姉のこと
むかし
姉とデコレーションケーキを作った。
スポンジに泡立てた生クリームをぬる。
クリームを絞り袋に入れてモフモフを作り、最後にチョコペンでメッセージを。
誰の誕生日でもなくて、どんな言葉を記そうか考えた。
姉から好きな言葉を書いたらいいよ、と言われた私はその当時、仲の良かった子の名前を記した。
そしたら姉が
今は私とケーキを焼いているのに!と怒った。
どうしてあの時、あの子の名前を書いたんだろう。
目の前にいる姉のことではなくて。
とても綺麗な景色を見ると、いつもあの日のことを思い出す。
ジャリっとした、なんとも言えない記憶。
だから私は
綺麗な景色を見つけたら
一番に姉に教えたくなる。