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人間の非効率さを忘れずに

2023年はChatGPTの出現によって、生成AIが今後の世の中を変えていくであろうことを
感じさせる1年でした。
生成AIのインパクトは、精度と速さにあると思います。それらは、AIの弱点といわれていたクリエイティビティを、高い精度を持って、簡単に超えてきました。
そして、この精度と速さには、人間は確実に追いつけないことを予感させます。

現に、今年の新年のauの英雄シリーズのCMでは、「AIを使ってアニメーションしています」というテロップが入っています。登場人物たちの躍動感は、AIによる映像によって、より一層パワフルになっていると感じられます(かつ、これができるのであれば、タレントさんの肖像権のみ使用すれば、タレントさんのスケジュールを押さえずにCMが作れていくのではと感じさせます)。

AIによる映像が新年の企業CMとして流れてきたことは、2024年を暗示させるものだなあと思わされます。

今後、ますます加速するAIの普及によって考えなければならないのに、私たち人間の生活です。
データを入力すれば、人間以上に高い精度と速さを持って、物事を創造できる生成AIを前に、私たちはどう生きるべきなのか?

社会はますます何が起こるか分からず、変化のスピードも速くなっています。そんな社会には『絶対解』は存在しません。
であるならば、人間も人間にしか出せない回答があるはずです。
例えば、AIには人間の感情の機微が生み出す変数が分かりません。
だから、過去のデータから一般的に正解だとされている答えは出すことは出来ますが、人間の感情的なハプニングを考慮することは難しいと思われます。
トロッコ問題で言うと、数値的回答はできても、感情的な条件(例えばレバーを引く瞬間に、ふいに作業員と目が合えば、5人を助けようとしていた者も躊躇するのではないか)を考慮した回答をすることは難しいと思うのです。

人間には、個人が生きてきた個別具体的な体験や価値観、そして、人間としての本能や感情があります。
この個別具体的な体験や価値観や本能や感情が、人間の武器です。その体験や価値観や本能や感情を磨いていくのが、現代に生きる我々が必要なことではないかと思うのです。
これは、AIの創造力に比べたら、精度も速さも劣ります。
しかし、この非効率さに、人間の価値があると思います。
でなければ、きっと苦しい世の中になっていくでしょう。
AIはAIの創造力で世界を効率化する。
人間は、人間の創造力で世界を非効率化する。
人間の非効率さを失わずに、2024年も歩んでいきたいです。

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