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「社会不適合者」という言葉について、考えたこと。

以前、「社会不適合者」という言葉について考える機会がありました。

今回はそのことについて、私が感じたことや考えたことをまとめたいと思います。

社会適合者だった。けど、辛かった。

私は大学卒業後、事務員として数年勤めました。正直、その頃の私を思い出すだけで心が苦しくなってきます。

仕事面では特に問題はありませんでした。先輩から教えてもらったことを練習して、そつなくこなすことができました。

ただ、こんな気持ちは心の奥の奥に閉じ込めていました。
「こうした方がもっと効率がいいのでは…?」
「なぜこれをするの?」

新人だから、口答えせずに言われたことをする。それが正解だと思い込み、誰も何も言わない雰囲気に飲まれ、少しずつ、自分の気持ちをないがしろにするようになりました。

その上、パワハラ事務長からの理不尽なお叱り。
2人きりで数時間個室に閉じ込められ、怒鳴られ、私がいかにダメな人間かを聞かされました。

どうしても彼から目をつけられたくない。
その結果、自分の化粧、服装、ネイルにまで、特に好みでもないものを選んでしまう始末。

そこの「空気」にどれだけ馴染めるか。
どれだけ透明人間になれるか。

そんなことをしていた私は、どんどん自分を見失っていきました。


この記事を書くにあたり、「社会不適合者」の意味を調べてみると、こんな定義でした。

社会不適合者とは、「社会からの要求に応えることができず、協調性をもつことが難しい人」を意味する言葉です。
https://hataractive.jp/useful/2006/

協調性をもつ、つまり周りに合わせることができる。そして、空気が読める。

空気を読み、人に合わせ、仕事をそつなくこなし、輪を乱さないことばかりを心掛けていた当時の私は、「社会適合者」だったと思います。

なのに、
適合してるはずなのに、とても辛かった。

表面では適合できても、心の底の底に閉じ込めていた自分の本当の気持ちは、溜まるばかりで、吐き出し口がなかった。

結局、数年で事務員を退職し、カナダへ逃亡しました。


英語で「社会不適合者」という言葉。

私は旦那さんやカナダのお友達から、「あなたはスクエアペグだね。」と言われたことがあります。

気になって意味を調べてみると、「社会不適合者」と出てきました。正直とてもビックリして、ショックでした…(あんなに頑張って適合しようとしてたのに…笑)

旦那さんに改めて「スクエアペグ」意味を確認すると、”a square peg in a round whole” の略で、直訳は「丸い穴に四角い止めくぎ。」

英英辞書の定義では、”someone who does not fit in a particular place or situation”
つまり、「特定の場所やシチュエーションに合わない人」を指すそうです。


やはり日本語で言う「社会不適合者」…

私は旦那さんに、「とてもネガティブな言葉だよね?人間失格みたいな…その社会でやっていけない人みたいな…」と言うと、

スクエアペグはそんなネガティブな言葉じゃないよ。ただそこの場所には合わない、他の人と違うってだけ。必ずしも、協調性がない人を指すとは限らない。

「俺としては、むしろ褒め言葉として使ってる。(私は)日本の社会に流されない選択をしたんだよ。日本という社会に収まりきらなかったって感じ。」

…そんなことを言われ、一気にスクエアペグという言葉が好きになりました。


旦那さんに、なぜ私がスクエアペグだと思うのか、聞いてみました。

私が海外に住んでいるから、国際結婚したから、スクエアペグだ、という意味ではないそうです。

考え方、モノの見方、感じ方など、会話を通して「典型的な日本人ではない → スクエアペグだ」と思ったそうです。(私は自分を、とても典型的な日本人だと思っていますが…笑)

もちろん経験が人の考え方を形作るので、私の海外経験は、今の私のあり方、考え方、スクエアペグになることを手助けしてくれたと思います。

旦那さんに、日本にいる私の友人の話をすると、私の友人はスクエアペグが多いと感じるそうです。もちろんその中には、海外経験のない方もいます。

彼曰く、私の友人は日本の社会にとってクール過ぎるだとか。とても嬉しい気持ちになりました。


協調性があり、社会に適合していることが、正しい生き方?

スクエアペグの話をした後、私の頭に浮かんだのは、1998年に放送されたテレビドラマ「ショムニ」でした。

幼心ながらに、江角マキコさん演じる坪井千夏を見て「カッコいい!あんなふうになりたい〜」と思ったのを覚えています。

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彼女たちはまさに「スクエアペグ」だったんだな〜と感じました。

会社なんかと合わなくて上等。
歯に衣着せぬ物言いで、自分の気持ちに素直。
そこには愛があって、どんな社会にいても、どんな会社で働いていても、最後は自分を大切に、自分の気持ちと向き合う極意が描かれているように感じました。

地球は誰のために回ってると思う? 自分のためだよ・・・お前を見てると最高にイラつくんだよ。
いつも周りにふりまわされて、自分ってものがない。お前はお前、人に合わせて幸せにはなんないんだよ。あんたは会社や男のためにいるんじゃない。あんたのために、男や会社があるんだよ!
坪井千夏(江角マキコ)/シーズン1 第1話

改めてドラマを見返して、こんな言葉に感銘を受けました。


ショムニは、私の中のどこか奥深く、潜在意識辺りにあった、「協調性があり、社会に適合していることが、正しい生き方である。そう生きていれば、幸せになれる。」というような概念を、取っ払う手助けをしてくれました。

坪井千夏が言ったように、人に合わせてばかりでは、幸せになれない。

私が事務員だった頃、必死に人に合わせて、顔色を伺い、空気を読み、空気になった当時、私は自分を心底嫌い、見下し、幸せとは程遠い場所に居ました。毎日が辛かったです。

今思えば、あんなに無理することなかったのに…とさえ感じます。

しっかりと自分の気持ちと向き合い、自分の気持ちを大切にすればよかった。
嫌なことは嫌と認めることを、許せばよかった。
もっと早く、逃げ出せばよかった。

当時受けたダメージは、想像していたよりはるかに大きく、回復までに相当な時間を必要としました。

一回限りの人生。
自分をしっかり愛して、自分をたくさん幸せにしてあげないと、必ず後悔します。


周りに合わせることや、空気を読むこと、協調性を持つこともはとても大切だと思います。

しかし、それができてしまうからこそ、苦しくなってしまったら。周りに合わせて、空気を読んで、いつの間にか自分の気持ちを見失ってしまったら。

そんな時は、立ち止まり、自分の本当の気持ちを探り、自分の気持ちを優先する。「ここは協調性を持たない。譲らない。」と決めることも大切なんだと学びました。

そうして、自分を幸せにして、やがて周りの人も幸せにするくらいの力を溜める。幸せの輪を広げていく。

そう考えると、スクエアペグは、とても社会貢献してるのではないかと思いました。
日本の社会から「社会不適合者」のレッテルを貼られている人の中にも、自分の気持ちを優先したが故に、不適合者になることを、わざわざ選んだ人も居るかもしれません。

そんな方には、「スクエアペグ」を差し上げます。


「社会不適合者」という言葉を生んだ社会。

社会不適合者は必ずしもマイナスではないと感じるのに、ネットには社会不適合者の診断や、直し方まで… 

国民全員が三角や四角ではなく、丸になり、それで全員幸せになれるのでしょうか?人間なんだから、一人一人違って良いのに、それを許さない社会、違いを認めることができない社会に、疑問を抱きます。

違いを認め、そんな人もいるんだと受け入れる。
そして、お互いがwin-winになる策を考える。
それが出来ない会社、個人の幸せを許さない社会は、社会が病気になってると感じます。

そんな社会から生まれた、現代を象徴する言葉が「社会不適合者」な気がします。

この世に不適合な人なんて、存在しないのに。

違いを認められないから、レッテルを貼った社会に憤りすら感じます。


こんな話を旦那さんとしてると、日本社会には良いところも沢山あると教えてくれました。

例えば、日本の文化は “work hard, play hard.”
一生懸命働くからこそ、休みが楽しくなる。

社会が人を丸にしようとするからこそ、その反動で、社会(学校や会社)の外に出ると、人々は個性的になる。三角や四角だけでなく、星や月型が出てくる。

それでもやはり、バランスが大切だという所に落ち着きました。

ライフワークバランスは、水泳のようで、水の中にいる時間もあれば、顔を出して息をする時間も必要。
深く潜って泳ぐ時間、つまり仕事や何かに没頭する時間も必要。

しかし今の日本社会の中には、顔を出して息をする時間を与えられず、潜って潜って、どんどん暗くなり、息ができなくなり、最終的には死を選ぶしかない、と感じる方もいます。

そんなふうになる前に、この記事に出会ってほしい。
立ち止まって、水の上から顔を出すこと、休むことは大切なんだと知ってほしい。
時間をとって、自分の本心と向き合うことは、許されることなんだと知ってほしい。
自分を優しく励ますことは、許されることなんだと知ってほしい。
かつての私が、そうやって生き延びてきたように。

そんなことを考えました。


最後に。願いは、「社会不適合者」という言葉をなくすこと。

私は、「スクエアペグ」という言葉は好きになれても、「社会不適合者」という言葉はどうしても好きになれませんでした。

私としては、単に幸せになりたかった。ありのままの、自分でいたかった。ありのままの自分でいれる場所を探した。
自分の幸せを追求しただけなのに、「不適合者」と呼ばれるのは、正直納得がいきません。笑

言葉の受け取り方一つ、言葉のニュアンス一つで、こんなにも違うんだなぁと感じました。

これからは、「個の時代。」
社会の洗脳を逃れ、わざわざ適合しない方を選び、自分の気持ちと幸せを優先した人のほうが、重宝されると信じたいです。

そんな時代の先には、「社会不適合者」という言葉はなくなり、「スクエアペグ」という言葉が使われればいいな、と願います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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