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ニキビや赤みなどの繰り返す炎症を止めたい!炎症が起こる仕組みと対策を解説

こんにちは!COCO.libraryのゆうくです!
だんだんと暖かくなってきて、春を感じてきましたね。
この時期は「肌荒れ、特にニキビや赤みを伴う炎症」を感じる人が増えてきます。
僕もその一人で、春になり始めるといつも使っていた化粧水が刺激に感じたりと、様々な刺激により赤みが出やすくなります。

ニキビや赤みなどの対策では、抗炎症や保湿、殺菌などのケアがあります。
その中の一つとして、「抗炎症」と書いてあるスキンケア商品を使ってみたけど効果がよく分からなかった…という方はいませんか?
実は、抗炎症を謳っているスキンケア商品には様々な「抗炎症成分」が配合されており、アプローチ方法が異なります。
そこで今回は、炎症へのアプローチ別に、厚生労働省から抗炎症の効果が認められている「医薬部外品の有効成分※1」をご紹介します!
※1 一般的に医薬部外品は「厚生労働省の認可した有効成分が、規定の量配合されている」商品の事を言います

春先に炎症を繰り返しがちな人に向けて、この時期でも穏やかに過ごしていただけるように、医薬部外品の抗炎症成分についての記事を作成しましたので、最後までお読みください!


炎症反応と抑え方

春先の時期に起こるニキビや肌の赤みなどの炎症の多くは、気温変化による肌への刺激や、花粉のようなアレルギー物質などの外からの刺激によって引き起こされる「炎症反応※2」が関係しています。
※2 外からの刺激により引き起こされる炎症反応を「接触性皮膚炎」と言います¹⁾²⁾。

炎症が起こるまでの流れ

肌が外から刺激を受けると、以下の流れで炎症が引き起こされます¹⁾。

1.肌表面の細胞に刺激の原因となる物質が接触する
2.接触部位の細胞から炎症に関わる様々な化学物質が放出される
3.化学物質によって、刺激の原因物質が接触した部位に「炎症を引き起こす細胞(炎症細胞)」が引き寄せられる
4.引き寄せられた炎症細胞から様々な化学物質(2.のものとは異なる)が放出され、炎症を引き起こす

炎症を抑える4つのアプローチ方法

上記のような炎症を抑えるためには、以下4つのアプローチ方法があります。

① 肌内部に刺激の原因となる物質が侵入しないようにする
肌の「バリア機能」という、肌内部に外から異物が侵入しないようにする機能を整えることで、刺激の原因物質が肌内部への侵入を防ぐ効果が期待されます。
日々の保湿や、セラミドのような成分が配合されたスキンケア商品を使うことが対策となります。
こちらは以下の記事で詳しく説明しているので、気になる方はぜひ読んでみてください。

②肌表面の細胞で「炎症を引き起こす化学物質※2を作らせない」
刺激を受けた肌表面の細胞によって、炎症に関わる様々な種類の化学物質※3が放出されるのを抑えます。

※3 化学物質は主に以下のようなものがあります。
サイトカイン:炎症細胞を刺激したり、増殖させる物質。
インターロイキン-1(IL-1)やプロスタグランジンE2(PGE2)などがある。
ケモカイン:刺激があった部位に炎症細胞を引き寄せる物質。

③炎症細胞の移動を抑える
肌、血管内部の炎症細胞が移動するのを抑えて、刺激を受けた部位で炎症を起こさせないようにします。

④炎症細胞で、「炎症を引き起こす化学物質を作らせない」
炎症反応が進み、刺激部位に引き寄せられた炎症細胞によって、化学物質※4が作られるのを抑えます。

※4 炎症細胞で作られる化学物質は、②の物質に加え、下記のようなものがあります。
ヒスタミン:炎症細胞から放出され、炎症を増幅させる物質。
プラスミン:サイトカインやヒスタミンなどの放出を促す物質。

②~④は、医薬部外品の有効成分として承認されている成分でアプローチが可能です。

アプローチ別抗炎症成分

厚生労働省が通知している「有効成分リスト」を参考に、抗炎症成分を紹介します³⁾。

②肌表面の細胞で「炎症を引き起こす化学物質※を作らせない」
・グリチルリチン酸ジカリウム
・β-グリチルレチン酸
 炎症性サイトカイン(PGE2)が作られるのを抑える⁴⁾⁵⁾
・アラントイン
 炎症性サイトカイン(IL-1など)が作られるのを抑える⁶⁾ 

③炎症細胞の移動を抑える
・ε-アミノカプロン酸⁷⁾
・アラントイン⁸⁾
→刺激を受けたり、損傷が起きた箇所に炎症細胞が移動してくるのを抑える

④刺激部位に引き寄せられた炎症細胞で、「炎症を引き起こす化学物質を作らせない」
・グリチルリチン酸ジカリウム
 →ヒスタミンが作られるのを抑える⁴⁾
・ε-アミノカプロン酸
 →プラスミンが活性されるのを阻害する⁷⁾ 
・ニコチン酸アミド
 → サイトカインが作られるのを抑える⁹⁾

今まで抗炎症成分が入っているスキンケア商品を使っても効果を感じられなかった、という方は「今まで使っていた商品に入っている成分とはアプローチが異なる抗炎症成分」が入った商品を選ぶと良いかもしれません。

・ε-アミノカプロン酸(炎症細胞の移動を抑える)を有効成分としているスキンケア商品を使用しても効果を感じられない人
→グリチルリチン酸ジカリウム(PGE2抑制)を有効成分としているスキンケア商品を使ってみる

まとめ

今回の記事では、以下について紹介しました。

・炎症反応は様々なプロセスを経て引き起こされる
・それぞれのプロセスごとに効果が期待される抗炎症成分がある
・抗炎症の効果が感じれないときは、アプローチが異なる抗炎症成分を選んでみる

この記事をお読みいただき、季節の変わり目に肌荒れが起こらなくなることに、少しでもお役に立てることができれば幸いです。

■参考文献
1) 接触皮膚炎診療ガイドライン, 高山かおる他, 日本皮膚科学会雑誌, 119(9), 1757-1793, (2009)
2) 化粧品の有効成分 8.刺激緩和・抗炎症剤, 日光ケミカルズ株式会社, 「刺激緩和・抗炎症剤」パーソナルケアハンドブックⅠ, 575, (2016)
3) いわゆる薬用化粧品中の有効成分リストについて, 厚生労働省医薬食品局審査管理課, 薬食審査発第1225001号, (参照:2024/3/20)
4) 敏感肌に対するグリチルリチン酸ジカリウムの有効性, 屋敷圭子他, 日本化粧品技術者会誌, 50(4), 334-339, (2017)
5) グリチルリチンおよびグリチルレチン酸のアラキドン酸カスケードに及ぼす影響, 河田則文他, 炎症, 9(1), 29-32, (1989)
6) A Symphytum officinale Root Extract Exerts Anti-inflammatory Properties by Affecting Two Distinct Steps of NF-κB Signaling, Jacqueline Seigner et al., Front Pharmacol, 26(10), 289, (2019)
7) 市販点眼薬中のアミノカプロン酸によって生じたアレルギー性接触皮膚炎, 山口麻里他, 皮膚の科学, 17(5), 245-249, (2018)
8) Allantoin from Valuable Romanian Animal and Plant Sources with Promising Anti-Inflammatory Activity as a Nutricosmetic Ingredient, Rodica Mihaela Dinica et al., Sustainability, 13(18), 10170 (2021)
9) ナイアシン欠乏と皮膚免疫, 杉田篤子他, 日本臨床免疫学会会誌, 38(1), 37-44, (2015)

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