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ソポクレスのギリシャ悲劇「エレクトラ」&「アンティゴネー」


 ギリシャ悲劇が元になった戯曲やオペラ作品は数多くあります。「オイディプス王」で有名なソポクレスが書いた悲劇「エレクトラ」「アンティゴネー」は代表的な例。

「エレクトラ」は、エレクトラ、オレステスの姉弟が、暗殺された父王の仇を討つ物語。父を殺した犯人が、二人の実の母であるクリュイタイメストラと父のいとこアイギストスという事情がこの物語に深淵さを与えています。

 ホフマンスタールはこの悲劇をもとに戯曲「エレクトラ」を書き、Rシュトラウスが不協和音の多い実験的なオペラを書きました。通常二人は書簡を通じて、協働作業で台本とオーケストレーションを作り上げていくのですが、エレクトラは元々芝居用に完成されたホフマンスタールの台本に、Rシュトラウスが曲を書いているので、台本だけ読んでも味わい深いです。

「アンティゴネー」はオイディプス王の娘アンティゴネーが亡き兄のため死に就く物語。王位を争う彼女の兄達が差し違えて死んだ後、母方の叔父クレオンが王位につき、兄の屍を野ざらしにして哀悼と埋葬を厳禁したのだが、アンティゴネーが宣告を無視して兄を弔ったため死刑になる話。

 この物語はドイツの詩人ヘルダーリンが戯曲化し、それにさらに手を加えてブレヒトが戯曲を書いています。ヘルダーリンの友人ヘーゲルもお気に入りの作品で「精神現象学」にも出てきます。ヘルダーリンの台本をもとに、オルフがオペラ化した歌劇「アンティゴネー」があり、なかなか秀逸でした。

「ギリシャ悲劇とドイツの古典&歌劇」はつながりが深く、掘り下げるのが楽しいです。ニーチェ「悲劇の誕生」もそうですね。

 いつか台本の朗読会企画をしてみたいです。


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