ぶやん

脳梗塞を患い、右半身の自由と言葉を失った夫ひよぽんとふたりで暮らしています

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脳梗塞を患い、右半身の自由と言葉を失った夫ひよぽんとふたりで暮らしています

マガジン

  • 喋れなくなったひよぽんと

    ひよぽんが退院してきてからの気持ちを書いています

最近の記事

ひよぽんのお誕生日

ひよぽんと昭和天皇は誕生日が同じです 今年の4月29日は私はお仕事だったので 前日の28日にお祝いしました ケーキは要らないということだったので ドーム状に盛られたローストビーフを用意して そこにロウソクを立ててハピバースデーしました 57歳 5と7の形のロウソクで年齢をあらわして ひよぽんはフーっと息をかけて炎を消しました なのに 「何歳(になったの)?」と・・・ 57歳だよ! 「えー、そんなにー?」 何歳だと思ってたの? 「にじゅうー・・・ご!」 それはないよひよ

    • もう、いやだ

      ひよぽんは機嫌のいいときが少ないです ここのところは麻痺側の痛みが強くて 便通もうまく行かなくて 喋る感じもいつも怒鳴られてるかのよう 「もう、嫌なんでしょ?」 今まで何度となく聞いたひよぽんの台詞 今日は黙って頷きました こんな いつもどこかが不調のひよぽんと一緒にいるのは嫌 口を開けば「痛い」か「うんち」 半分体が動かなくても 思うように喋れなくても 痛いとかそういうことがなくて健やかならまだ 「もう嫌だ」って言っちゃいけないと思ってた 言ってもこの暮らしを続けなき

      • こんなからだに誰がした

        ひよぽんが 脳梗塞で救急搬送されたときのことを話して というので 渋々その話をしました 発症後すぐ病院に到着したものの 医師の見立てでは初発ではなく 積極的治療は出血してしまう恐れがあるので あまりおすすめしませんと ほら ひよぽんは勝ち誇ったように言います ボクは そのまま死んでもいいから その治療を受けたかった このからだで生き残らせたのはお前だろ そうだよ そうだけど こんな障害が残るなんて想像出来なかった でもひよぽんにとっては 望まぬ生き方をさせられているだ

        • 「好き」かどうか

          ひよぽんが冷蔵庫を開けて 中の何かについて話していました 失語症の影響で ひよぽんは「こう?」と訊き返したとき 間違っていても「そうそう」ということがあったり 合っていても「違う」ということがあります 今回も、訊き返しても「違う」という でも多分この理解であってる 冷蔵庫からは冷気が出てくる 私はつい「電気代もったいないよ」と 冷蔵庫のドアを閉めてしまった ひよぽんは絶句して私を見たあと うなだれて去って行ってしまいました そしてふて寝 2時間くらいして起きてきた

        ひよぽんのお誕生日

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        • 喋れなくなったひよぽんと
          76本

        記事

          おしゃれさん

          ひよぽんは衣服などに埃がついたりするのをとても嫌がります もう、直後に脱ぐ服だとしても「きたない」と言ってそれを取ろうとします 埃とか 毛玉とか 皮膚病で(?)落ちた角質とか もう脱いで洗濯するのに 取っても取らなくても一緒じゃない? こういうこだわりが強く出るのもまた 高次脳機能障害 取るのは私だし、無意味だなあと思ってるから ついつい取り方も雑になります ひよぽんのことを「おしゃれさんだよね」と言ってくれる介護士さんがいます 服は特別おしゃれじゃない 帽子をかぶっ

          おしゃれさん

          100%わかってほしいなんて贅沢

          言葉の大半を失ったひよぽんは言います 「これだけ言いたいことがあるのに ちょっぴりしか言えない」 ジェスチャーを見る限り 10分の1くらいしか言えないみたい 伝わるのはそこから更に少ない でも、ひよぽんの話はわかりづらい 「結論だけ言って」 とわたしもつい言ってしまう その考えに至る過程まで到底聞き出せない どうしてそうなのか そうなったのか ひよぽんにとってはそれが重要 でもこっちにはそれを聞き出す時間も忍耐もないの とりあえずどうしたらいいか それを重ねて学習する

          100%わかってほしいなんて贅沢

          おしりの痛み

          車椅子に長く座ると「おしり痛い」というひよぽん おしりのお肉が本当少なくなった 8月にコロナになったとき 10日くらいろくに食べなくて痩せて それからおしりのお肉は戻らない 体の右側が麻痺してるから あんまり立って歩くことがないし 歩いても大股とか腿を上げるとか そういう歩き方しないし どうやったらおしりのお肉を増やせるの? 体重は戻ったのに

          おしりの痛み

          楽しい暮らし 大切な暮らし

          脳梗塞になったひよぽんとの今の暮らしは 正直言って楽しくない でも 楽しくなくても大切ではある 不思議だけど だから続けられる

          楽しい暮らし 大切な暮らし

          わたしのじかん

          ひよぽんは毎週土曜日にデイケアに行きます 私は車で送り迎え 送って行って、その足で仕事へ 仕事が終わったらその足で迎えに行く でも この間の土曜日は仕事が休みだった だから、ひよぽんがデイケア施設にいる間はわたしのじかん 月に1日しかないわたしのじかん この間の土曜日はひよぽんは具合が悪く 送って行って早々に迎えに来てと呼び出されました 具合が悪いんだからしょうがないけど わたしのじかんはたった2時間半 もうちょっと欲しかったなあ

          わたしのじかん

          あれから2年

          ある意味、記念日の今日 2年間再発なし そのおめでたい日に 私は久し振りの頭痛 ひよぽんは相変わらずお腹が不調 ちょっとしんどい、そういうと ひよぽんはボクの方がシンドいみたいに言う それはそうかもしれない でも だからといって私がしんどくなくなる訳じゃない それとこれとは別なの 早々にひよぽんは寝てしまいました 私も早く寝よう お祝いはナシです

          あれから2年

          記憶の蓋

          8日は、ひよぽんが脳梗塞で搬送されてから丸2年です 2年間再発しなかったので「何かお祝いする?」とひよぽんに訊いたけどどうでもいいって でもそれから暫くして 搬送されたときのことをひよぽんは訊いてきました 最初は今みたいに喋れなくて ジェスチャーも出来なかったのよ でもひよぽんの興味はそこじゃなくて 最初に入ったSCUのことでした 「あんまりその時のこと思い出したくないんだけど」 記憶に蓋をしていたから 搬送された時にひよぽんは「ごめんね」って言った ベッドで看護師さん

          記憶の蓋

          私はママじゃない

          先日の喧嘩は酷かったです 過去最大級に酷い喧嘩をしました きっかけは 些細なことだったのに ふたりとも冷静になってから、ひよぽんは言いました 「悪いところがあったら言って、直す」 悪いところかどうか判らないけど、じゃあ、 私は「お前」って呼ばれるのは嫌い 「ママ」って呼ばれるのも嫌い 私はひよぽんのママじゃない ひよぽんは私のこと「ぶやん」って呼んでたの でも、呼べないんでしょう?言えないんでしょう? だからしょうがないと思ってる 「判らないよ、やってみないと」ひよぽんは

          私はママじゃない

          成長に気付く

          去年の11月の私の誕生日、ひよぽんは完全に判らなくなっていました 私の誕生日、ひよぽんは|ぶやん (note.com) でも今年は、カレンダーの「11月」の文字を指しながら 「どこ?」と 覚えていてくれたのです ここだよ、とその数字を指すと 骨付き肉をかじるようなジェスチャー それはクリスマスだよ 私はキリストではないから お昼ご飯はケンタッキーフライドチキンにしました

          成長に気付く

          穏やかになったひよぽん

          私の母が亡くなり、急に「ショートステイだ!」と言われる心配がなくなったひよぽん すっかり穏やかになりました 穏やかになったからか、 伝える力がアップしたみたい おしゃべりもぐっと判るようになったし ジェスチャーもすごく上達しました ひよぽんの話で声を上げて笑ったのは久し振り 嬉しい とても

          穏やかになったひよぽん

          生きていると実感する

          コロナになって入院したひよぽんが退院しました 入院中の記憶はあまりないよう 17日間の入院でした その間私もコロナになり 母が亡くなり ひよぽんも中等症Ⅱという、まあまあ酷い状態 でもひよぽんは生きて帰ってきてくれた 万全になって退院したのではないから 不安感がやっぱりあるよう 車椅子の後ろからハグして励まします そのときのひよぽんはとてもあたたかい 「生きてる」って思う それがとても とても嬉しい

          生きていると実感する

          3度目の救急車

          ひよぽんが「もうダメ」とかぶりを振り 救急車を呼んだのは2日前のこと 自分一人でトイレに行けなくなった いちど平熱まで下がった熱がまた39度を超えて 喉が腫れて痛くて、水を一口飲んだだけでもむせる 鎮痛剤なんて飲めないし、いつもの薬も コロナって本当に怖い、特に、脳梗塞したことがあるひよぽんにとっては 脳梗塞で救急車を呼んでから、3回目の救急車 救命士さんは物凄い重装備で来てた かかりつけの脳外科には何度も相談したのに 「しょうがないよね」と言われそんなもんかと思ってた

          3度目の救急車