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ハラ、そばにいて。

2日前の11月24日は、私にとって忘れられない日でした。正確に言えば、2年前の11月24日は私にとって、今も忘れられない日でした。

今までもこれからも、私がこんなにも好きで、こんなにも名前をたくさん叫んだアイドルは、彼女だけだと思います。

ク・ハラ

それが彼女の名前です。2年前に28歳の若さで、この世を去ることを、彼女は自ら選びました。

初めて行ったライブはKARAのものでした。車に乗って、両親に神戸に連れて行ってもらいました。席は一番後ろの、しかも立見席でした。まだ幼かった私はコンサートのルールなんて分からなくて、曲は一緒に歌うし、メンバーの名前は叫ぶし。きっと隣にいたおじさんは迷惑してただろうなぁ。

彼女はとても綺麗だった。笑顔が眩しくて、声が透き通ってて、何よりも優しさが、温かさが、好きだった。1度目のKARAのライブでは、ハラちゃんは中島美嘉さんの"Glamorous Sky"をカバーしていました。可愛らしいパフォーマンスが多かったKARAだったので、そんな力強くてかっこいいハラちゃんの姿に衝撃を受けたのを覚えています。

でも、初めて行った彼女たちのライブが、5人体制での最後のライブとなってしまいました。私が神戸にてライブに参加した数日後に発表されました。信じられませんでした。5人のKARAが私は好きだった。当時は他に好きなアーティストもいなかった私はショックでしょうがなかったです。小学校に行くために、家の階段を泣きながら降りたことを、昨日のことのように覚えています。

2人メンバーが抜けた後、新メンバーが1人加入し、彼女らは活動を続けました。相変わらず、私は彼女たちが好きでした。5人じゃないと応援できないと思っていた。だけど、やっぱり彼女たちを観るのをやめるなんて、私にはできなかった。

2回目のライブは、岡山でした。前より画面が近くて、オープニング映像が流れ始めた瞬間から泣きそうになったのを覚えています。

この公演でハラちゃんがカバーしたのは、絢香さんの「みんな空の下」でした。水色のロングドレスが風になびく様子がとても綺麗でした。当時の私は小学校6年生。隣の席の、同じくKARAが好きだった男子に延々と彼女の美しさについて語りました。「もう聞いた」と、しまいには彼が呆れるほど、私は何度もこの話をしました。

そして、私が最後に最後に行ったライブ。前から14列目でした。前の方で見られたのは、運が良かったからというよりは、人がまばらだったからです。長年ファンをやってきた者としては、とても辛かったです。神戸では一番後ろで、肉眼では何も見えないほどだったのに、、。

そのショックもあったからか、この時のライブをあまり覚えていません。大ヒット曲のいくつかを、いつもと違うふりで披露したことくらいかな、、。あとは、ライブで初めて披露した曲があったこと。あの曲、おしゃれな響きが好きだったなぁ。

このあと、次々とメンバーが事務所を抜けてしまい、実質KARAはお別れ状態に。あっけない終わりでした。この時に「あぁ、アイドルの終わりって儚いんだな」と思ったのを覚えています。

そこからは、ソロ活動を行う彼女を応援していました。ゆるく、ゆるく。あ、シングル出すんだ。あ、ライブするんだ。あ、写真集出すんだ。という感じでした。

それでもやっぱり応援していたんですよね。ソロという現実を受け止められないながらに、KARAであった頃の曲を1人でも歌ってくれる彼女が、やっぱり好きでした。

でも、ある日急にお空に行ってしまったんですよね。知らせて「くれた」のは友達でした。できれば自分で知りたかった。でも、できれば、秘密にしていて欲しかった。できれば、ずっと私の中にいてほしかった、輝かしい彼女のまま。

でも、行っちゃったんですよね。もう帰ってくることはなかった。それが嘘だと何度思い込みたかったか。スイスに留学中だった私は、ホストファミリーの前で泣き崩れました。ホストマザーは心配して私の部屋まで来てくれて、温かいお茶を用意してくれました。

彼女を思い出すと、こんな風にいろんなことが鮮明によみがえるんです。不思議でしょう、私もなぜこんなにもいろいろな思い出がくっついて出てくるのかが、よくわかりません。

そして、亡くなった数ヶ月後、彼女の「29歳の」誕生日に、あるミュージックビデオが公開されたんですよね。彼女が出したシングルのカップリングのものでした。ハラちゃんが大好きな、東京の夜景をバックに撮影されました。

彼女は相変わらず綺麗でした。この世のものとは思えないくらいに。ほんとは天使だったのかもしれません、だからお空に舞い戻って行ったのかも。かぐや姫が月から来て、戻って行ったように。

この曲の歌詞、最後のフレーズが

「Hello そばにいて」

なんですよね。

だけど、私には、そして多くのファンには

「ハラ そばにいて」

に聞こえてしまうんです。だからこの曲を聴いていると、なんだか彼女に呼ばれているような、語りかけられているような気持ちになります。あぁ、ハラちゃんの目に、東京の街並みはどう写ったのかな。私も今、あなたと同じように東京の夜空を、光り輝く夜景をみているよ。眠らない街、東京を。

あの日から2年。早かったような気がします。去年は受験真っ只中で、あまり彼女についてゆっくり考えられなかったからでしょうか。

空の上で幸せですか。相変わらず、あなたの可愛い笑顔で、周りの人を幸せにしているのでしょうね。私も、あなたに会いたいです。でも、あなたが生きられなかった日々も、その分私が頑張ることを、勝手に約束したので、あなたに会いに行ける頃には、私はもうよぼよぼに年老いたおばあさんかもしれません。あなたはきっと、綺麗なままだろうに。

今は毎日笑顔でいられてます。さっきKARAの曲を聴いていたら涙が出てしまったけれど、もうあなたのことを考えても、いつか会える日を楽しみにできるようになりました。あなたの歌を無理して避けてもいませんし、それどころかこの間はカラオケでKARAの歌を歌いました。久しぶりだったけれど、上手に歌えたよ。パート割も覚えていたよ。

元気ですか。私は今、あなたに想いを馳せながら、あなたの歌を聴きながら、この文章を綴っています。何度も何度も、あなたの歌を聴くからね。

ずっとずっと。

ハラ、そばにいて。

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