映画「若おかみは小学生!」を観ました

*映画のネタバレがあります*

原作は講談社青い鳥文庫のシリーズもので、タイトルからうかがえる通り小学生の女の子を主人公とした物語である。
私はこの原作に関して一切触れたことはないが、「大人でも楽しめる」との評判を聞いて興味を抱いた。公式サイトを見るに、絵柄が単純に私の好みであり、キャラクターが元気に動き回る様子にそそられ、ついに映画を観に行くに至った。

以下、本編全体を通しての感想を綴る。
感想は、原作未読+映画1回の視聴で綴ったものであり、所々認識が違っている部分があるであろうことをご了承願いたい。

・おっこの両親の描かれ方

作品中で特に気になったのは、おっこの両親の描写についてだ。

冒頭部分で夫婦仲の良好な両親が、交通事故に巻き込まれ亡くなった。
しかし、その後もおっこの両親がストーリーの要所要所で描かれる場面がある。

この作品中で、亡くなっている人間は「ユーレイ」として登場することがある。ウリ坊と美陽がそうだ。足元が透けていて、おっこ以外には姿が見えない。
しかし、亡くなった両親は「ユーレイ」として存在しているわけではなさそうだ。両親がまるでそこにいるかのように描かれていても、おっこに直接干渉せず、会話が成り立っているような状態ではない。

度々描かれた両親の姿は、おっこが現実として両親の死を受け入れられておらず、
「生きていたらこんな風にしていただろうな」というおっこの思いが生み出した夢のようなもの。実際に夢に見ている描写もあった。だから他の誰もそれを見ること・知ることができない。あれはあくまで「おっこが思っている」両親の姿であるのだ。温泉プリンを供えたとき、グローリー・水領とのドライブ中に休憩したときのはそうだったのではないかと思う。

ただ、木瀬親子のシーンでは様子が違っていた。おっこの両親は「一緒にいられなくてごめん」と伝えた。おっこもそれに応えるように「私をひとりにしないで」と叫んだ。あれは、これまで同様におっこが見た夢だったのだろうか?
木瀬文太の発言によって、他者から改めて「自分の両親が亡くなった」ことを確信してしまい、おっこはこれまで完全には受け入れられていなかった現実を突きつけられた。

そんなときに、初めておっこの見たものが「おっこの見る幻」ではなく「亡くなった両親そのものの姿」になったのかもしれない。両親がもうこの世にはいないということを両親からも突きつけられ、おっこはこれまでにないほどに取り乱してしまった。

ただ、あれ自体もこれまで同様おっこの幻である可能性もある。自分を愛してくれている両親であれば、そういう言葉を言うだろう想像がつく。両親の死を十分に受け入れていたつもりでいたが、受け入れられていない自分と向き合うために自分が見せた幻。だからこそ、あのシーンにはおっこ以外が関わることなく、受け入れられない自分を受け入れ、乗り越える心の成長の糧となったのかもしれない。

・他キャラクター

おっこの両親の死との向き合いが非常に絶妙で、あまりに印象に残りすぎたため
他のところはあまり頭を使わないコメントでお送りします。印象深かったところだけ。

・おっこ
とても強かで素直。若おかみ、自分からやりたいと思ったわけではないのに本当に努力して頑張っている様子がもう涙ぐましい…。楽しくやってくれ。自分に可能な範囲で気遣いできる。とてもいいこ。
・ウリ坊
はじめ、おっこの意思と関係なしに「跡継ぎ」「若おかみ」に仕立て上げたようで個人的にはあまり好きなキャラクターではない。ただ人に話せずユーレイとして漂っていた期間を考えると、おっこに頼むしかなかったんだなぁと言う気持ちもわかる。
・真月
めちゃくちゃ頑張り屋さんで努力家。「いくら女将でも、おばあさんや小学生に荷物を持たせるなんて、とお客様に気を使わせてしまう」なんて気遣いにすごい感動した。おっこへの説明もとても丁寧で本当にいいこなんだなと思います。個人的には植物への影響も考えてライトアップの時間調整について話していたところで好感度爆上がりです。
・美陽
ものを動かせる能力があるのがすごい。ウリ坊にはないのはなんでだ!?妹をすごく大切に思っていることが伝わってくる素敵なお姉さん。妹と会う前に亡くなってしまったというのが割とダメージでかい。妹に認識されていないわけじゃないけど、声が聞こえていたことが救い。
・峰子(おばあちゃん)
おっこが若女将になるって話になったときに笑顔を見せなかったおばあちゃん本当に好き……。気を使わせた、と思ったんだろうなぁ。ウリ坊が亡くなっているということを知らないというところもいい。
・あかね(作家の息子・美少年)
まつ毛が描かれている美少年好きなのですごく嬉しいです かわいすぎる ありがとうございます
・グローリー・水領
「年の離れた友達」って関係、とても憧れる……。おっこの味方であり救いである。おっこと打ち解ける良いお姉さん。かっこいい。

お付き合いくださりありがとうございました。
こういった感想とかに映画公式サイトの直リンクを貼って良いものかわからなかった……もし許されるなら貼りたいところです。




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