Coco

読書の感想を素直に書く大学生

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読書の感想を素直に書く大学生

最近の記事

24.03.12 『あの子とQ』

とても読みやすいテンポの作品だった。 吸血鬼という存在には、恐ろしい印象がある。 その印象は壊さずに、しかしその存在を好きになるような作品だった。

    • 24.02.22 『文学部唯野教授』

      とても面白い構成の作品だ。 この作品を読むと、一連の講義を受けることになる。 私は娯楽として本を読むことはあっても、構成を解析したことはないし、その作品の文学的な立ち位置を気にしたこともない。そのためこの内容は大変興味深いものであった。 私は現在大学生だが、このような面白い教授の授業に当たったことはない。 私は今までに色々な講義を受けたが、教育熱心な教授は少ないという感覚だった。それでも、自分の研究分野について生き生きと語っている教授は多くいて、それはかなり印象に残っている

      • 24.02.20 『論語』

        今回読んだのは『全文完全対照版 論語コンプリート』だ。 このバージョンは、白文や書き下し文も掲載している点が特徴で、とても読みやすく書かれている。論語を一通り読み、手元に置いておくなら、この本がおすすめだ。 論語なので、当然のように道徳の教科書のような"正解"ばかり書かれている。正直に言って、綺麗ごとにしか思えない。しかし、今の時代でも重要な価値観であることは間違いない。ここにある教えを守れる人間になれば、人に愛される善い人間となれることだろう。 一番好きだったのは、為政

        • 24.02.19 『同志少女よ、敵を撃て』

          本屋大賞を受賞した、絶賛されている作品だ。 図書館で予約をしてから手にできるまで1年も待った。 しかし、この本を読んで待つ価値のある作品であったと感じたし、買う価値のある作品だと思った。 この作品の特筆すべき点と言えば、戦争作品でありながら、そこには絶望以外にも少女の成長や人々の信念が描かれているところだろう。 手に取るとその厚みに少し戸惑った。しかしページを開き始めるとそんなことが気にならなくなるほど読みやすい。どんどんページを進めるうちに、死と隣り合わせの世界で、主人公

        24.03.12 『あの子とQ』

          24.02.16 『読書をプロデュース』

          あなたは何のために読書をしますか? その問いに答えるべく、私はこの本を手に取った。 結果としてこの本で結論を得ることはできなかった。 この本は読書家歴10数年の私にはとうに通り過ぎたレベルの話ばかりで、新たな学びとはならなかった。 しかし、読書の目的というのを見つめ直す良い機会となったので、それを書き残しておこうと思う。 私が読書を始めたのは、小学生の頃。 運動が苦手で、外遊びが苦痛だった私にとって本の世界は救いそのものだった。本を読んでいれば、外遊びを強要されることもな

          24.02.16 『読書をプロデュース』

          24.02.15 部屋の模様替え

          今日は趣向を変えて自分の話をしようと思う。 私は私室にこだわりがあり、常に良いものにしようとしている。過ごす時間が長い場所なので、居心地の良い場所にしようとするは自然な流れであろう。 私は自室で、勉強や読書をしたり、映画を見たり、睡眠をとったりする。 趣味のスペースでもあり、仕事のスペースでもあり、休むスペースでもある。 しかし、同じ部屋で、気分を変えるのは難しく、仕事中についベッドで横になったり、本に手が伸びたりしてしまうことが、問題であった。 そこで部屋を本棚で思い切っ

          24.02.15 部屋の模様替え

          24.02.09 『どうしても生きてる』

          朝井リョウ先生の作品だ。 この作者さんの作品を読むたび、私は首をひねる。 私は所謂、ハピエン厨というやつだ。わかりやすく言うなら、ハッピーエンドが好きな人間だ。 対して、朝井リョウ先生の作品はどの作品も大体ちょっと暗い。合わない作家なのかもしれない。 (ただし、朝井先生のエッセイや『チア男子‼』は底抜けに明るく好きだ。) この作品も同じように、分類するなら暗い作品になるだろう。 暗い作品を書く理由が私にはわからない。読了後にスッキリしない感覚があり、モヤモヤが止まらない。

          24.02.09 『どうしても生きてる』

          24.02.08 『新釈 走れメロス 他四篇』

          私は森見登美彦さんの小説が好きだ。 京都の町を駆け回る、腐れ大学生のうじうじした非日常が、どの作品でも愉快で、そこが好きだ。 中でもこの小説が一等好きである。 理由は明快、私は文豪の本も大好きであるからだ。この本は、『山月記』、『藪の中』、『走れメロス』、『桜の森の満開の下』、『百物語』それぞれの作品の、言うなればパロディである。 どの作品も原作の言葉の選択がもともと気に入っているが、この『新釈 走れメロス 他四篇』でも原作の美しい言葉がそのまま生きている。そのため、読み比

          24.02.08 『新釈 走れメロス 他四篇』

          24.02.07 『逆ソクラテス』

          「無知の知」 私の座右の銘だ。 私は小学校高学年の頃、自分があまりにも無知であることに突然気が付いた。学校での学びに意味を見出し、積極的に本を読んで知識を蓄え始めたのはその時からだった。 それから数年後、高校の倫理の授業でソクラテスの「無知の知」を習った時、大きな衝撃を受けた。私は古代ギリシャの哲学者と同じ思想を持っていたのだ。この考え方は間違っていなかったと肯定された瞬間だった。その時から、私は「無知の知」が座右の銘だ。 『逆ソクラテス』は「無知の知」の逆、何でも知って

          24.02.07 『逆ソクラテス』

          24.02.06 『古事記』

          古事記を初めて読んだのは中学生の頃、学校の図書室でだった。 当時、図書室にある本を端から端まで読んでやろうと意気込んで、手に取った本のうちの一つだ。私の通っていた学校の図書室にはいくつかの『古事記』が置かれていて、それらを読み比べた。 一番のお気に入りは日本文学全集01の池澤夏樹訳版だ。 これが一番読みやすく、わかりやすく、そして面白い解説がついている。あまりにも気に入ったので、購入して手元に置き、折に触れて読み返している。 さて、『古事記』はどのような本なのかという問

          24.02.06 『古事記』

          24.02.05 『こころ』

          一番心に残っている本は何だろうか。ふとそんな問いを思いついて、本棚を眺めていた時、目に入ったのは夏目漱石の『こころ』だった。 この作品を、私は中学生の頃からタイトルだけ知っていた。初めて読んだのは高校生の現代文の授業で、そのときは「先生」の手紙の一部だけを読んだと記憶している。 授業内で丁寧に解説してもらいながら読んだために、今でも「下」のパートはスラスラ読める。授業では細かい表現の理由まで考察し、小説を分解する楽しみのようなものを教わったことを思い出した。 この話のすご

          24.02.05 『こころ』

          24.02.02 映画『カラオケ行こ!』

          先日、映画『カラオケ行こ!』を鑑賞した。 見た直後にあったのは若干の物足りなさで、褒めちぎる感想の数々を目にしていた私は拍子抜けしていた。 それから数時間後、私はじわじわと映画の良さに気が付き始めた。 脳裏にチラつくシーンの数々、聡実くんの可愛さ、狂児のおっかなさとかっこよさのバランス。 とても良い映画だったのに、私がその場で受け止められずに楽しめなかっただけだと気が付いた。 良い映画なのになぜ受け止められなかったのか。 私は音楽による演出不足が、物足りなさの原因だと分析

          24.02.02 映画『カラオケ行こ!』

          24.02.01 『アンナ・カレーニナ』

          トルストイの『アンナ・カレーニナ』を読んでいる。 ロシア文学あるあるだが、耳なじみのない名前が多いために、キャラクターの把握が困難を極めている。 正直、中盤まで読んで、関係性が良くわからない状態になっている。 しかし、ここから読み返すにはもうあまりに後半まで来すぎてしまった。 もうあきらめてこのまま進もうと思う。 内容については、現代のWeb恋愛小説にもあるような話だと体感している。きっと丁寧に読んだら違う感想を抱くのだろうが、流し読みでは名作であると言われている理由が分

          24.02.01 『アンナ・カレーニナ』