流星群
上を見上げたら星屑が流れた。
「今日の夜はしし座流星群を楽しめます!」
明るい笑顔のアナウンサーが夕方のニュースで話しているのをふと思い出す。
冷たい風がせっかくお風呂で温まった体をどんどん冷やしていく。
あの流れる星屑に「体を温めてください」と願ったらそれを叶えてくれるのだろうか。
流れ星って願いを叶えてくれるんでしょ?
急に冬に近づいたからか本当に体が冷え切ってきた。
「あ〜寒い。」
両手を交差させて体を摩る。
あと一つ見たら、中に入ろう。
澄み切った夜空に星屑は一つ、二つと流れていった。体を温めて欲しい、そんな願いを忘れてしまうほど鮮やかに、そして潔く流れて行く。
ひと段落し落ち着いた頃、僕はドアを開け見慣れた部屋へ入った。
僕はもう、外に出て夜空を見上げたのか、その理由さえわからなくなっていた。
ただ、目元に残る冷たい感触だけが残っている。