流星群

上を見上げたら星屑が流れた。

「今日の夜はしし座流星群を楽しめます!」

明るい笑顔のアナウンサーが夕方のニュースで話しているのをふと思い出す。

冷たい風がせっかくお風呂で温まった体をどんどん冷やしていく。
あの流れる星屑に「体を温めてください」と願ったらそれを叶えてくれるのだろうか。
流れ星って願いを叶えてくれるんでしょ?
急に冬に近づいたからか本当に体が冷え切ってきた。

「あ〜寒い。」

両手を交差させて体を摩る。

あと一つ見たら、中に入ろう。

澄み切った夜空に星屑は一つ、二つと流れていった。体を温めて欲しい、そんな願いを忘れてしまうほど鮮やかに、そして潔く流れて行く。

ひと段落し落ち着いた頃、僕はドアを開け見慣れた部屋へ入った。

僕はもう、外に出て夜空を見上げたのか、その理由さえわからなくなっていた。
ただ、目元に残る冷たい感触だけが残っている。


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#20161117