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ダイナミックに羽ばたく匠馬も眩しい

コブ山田です。

ようこそいらっしゃいました。

今回は、プロ野球千葉ロッテマリーンズ加藤匠馬選手について、記します。
お誕生日おめでとうございます。

昨年の今日は中日ドラゴンズの選手でしたが、06月15日(火)に発表されたトレードにて千葉ロッテマリーンズに移籍しました。
18日(金)から再開したパ・リーグ公式戦最初のカードからさっそく出場。チームの2位に貢献します。

本人も、トレードはよかったとはっきり言っています。

私もです。木下拓哉が総合力ではチームNo.1。1軍のレギュラーキャッチャーのイスはひとつしかありません。チームの勝利のためにはその日の試合で勝利に導ける可能性が最も高い選手を起用するのが当然です。私と同じ三重県出身だから匠馬を起用しろ(特別な感情があるから大野奨太を起用しろも)は自己中心的すぎます。

昨年、"DHのあるパ・リーグでよかった、8番バッターでは文句を言いたいが9番バッターならまあいいかとなる"といった意見をよく見ました。
確かにそうです。中日はセ・リーグでありピッチャーもバッターボックスに立ちます。そのため、8番バッターと9番バッターの打力がイコールでは得点力低下を意味し、チームの足かせとなってしまいます。
中日の木下拓哉は2021年にホームランを11本放ちました。盗塁阻止にキャッチングも高いレベルでできており、これなら木下拓哉に正捕手を任せようとなります。

そんな中で加藤匠馬は出場機会を減らしますが、一方で中日はレフト・ライトを固定できず、得点力も低い状態でした。
そこで、捕手が不安定になっていた千葉ロッテマリーンズにて出場機会を減らしていた外野手の加藤翔平との交換トレードが成立します。
お互いのチームの弱点を補うことが期待され、かつ両選手の出場機会増加が見込めるものです。いいトレードだと評する意見が多かったように感じます。

三重県松阪市で育った加藤匠馬は幼少期から中日ファンであり、その中日の選手でなくなることが何とも思っていないということはないでしょう。
しかし、プロ野球選手になった以上、長く活躍して多くのお金を稼ぎたい。他球団で1軍で活躍できる可能性があるのであれば、中日にこだわる方が損だ。
そうして加藤匠馬はパ・リーグの千葉ロッテマリーンズへの移籍を前向きにとらえ、正捕手に近い起用でチャンスをものにしようと躍起になったのでした。

だからと言って、中日との縁が切れたわけではありません。オフの自主トレは、かつて自ら志願した大島洋平たちとともに取り組んでいました。

出場機会が増え、チームの業績向上につながる移籍はいいことなのです。

加えて、私は、かつて中日に在籍しながらもすっかりパ・リーグの人となったひとりの人物を思い浮かべています。

加藤匠馬は2021年の06月18日(金)に千葉ロッテのユニホームを着てメットライフドームで試合前声出しを務めます。
その曜日配列が同じ1999年06月18日(金)、中日はトレード成立を発表します。

福岡ダイエーホークスから河野亮内野手を獲得。代わりに、鳥越裕介内野手が移籍するという内容でした。

鳥越は1993年のドラフト2位で明治大学から中日に逆指名入団。1997年のナゴヤドーム開幕戦に2番ショートで出場するなど、レギュラーを張る時期もありました。
しかし、1998年以降は出場機会が減少。ショートのポジションは李鍾範、久慈照嘉、福留孝介に明け渡します。そうして、福岡ダイエーへのトレードが決まったのでした。

セ・リーグの中日でショートのレギュラーをキープできなかったのは、打撃力の弱さが大きな原因でした。セ・リーグは野手が8人しかスタメンで出れません。
ショートは守備力が最重要視されますが、かといってあまりにも打てないとレギュラーとしての起用は厳しくなります。

ところが、パ・リーグにはセ・リーグにはない指名打者の制度があります。野手が9人スタメンで出れます。
そのなかのひとりであれば、打撃面がセ・リーグのピッチャーと変わらないものであっても守備力での貢献が大きければレギュラーをつかむことができます。

福岡ダイエー王監督は、2000年~2002年にかけて従来ショート起用が多かった井口資仁をセカンドにコンバートし、鳥越はショートのレギュラーとなります。
2003年までの03年弱はショートのレギュラーだと言っていい出場状態でした。
そのころ古巣中日は井端弘和がショートのレギュラーとなっており、井端にとっても鳥越にとってもよかった話となります。

福岡ダイエーでの鳥越はスタメンで2番起用もありましたが、9番や8番と言った下位打線での起用の方がはるかに多かったです。
しかし、中日のベンチや2軍スタメンのままより、福岡ダイエー1軍の下位打線でもスタメンで出場し、守備面をありがたがられた方をいいと思う人の方が多いはずです。

その鳥越は、中日在籍のままではできなかったであろう日本一に貢献を2回も経験し、2006年に引退します。
時は流れ、2021年。コーチとしての実績を積めることができていた鳥越は、千葉ロッテマリーンズの2軍監督を務めています。

1軍の正捕手田村龍弘の守備面は安定感を欠いている状態であり、そんな中、中日では2軍出場となっていた、強肩の加藤匠馬がトレードで移籍してきたのでした。

加藤匠馬の移籍先が千葉ロッテになったのは、井口監督が青山学院大学の先輩にあたることが注目されていましたが、私は、パ・リーグへの移籍によって9番バッターであっても守備面での存在感を示してレギュラーをつかんだ、中日の先輩にもなる鳥越2軍監督の存在も大きく、100点に近いものだと思っています。
加藤匠馬も同じような経験をしている鳥越2軍監督にパ・リーグのチームで生き残っていくにはどうすればいいかを相談しやすいでしょうし、逆に鳥越も打撃力ではセ・リーグではで生き残れなかったものの人生好転できるチャンスをつかみかけている加藤匠馬の心境がよくわかるはずです。

異業種企業への転職で、前職が自分と同じ業種の先輩がいたらスキルの身につけ方などを相談しやすいと思います。それと似ています。

大学の先輩と中日の先輩が1軍監督と2軍監督を務めている千葉ロッテマリーンズ。そして守備面の長所があればスタメン起用してもらいやすいパ・リーグ。移籍がよかったという思いを深くしてほしいということが私からの気持ちになります。

ただ、この話には続きがあります。

鳥越先輩は2003年までは福岡ダイエーでショートのレギュラーだと書きました。では、次にショートのレギュラーをつかんだのは誰なのか。
福岡ダイエーに移籍した1999年のドラフト会議で指名した、鹿児島工業高校の内野手、川崎宗則です。
もともと2003年の初期からショートでのスタメンは多く鳥越はベンチスタートが多かったのですが、サードを守る選手が安定せず、サード川崎、ショート鳥越の形が定まってその年日本一になります。ただ、川崎の成長も目を見張るものがあり、2004年以降ショートのレギュラーとして長年君臨します。
2006年限りで鳥越が引退することにはなりましたが、中日にずっといるよりは選手寿命は長かった可能性が高いです。

加藤匠馬が移籍した2021年のドラフト会議にて、千葉ロッテは市立和歌山高校の捕手、松川虎生を指名しました。
松川の評価は高く、2022年の開幕戦から出場しました。

もともと守っていたのが井口と田村。守備面強化を目的に中日から移籍してきたのが鳥越と加藤匠馬。しかし勢いがある高卒ルーキーの川崎と松川。
構図が非常に似ていると感じます。
その田村、加藤匠馬、松川の起用を決めることができるのが井口監督という偶然もあります。

歴史は繰り返すのか、加藤匠馬が別の歴史を作るのか。その点も含めて、私個人としては三重県出身のプロ野球選手、加藤匠馬の長い活躍を願って見ていく所存です。

ありがとうございました。

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