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【ウワサ検証】みかんを食べたら皮膚が黄色くなるのか?

こんにちは!
COCO.libraryのまなかです!

そろそろ年末年始ですね♪
皆さんはどのようにお過ごしですか?

私は寒い季節になると、ついついコタツで過ごすことが多くなります☺
気づけば大量のみかんの皮が・・・なんてことも。

そして、この時期は「いつもより掌が黄色い気がする」と感じることが多いです。

ふと、他の方は同じように
‘‘みかんを食べすぎて皮膚が黄色くなる‘‘
と感じるのだろうかと疑問に思いました!

ウェザーニュースのアンケート調査では、
‘‘みかんを食べすぎて、手などが黄色くなった経験ある?‘‘
という問いに対して、6割の人が「はい」と答えています¹⁾。

図1:みかんを食べすぎたときの経験についてのアンケート
引用:みかんを食べると、なぜ手のひらが黄色くなるの?¹⁾より転載

みかんを食べ過ぎて皮膚が黄色くなったという人が半数以上。
要するに、2人に1人以上が経験者のようです!

では、
‘‘みかんを食べすぎて皮膚が黄色くなる‘‘

という話は本当なのでしょうか?

今回は、このウワサを紐解くべく、
論文調査だけではなく、実際にみかんを食べる検証まで行いました。
最後まで楽しく読んで頂けると嬉しいです♪



みかんを食べて皮膚が黄色くなるのは本当か?

様々な文献を調査したところ、
‘‘みかんを食べすぎると皮膚が黄色くなる‘‘
というウワサは、
「本当である」ということが言えそうです。
細かく解説をしていきます!

みかんを食べ過ぎて肌が黄色くなる症状

みかんを食べて皮膚が黄色くなるのは、
「みかんの皮をむいた時の色素が皮膚に移っているだけ」
という声もありますが、
実は、
みかんに含まれるβカロテンという成分を多く取り込みすぎることで、体内から黄色くなっていくことがわかりました。

このような症状を「柑皮症」²⁾と言い、角質層の厚い掌や足の裏が特に黄色くなります。

βカロテン³⁾は、
みかんなどに含まれる黄色~赤みのあるオレンジ色の色素です。
βカロテンを含む食物を摂取すると、体内でビタミンAに変換されますが、体内のビタミンA量が十分な場合、変換はされずβカロテンのまま体内に循環されます⁴⁾。
そして、体内で循環するβカロテンの色素の影響を受けて、皮膚が黄色くなると言われています。

また、βカロテンは脂溶性の成分なので、体内の脂質に可溶化します⁵⁾。
なので、血液中の脂質の値が基準値から外れた脂質異常症(高脂血症)(※1)の場合、可溶化する量が多くなり、柑皮症になりやすいとされています²⁾。


つまり、‘‘みかんを食べすぎると皮膚が黄色くなる‘‘というウワサは本当ですが、誰しもがみかんを食べて黄色くなるわけではなく、
体内にβカロテン(みかんだけでなくその他の食べ物からも)を多く摂取した場合、βカロテン摂取時の体内のビタミンAが十分な場合、角層が分厚い人・場所、また、血液中の脂質量が多い人ほど黄色くなりやすいことがわかりました。
血液中の脂質量については、みなさん健康診断でコレステロール値などを見ることがあると思いますが、これらの数値が基準値以上だと黄色くなる傾向が高まりますので、確認してみて下さいね!

※1:
脂質異常症の診断基準は以下の値

表1:脂質異常症の診断基準⁶⁾
(スクリーニングのためのものであり、薬物療法を開始するための値ではない)

                                                                                                                                                                     

【検証】みかんを何個食べたら皮膚が黄色くなるのか?メンバーで食べてみた!

みかんを食べ過ぎると、柑皮症によって皮膚が黄色くなるということが分かりましたが、
では、いったいどのくらいの量を何日食べ続けると黄色くなるのか?
気になりませんか?

そこで、COCO.libraryのメンバーでみかんを食べて確かめてみることにしました!🍊

【実験】

COCO.libraryメンバー4名で、毎朝みかんを3つ食べ、色差計を用いて掌の皮膚の色を測定しました。

朝、食べることにしたのは、体内のビタミンA量の影響を最低限にするためで、朝から何も食べていない状態がデータが出やすいのではないかと思ったからです。

3個にした理由は、朝食にみかんを食べるのには正直3個が限界だったからです…!

<試験の様子>

図2:試験の様子


【結果】

7日間の掌の画像と色差計で測定した肌の黄み(b*)の結果は
以下図3、表2に示す。

図3:7日間の掌の画像


表2:色差計で測定した肌の黄み(b*)の結果
値が高い程、肌色の黄みが強い

今回の実験において
・全員、見た目での明らかな変化は確認できなかった
・4名中3名、わずかに皮膚の黄みが強くなる変化を確認できた




中には、変化しなかったメンバーもいて、
変化したメンバーも数値の変化の仕方や変化幅などは様々でした。
要するに、1日3個程度なら毎日食べても皮膚の色への明らかな影響はなさそうです!

今回の実験結果や文献などを確認した内容も踏まえると、
柑皮症のなりやすさについては個人差が大きいという印象を持ちました!

それは、上記で述べたように、みかん以外のビタミンAの摂取量、角層の厚さ、血液中の脂質量の違いなども関係してると思いますが、
βカロテンを摂取してから皮膚が黄色く染まるまで、体内では複雑な道のりも関係してるのではないかと考えられます。

では、βカロテンを含む食物を食べてから皮膚が黄色くなるまでに、
どのような経路を進むのでしょうか、メカニズムを探ってみました!

皮膚が黄色く染まるメカニズム


βカロテンを多く含む食物を食べてから、皮膚が黄色く染まるまでのメカニズムを、いくつかの文献³⁾⁵⁾⁷⁾⁸⁾をもとに考察してみました。

柑皮症メカニズム

まず、βカロテンを含む食物を食べると、ビタミンAに変換されなかったβカロテンが体内の脂質に可溶化し、体内を循環して小腸上皮細胞で腸管吸収されます。
その後、血中の脂肪滴へと取り込まれ、毛細血管を移動して汗腺や皮脂線や細胞間の組織液へ可溶化されます。
そして、細胞間の組織液から基底細胞(細胞膜や細胞内層板顆粒)を染めて、ターンオーバーによって黄色く染まった細胞が角層へと移動します。
また、皮脂や汗として皮膚表面に排出され、皮膚表面にそれらが留まることで角層を体外からも黄色く染めます。
そのように黄色く染まり、角質層の厚い部位(掌や足の裏)が特に黄色く見える、
というメカニズムが考えられます。


図7:βカロテンが毛細血管へ移動する様子(イメージ図)


図8:毛細血管からβカロテンが角層を黄色く染める様子(イメージ図)


柑皮症の体への影響

柑皮症は健康に害があるのか?

では、この黄色くなる柑皮症は、健康にも影響があるのか?
心配する方もいるでしょう。
結論から言うと、健康に害はなく、特別な治療法もありません。

但し、何事も食べ過ぎは良くないので、手・足が黄色くなってきたら、
少しβカロチンを多く含む食事を控えても良いかもしれませんね!

また、肝硬変など肝機能の低下によっておこる「黄疸」も皮膚が黄色くなる症状があり、柑皮症と間違えられやすいと言われています。
「黄疸」では、眼の結膜部分にも黄色くなる症状がみられるのに対し、柑皮症では見られないという点が見分けるポイントとされています⁹⁾。
(あくまで見分けるポイントですが、みかんなどβカロチンを多く含む食材をそんなに接種していないのに、黄色くなったと感じてご不安な場合は、病院で医師にご確認ください)

黄色く染まった肌はいつ戻るのか?

柑皮症で黄色く染まった皮膚の色は元に戻らないかというと、βカロテン食物の摂取量を見直せば、自然と手の色は元の状態に戻るとされています。

βカロテンを含む食べ物は、みかん以外にもニンジン、かぼちゃ、トマト、スイカなどがあります。

βカロテンを含む食べ物を過剰に摂取しすぎて皮膚が黄色くなってしまった場合は、食べる量を調整するようにしてくださいね☺


今回は、‘‘みかんを食べると皮膚が黄色くなるのか?‘‘というウワサについて解説しました。

<まとめ>
・みかんなどのβカロテンを含む食物を食べすぎると、柑皮症という黄色くなる症状が出る可能性がある
・皮膚が黄色くなりやすいのは、βカロテン摂取時の体内のビタミンAが十分な場合、角層が分厚い人・場所、血液中の脂質量が多い人
・今回の試験では、メンバーの中で一日3個のみかんを
食べ続けた結果、1部メンバーで掌が黄色くなる変化が確認できた
・皮膚が黄色くなるメカニズム
・柑皮症は健康に害はない

ここまでお読みいただきありがとうございました。

実験に参加したメンバーからは「顔まで黄色くなる前に実験が終わってよかった」という安堵の声も(笑)
これからも曖昧なウワサは、身体を張って実証していきます。
お楽しみに☺


参考文献)
1)みかんを食べると、なぜ手のひらが黄色くなるの?, 株式会社ウェザーニューズ, ウェザーニュース, (参照:2023/12/08)
2)柑皮症, NTTタウンページ株式会社, 病気辞典[家庭の医学], (参照:2023/12/13)
3)カロテノイドの吸収・代謝, 日本油化学会誌, 45巻, 第5号, p.391-397, (1996)
4)β-カロテンのビタミンA転換効率に関する基礎的研究, 健康・栄養ニュース, 第34号, (平成22年)
5)ノリの多食により生じた柑皮症の1例, 日本内科学会雑誌, 第50卷, 第5号, p.46-51, (1961)
6)動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス, 日本動脈硬化学会, (2014)
7)Ⅳ カロテノイドの腸管吸収, 代謝, 機能, 農研機構, 食糧 その科学と技術, No.48, (2010)
8)野菜ジュースの長期多量摂取による柑皮症の1例, 西日本皮膚科, 79巻1号, p.38-40, (2017)
9)柑皮症, MedicalNote, (参照:2023/12/11)


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