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コンサル本はなぜ売れるか ~新人時代に上司に指摘事項は本を書くつもりで吸収しろと言われた話~

はじめに

初めて私のnoteにいらっしゃる方は、この記事を読んでいただく前に、自己紹介(こちら)をお読みいただくことお勧めします。
自己紹介でも触れている通り、いわゆるコンサルティングファームに勤務しておりますが、巷にはコンサルティングが教える~本とか、コンサルの仕事術みたいな本が数多くあふれてます。

新卒でコンサルに入られる方、コンサルに転職したい方、コンサルと働いたことがある方、コンサルの仕事術を盗んで、できるビジネスマンになりたいと思っている方等々、たくさんの方がそのスキルに興味を持つジャンルであります。

ただ似たような話、外資コンサルが教えるなんとか本はあふれすぎていると思いませんか。世の中に営業という職種であれば、業界問わず必要とされつつも、商材の違いや、BtoB、BtoCといったチャネルの違いにより、how to本がベストセラーになることはあまりないはずです。

ではコンサル本がビジネス本のベストセラーになったりする理由を私なりに考察してみました。

1.基礎的なビジネススキルが載っている

シンプルな理由として、法人のお客さんと接することがメインの仕事である、かつ企業のそれなりの地位にいる人と接する機会が多い職業であるため、世のビジネスマンの多くが無意識/意識的にやっているマナー・考え方が言語化されて載っているからだと思う。そして新人や社会人経験が浅いビジネスマンにもわかりやすい・納得しやすいものだからである。

以下、コンサルタントと営業職の違い記事でも言及したが、コスト意識や価値などは、クライアント企業だけでなく、自分が働いている会社に対しても本来的には意識すべきものである。

社会人として、働いている間はすべてコストが発生しており、そこにどう自分自身の価値を発揮して、コストを償却するかといったお作法がコンサル本では多く書かれている。

おそらく営業職の方だったり、社会人経験が浅い方だとコンサル本でハッとすることも多いであろうし、管理職クラスの方が読むと、自分の部下にこう動いてほしい、こう成長してほしいみたいなポイントも存分にある。

下の立場、上の立場どちらから目線であっても、コンサル本での気づきや自省につながるパートはあるはず。

これが世のビジネスマンにとって、コンサル本が読むべき本となる理由の一つだと思う。

2.企業・業界としての働き方がある程度確立されている

理由の二つ目としては、コンサルティング業界での働き方がある程度確立されており、体系化、構造化された業務にあたることが多い故に、言語化しやすいことだ。簡単に言えば、コンサルタントとして0から1を生み出す仕事は少ない。コンサルタントはクライアント企業に寄り添い、彼らが悩んでいるお題を問いとし、その問いに対してクライアントがどう決断をすべきかという道筋を示す仕事である。要は意思決定のためのサポート業務であるため、どのように考え方を整理すると分かりやすいか、意思決定しやすいかというかを常に考える、具現化することが仕事だ。その具現化のツールがパワーポイントであったり、エクセルであったりするわけである。

わかりやすいパワーポイントやエクセルを作ること(広義にはアウトプット)が仕事であるため、方法論はたくさんある。それがフレームワークだったり、定量分析手法であったりするのだ。

セットされた問いに答えるための解探し、道筋立てが仕事(プロジェクト)であるため、もう仕事の型はある程度決まっている(難易度に差はあるが)

そのため、いかに早く仕事を終わらすか、考え方をいかにシャープにするかといった仕事の型が常に書籍化され、温故知新状態で何年もマーケットに残るのである。コンサルタントの働き方は、時代と共に変わっているようにみえるが、本質的には50年前と何も変化していない。ただ、世の中の人はツールが変わるとさも新しい方法論だと思い込み、コンサルがやっているから効率的なはずと考え、コンサル本は今日も売れるのである。

実際会社でのコンサル研修資料なんて、10年以上アップデートされていないだろう。それくらい普遍的なスキルが求められると同時に、クリエイティブさが求められる仕事ではない点はご留意いただきたい。

3.上司に指摘事項は本を書くつもりで吸収しろと言われた話

さて、なぜコンサル本が売れるのかという話に加え、なぜコンサルタントは本を出したがるのかについても触れたい。

シンプルにいうと、それだけ人に指摘される職業だからだ

時間の使い方、資料の作り方、話し方、文章の書き方、スケジュールの組み方、後輩の育成方法、クライアントの動かし方など、一挙手一投足指摘されるからだ。

そしてそれを全て実践しろと言われる。二度と同じ失敗をしようものなら、チクチクとロジハラ(ロジックハラスメントの略。なんで?なんで?とひたすら相手を詰めていき、最後は人格否定につながるような指導方法)もどきで詰められたりされる(最近は減ったが)

ただ不思議なことに、上司から受けた指摘事項を素直に受け入れ、実践してみると、クライアントからすごく感謝されることが増えたり、社内的にも動きやすくなったりする。理不尽な命令ではなく、あくまでクライアントにどう満足してもらうか、高い単価に見合った活躍をどうするかという目線での指摘なので、意味のないものは少ない。

無論、それって本当に意味あるのみたいなところはたまにある。

そんなこんなでたくさん指摘され、自分の働き方の改善やクライアント満足度も上がってくるような指摘がたまってくると、次はそれをおう人に伝播させるかをコンサルタントは考える。
なぜなら、無駄な回り道をすべきではないと考える人は多いし、価値のあるものはシェアして、チームやプロジェクトの効率を上げるべきと考える人が多いからだ。

ただ実際にはプロジェクトに下のメンバが入ってこなかったり、プロジェクトマネージャーと意見が合わなかったりと、なかなか自分の成功体験をアウトプットする場がないこともある。

そんなときコンサルタントはどうするか。

本を書くのだ。

こうして世の中のコンサルなんとか本は増えていく。

このブログもそんなコモディティ化したコンサルなんとか本の派生形である(当時の上司には感謝しているし、いまでもブログという形で自分の思ったことは綴るようにしている)

ただ皆それなりに苦労する業界なので、その苦労を新しい世代にはさせたくないという老婆心を持っている。これは愛すべき職業キャラである。

俗っぽくいってしまえば、俺の若いころはなーという武勇伝を構造的に、言語化したものが巷にあふれるコンサル本である。

巷にあふれるコンサル本達(読んで損はない)のおすすめは以下記事にまとめであるので、1冊は手に取っていただきたい

おわりに

コンサル本が巷にあふれる理由をじぶんなりに考察してみた。4年目ともなると見向きもしなくなるジャンルではあるが、新人コンサルが自分のプロジェクトにきたときには、絶対にこの手の本は読んだほうがいいと伝える。異業種からの転職や新社会人の方は、コンサルタントとの共通言語がなさすぎるのだ。共通言語を身に着ける意味でも、コンサル本は必ず1冊は読んでほしい。もしコンサルと働く機会のある方もぜひ手に取っていただき、目の前のコンサルの働き方を見極めてほしい。




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