせよ世界平和なのに、岸田首相がその場に戦争屋ゼレンスキーをわざわざ呼んだ魂胆はなぜか?
 そもそもウクライナ紛争など、本来わが国にとっては対岸の火事ですから、建て前はともかく本音はどうでも良いのです。というよりも国境を接する隣国としてロシアからエネルギー資源の供給を受けるわが国は、国益上からもロシアと敵対すべきでないことは明らかです。
 旧ソ連の崩壊に際し、新生ウクライナとロシアの国境画定を急いだために両国間に生じた深刻な対立をこれまで傍観してきたわが国が、なぜ今回のウクライナ事変において対露断交に踏み切ったのか、岸田首相の魂胆を探らねばなりません。
 真っ先に浮かぶのは、ゼレンの雇い主の米国大統領バイデン密命を受けていたか、岸田がすすんでバイデンに迎合したか、ですが、両者は因果序列が異なるだけで本質は同じです。
 どのメデイアにおいても、「ロシアが国際協定を一方的に破ってウクライナに侵攻した」とばかり論じるだけで、ここに至る原因を解説したものはほとんどありません。
 これをみて白頭狸が思い出すのは少年のころに観た東映の時代劇です。入れ換えなしですから大抵は途中から観るのですが、青年剣士が抜刀して周囲を一方的に斬りまくる場面に観客は喝采を洩らします。中にはマナーを弁えずに拍手する田舎者もいたので少年狸は不快に感じましたが、それだけでなく、青年剣士の振舞に納得できなかったからです。一巻が終わって最初から観た少年狸は、青年剣士のあの振舞に理由があったことを知り、納得しました。
 今回のウクライナ事変ではマスメデイアも、普段はその反対を謂うユーチューバーも、こぞってゼレンスキーを讃えています。彼らの観ている劇は実は中入り(インターミッション)後の後編で、横暴なるロシアが平和なウクライナに侵攻するところから始まりますから、ゼレンスキーを侵略者と懸命に戦う正義の青年剣士と見立てていますが、白頭狸は逆にプーチンの方に喝采を送りたい気分なのです。
 それは白頭狸がソ連崩壊で始まる前編の序幕から観ているからで、国境画定のときの吟味が不十分のため、不満の溜まったロシアがやがて抜刀するのが頭に浮かんでいたからです。
 狸の見地からすれば、ウクライナ事変の勃発を観た岸田総理が時を待たずに対露断交を宣言したのは、属国の総理として宗主国の棟梁バイデンに己の忠誠心を見せるためか、もっと端的にバイデンからの密命を受けたからでしょう。
 ところが広島サミットの開催中の五月二十一日にロシアがウクライナのパフムトを完全に制圧したと発表しました。世界を回遊して金策中のゼレンスキーが岸田首相に招かれて広島にきたのと、あたかもタイミングを合わせたように見えますが、ロシアの発表に反論したウクライナ軍首脳には余裕が観られず、ウクライナの優勢を信じ必勝を唱え続けてきた広瀬某慶応大学教授を始めとするウクライナ応援団の面々もさえない表情で、本日のテレビ画面に出ています。
 この結果は元陸将補の矢野義昭博士が、予てから予測されていた通りですから、これでひとまずは終りでしょうが、ゼレンに援助を約したNATO諸国と日本はどうするのか、今後の展開は判りません。
 しかし狸は岸田首相に期待しています。理由は五月十九日の銀座の落合莞爾塾講座で話した岸田文男の家系です。同じ内容を目下ユーチューブで放映している戦略思想研究所の洞察帝王学講座で発表しています。

 

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