同人誌装丁の備忘録 / 2022-2023
はじめに
前回の記事から大分時間が空いてしまいました。年が明けた頃に……などと言って2024年になっています。確かに年は明けたけれども。
少々私事がバタバタしており疎かになってしまいましたが、今回は個人で制作した同人誌装丁の備忘録を2022年分と2023年分まとめて掲載しています。
2022年は2020年ー2021年に引き続き4冊、2023年は1冊の同人誌を制作・頒布させていただくことができました。その節はお手伝いいただきました方々、また手に取ってくださった方々、本当にありがとうございます。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
2022年①
同人誌制作を始め3年目になり、少しは慣れが生まれてきた頃合いです。本自体の装丁だけではなく、付属するノベルティやブックケースなどにも憧れがあったため、2022年1冊目(1冊目?)の本はブックケース付きの本を制作しました。
そうして制作した2022年1冊目の同人誌がこちらになります。
表紙のイラストでお気づきの方もいらっしゃったかもしれませんが、2020年に自分が初めて発行した同人誌を第2版という形で表紙のデザインを改めてご依頼し、下巻と合わせてブックケース付きで頒布しました。
その際の学びなどを踏まえて今の自分の同人誌制作スタイルが確立されたと言っても過言ではないため、ある意味で思い出深い一冊ではあります。
その際の装丁や組版に関しては下記にまとめています。
上下巻をまとめてデザインしていただいたことで、デザインの統一感を出していただくことができました。続き物の同人誌で同じデザイナーさんにご依頼をされている方は多いかと思いますが、こうした雰囲気の統一という点での良さがあると思っています。
表紙イラストに関しては上下巻ともに群青えんじさん、デザインに関しても同様にitmkさんにご依頼させていただいております。
カバーは今回も箔押しを2種類使用しています。フォントの異なるふたつのタイトル表記で違う箔を使用して、印象の違いが楽しめるようになっています。
遊び紙は上下巻で別のものを使用しています。STARBOOKS×コスモテックコラボレーションのものを使用しており、上巻はピンク色の用紙に金色の箔押し、下巻は白の用紙に透明箔で箔が押されています。
選んだ決め手としては夢主の色(ピンク)とお相手キャラクターの色(白)の要素が大きいですが……実物が本当に綺麗で素敵なので、またコラボ遊び紙が出て欲しいなとひそやかに祈っています。
そして前述の通り、今回はこの2冊をクリアケースに入れて頒布していました。
こちらもitmkさんにデザインいただき、中身の本の表紙とリンクするようなデザインに仕上げていただいています。
クリアケースの透明感・厚みによる頑丈さや特別感は文句なしですが、しいて言うのであればマットPP同様に指紋が気になるところではありますね……。
写真を載せようとしたのですが、反射が凄すぎて載せられず……。うまく写真を撮れたら載せるかもしれません。
続き物の同人誌をひとつのケースに入れる、という特別感が得られますし、ケース付きの同人誌はまた頒布したい気持ちがあります。
2022年②
2022年2冊目(?)の同人誌は奏夢音さんと制作させていただいた合同誌となります。「花」をテーマに夢小説・夢漫画を執筆しています。
これまでは文庫本サイズでのみ同人誌を制作していましたが、今回は新書サイズの同人誌を初めて制作しました。イラストや漫画を収録するという兼ね合いもあり、今までにないサイズに挑戦しています。
その分組版で少し苦労もしたのですが……需要があれば組版についてもいつか記事にまとめようかと思っています。
STARBOOKSさんには新書サイズのプランがないため、オンデマンドカスタムプランにて特寸サイズ(新書サイズ175mm×105mm)を指定するかたちで入稿しています。
それに伴い、本文用紙も普段と異なるものを使用しています。オペラクリームウルトラの使用感は淡クリームキンマリに近いもので、捲りやすさもちょうど良い感じでした。ページ数が多くなればなるほど、本文用紙の捲りやすさが重要になる気がします。厚い紙は捲りにくいので……。
透明箔で時計の模様をイラストの上から押していただいています。
透明箔は下のイラストを邪魔しないので、イラストと組み合わせた際の映え感も段違いですし、よりイラストの魅力を引き出すこともできるかと思います。
2022年③
2022年3冊(?)目の本がこちら。「食事」をテーマにした短編集でした。
3冊目は再び文庫本サイズへ舞い戻っています。
個人的に文庫本サイズにこだわりがあるのですが、本棚に置いた際にパッと見たときに普通の本と混ざって見えるくらいの、市販の本のようなデザインが好き、ということが大きいです。同人誌らしいデザインも好きですが、本棚に並べて眺めていたい性分でして……商業本で好きなデザインは川谷デザインさんです。
今回も前回同様MOBYさんに装丁をご依頼しています。使用する箔についてもMOBYさんにご提案いただき、つや消し金箔を使用しています。
以前使用した金箔とは異なるつや消し金箔でしたが、つや消しによる鈍い輝きが重厚感やシックさを高めています。細かい部分の削れや掠れがまた良さに見えて、箔押しの新たな魅力を感じることができました。
帯にはトレーシングペーパー星くずし白を使用しています。トレーシングペーパーカバーにも言えることですが、特有の透け感による表現が大好きなのですが湿気に弱いことだけはネックかもしれません……。
2022年③
2022年も結果的には4冊(?)の本を頒布することができました。その他薄いペラ本やノベルティ本なども制作していたため、数をこなすことで作業の流れを掴みやすくなったとも言えます。
2022年最後の本も文庫本サイズでした。「眠り」にまつわる短編集となっています。
2023年
2023年に頒布した同人誌は1冊のみとなります。
というのも、人生で初のアンソロジーを企画、頒布ということをしており、ほぼ1年を費やして発行にこぎつけることとなりました。全部自宅の夢CPの夢アンソロジーという暴挙。人生の夢がひとつ叶ったと言っても過言ではありません。
今まで文庫本サイズ、新書サイズと本を出してきましたが、今回は初のB6サイズ本となります。イラスト・漫画・小説などさまざまな作品を掲載させていただくこともあり、初めてのサイズに挑戦してみました。
また、B6サイズ同人誌に関しては多くの方のおすすめなどを散見しており、興味があったというのも大きいです。
先人の方々がB6サイズ小説同人誌の魅力についてはまとめてくださっているので、そちらを引用させていただきます
B6サイズに関しては本文2段組と1段組の選択肢がありますが、ぎりぎりまで迷った末に1段組で発行しました。実物を見た限り1段組で良かったかな〜と思っています。A6より余白がある分読みやすいですし、より多くの文字を流し込めるのもいいかな〜と感じました。
個人的に2段組が読みにくく感じてしまうので、B6以上のサイズで同人誌を制作しない限りは今後も1段組で制作してみたいなと思っています。商業本でもB6一段の小説本をちらほら見かけます。
感想
長くなってしまいましたが、2022–2023年の同人誌装丁のまとめでした。
基本的にSTARBOOKSさんを利用させていただいていますが、繰り返し使うことで割引率も上がっていきますし(ぼうけんのしょサービス)、サービスが本当に丁寧なので結局安心と信頼のSTARBOOKS!となっています。回し者みたいになった。
2024年も同人誌を作る予定なのでそちらの装丁もまとめたいですが、Twitter(X)のフォロワーさんからノベルティのまとめに関してもお声がけをいただいているため、ノベルティまとめ・組版についての記事を書けるといいなと思っています。
2024年もどうぞよろしくお願いします。