その時溶けていなくなる

今朝、今日あたり出来上がってくるAさんの成人式のアルバムのことを考えながら自転車をこいでいて、ふと、わたしは何につけ、岡田さんに頼んでよかった、と思われたいんだな、と思った。
いや、ちがう。ほめられなくてもいい。いいのが出来ていれば。みんなが喜んだら。と自分に言う。
そこから派生して、演奏前の気持ちを思い出したりしていて、ふと、
「ほめられなくてもいいから、いい世界にして下さい。」と、口に出して言った。なんとなく、無意識に。
いい世界かあ、どんな世界なんだろ。想像もつかないけど。はは。
と、つづけて無意識に、
「わたしはその時溶けていなくなる」
と言った。

その時溶けていなくなる

5歳の頃に見た、あれが焼きついているのかな?と思った。

留守番していた家で1人、コタツに入って、テレビで見たミュージカルで、主人公らしき人が最後、「みんな」を「救うため」に、溶鉱炉みたいな時計みたいな「丸い大きな扉の中」に入っていく。
その中に入ると、たしか、その人は溶けて消えてしまう。

ストーリーもタイトルも何も覚えていないけど、その丸い大きな扉と、みんなにやめろと言われながら主人公が1人で扉を開ける場面だけは覚えている。
重い扉をあけると、向こうから光がさしてきた。

あの時わたしは、コタツから出て、テレビ画面に手をふれて、ぼたぼた泣いた。
なんで涙がでるのかはよくわからなかった。
今もよくわからない。

自転車をこいで、交番を過ぎて、もう仕事場に着く頃、
わたしの夢は、あの頃からずっと、
「その時溶けていなくなる」
なのかな?!
と思った。

突然に。
心の中がドヨドヨとどよめいた。
そして仕事場についた。

「その時溶けていなくなる」が夢、ってなんだ。なぜそんなことが頭に浮かんだのかわからない。

あの時泣いたのも、
人が、みんなのために身を呈して、とか、そんなことのために泣いたんじゃなくて、献身的とか自虐的とかそんな話じゃなくて、かといって、どうして泣いたのかわからない。




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