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魅惑

君に惹かれてしまうのは、何か寂しいもので覆われたような、目の奥に冷たい水が流れているような、そんな雰囲気が気になるからであろうか。

もしくは、私より遅く生まれているはずなのに、この世の全てを知っているかのような落ち着きに惹かれたのだろうか。

君の一言一言はわたしを安心させ
君の冷たい瞳はわたしを包み込む

隣に座る君の体温でわたしの左側だけが熱くなる。
君のその薄い体の右側は熱くなるのだろうか。

前髪に隠された瞳を見ることも出来ず、わたしは一歩後ろへと下がる。
君と近づけば近づくほど、危ない甘い世界へとのめりこんでしまいそうで怖くなるから。

「自然と一緒におるようになったらそれが付き合うってことなんちゃうん」

君は今、誰と一緒にいるのだろう。

「そうせなあかん、て思うから辛いんやろ。そのままでええやん」

そっけない言葉の中に温かさがほんのりと残るのが君の魅力なのだろう。

人はそれぞれだと、押し売りもせずそっとそばに居てくれた君。そんな君の隣が居心地が良くて、そばにいたかった。

いつか、いつか君に、また会う事が出来るのなら、束の間の時間だけでも、君の温もりを分けて欲しい。


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