OpenStreetMapにRTK-GNSSで取得した道路の線形を反映してみた

近場に新しい道路ができました。
公的な地図やGoogleマップなどに情報が反映されるのは時間がかかりますが、みんなで作るOpenStreetMapなら自分で編集してすぐに地図に反映することができます。
ちょうど、高精度な測位が可能なGNSS受信機を持っていたので、軌跡をとってきて地図を編集してみました。
※本記事は日記的なもので、ノウハウの説明はしていません

ビフォーアフター

ビフォー

編集前
下の画像と縮尺が異なりますが、同じ場所です

アフター

編集後
数時間で反映された

データ取得あれこれ

取得データ

こんなのを取ってきました

ブレなく滑らか。
どちらの車線を走っているかもわかる

OSMの編集画面では、こんな感じ

使用したGNSS受信機

使用したのはビズステーション(株) Drogger DG-PRO1RWS(RWP)

AndroidのスマホやタブレットとBlueTooth接続して使うGNSS受信機です。

専用のアプリ「Drogger GPS」を使って設定すれば、スマートにセンチメータ級の測位を実現できるリアルタイムキネマティック(RTK)測位が可能。

2周波測位が可能なため従来の機器、たとえばスマホやハンディGPSよりも誤差を小さく抑えられ、加えて、みちびき(QZSS)のサブメータ級補強信号であるL1S信号も捉えられることから、通信環境がなくRTKできない場所であっても、単独測位だけである程度の精度を保つことができます。

さらに、スタティック測位(いわゆる後処理解析)をすれば、通信環境のない場所でもセンチメータ級の測位結果を得ることができます。
必要なソフトも補正情報も無料で得られます。→参考

※2022年3月現在、タブレットの一部(NECのT08シリーズ)では「仮の現在地情報アプリ」(疑似ロケーション)設定が正常に行えないので注意。
タブレット側の不具合らしく、今後解消するかは不明です。
→2023年現在、解消しています

使用した基準局

今回は通信環境のある場所だったので、RTK測位を行いました。
RTK測位には、基準局からの補正情報と、それを受信するための通信環境が必要です。
基準局としては、今回、善意の基準局を利用させてもらいました。
基準局と補正情報を受信して測位する側(移動局)の距離は10km以内が望ましいのですが、あいにく近隣には善意の基地局が開設されていないので、100km以上遠方のものを選びました。結果として、個人が趣味で利用するには十分な精度(数センチ程度)が安定して得られました。

設備を整えれば自分用の基準局を開設することもできます。→参考(Droggerの場合)

全国あらゆるところに設置された基準局の情報を利用できる有料サービスも複数あります。多くは法人向けですが、一部個人向けサービスもあります。筆者も契約しようか検討中です(2022年5月31日まで利用料金がお得になるキャンペーンをしているようです)

今回は使用したGNSS受信機(RWP)のお値段は約9万円。一昔前にほぼ同等の性能のものを入手しようとすれば100万円はしたといいますから、手の届きやすさが格段に上がっています。補正情報提供サービスもこれまでは月数万円するものばかりでしたが、近年は月数千円のものが複数登場し、気軽に手を伸ばしやすくなっています。

手を伸ばしやすいということは、今後、さまざまな場で使われる可能性があるということです。
今回は、OpenStreetMapの編集に活用しました。
一次産業から三次産業までのすべてに、さらには個人や地域の活動など、ありとあらゆる場で高精度位置情報が活用できる未来を期待しています。

※今後時間があれば、ハンディGPSなど従来のGNSS機器で今回と同じルートの軌跡を取得し、比較したいと思います

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