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アイデアは『ウィキッド』から?『バック・トゥ・ザ・フュチャー・ザ・ミュージカル』誕生秘話(2)

2023年3月、ロンドン・ウエストエンドでBTTFを観て、深く感銘を受けました。
私の極限まで弱った精神状態というバイアスがあったものの、BTTFは誰もが夢に見たことを、舞台上で実現させていたからです。

夢と現実の境界に位置する劇場だからこその体験。このリマーカブルな作品はどのように創られていったのでしょうか。

誕生秘話の登場人物は、
前回に引き続き下記の通りです。
●Bob(Gale) 映画BTTF脚本担当
●Robert(Zemeckis) 映画BTTF映画監督
●Alan(Silvestri) 映画BTTF作曲担当
●Glen(Ballard) 映画ポーラー・エクスプレス作詞担当

ミュージカル創作を始めたボブ、ロバート、アラン、グレンの4人。彼らは、独創性のない間抜けな作品にしないための糸口を探していました。

そこでロバートがTwin Pines Mallのシーンについて、彼らに語ったそうです。このシーンは初めてデロリアンが登場し、5分間のタイムスリップが実現したこと、そのためにどのようなものを作ったのか、ドクがマーティに説明するシーンです。

BTTF(1985)より

「例えば、ドクの脳の中を、観客は間抜けなアニメーションのような形で垣間見る。
このアイデアは完成に導くかもしれない。」

この話を聞いて、アランはあるブロードウェイミュージカルの成功から提案をします。原作の映画では描くことができなかった、登場人物のキャラクター性を舞台で描き拡げていく。

ミュージカル好きならば、この情報でピンと来るのではないでしょうか?

そう、”Wicked”です。原作”The Wizard of Oz”では、ほとんど語られることがなかった魔女2人、グリンダとエルファバの出会いを描いた人気作品。2003年にブロードウェイで上演が始まっていました。

Wicked

この二つのアイデアがベースとなって、4人は動き始めました。

楽曲チームのアランとグレンは、台本と共に何度も映画を観て、どこに楽曲を入れるべきか、検討を始めました。グレンは、アランによる偉大なテーマ音楽を、舞台では歌詞とともに誰も聞いたことのない形で届けたい、と考えていました。

このような形でまず、マーティたちが暮らすHIll Valleyの街中で歌われるオープニングナンバー”A Matter of Time”と映画でも登場するオーディションを落選して悲観するマーティが歌う”I’ve Got No Future”(ともに当時の楽曲名)のドラフトを作曲。

これを聞いたボブとロバートは大変満足したようで、方向性が固まっていきました。

To be continued…

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