雨粒とともに零れる
深夜2時、電話をかける。
ふいにカーテンを開けて、雨の冷たさを感じる窓にもたれかかると、雨粒だけが見えると思っていた真っ暗闇にふと自分の顔が映る。
ああ、なんて顔をしているんだろう。メイクも落とせず、ただ力のないアラサーのやつれ顔。なんて興ざめなんだろう。
途絶えないコールは続く。
いや、まだ5コールか。
ああ、なんだろう寂しい。声が聴ける期待なんてしていないのに、窓に映るその顔からは、可能性を信じている心の底が透けて見えて嫌だ。
あと3コールで切ろう。
約束してたわけじゃないし。そもそも忙しい人だし。
あと1コール。
「・・・ただいま電話に出られません。おかけ直しください。」
期待なんかしていない。
寂しくなんかない。
大丈夫。大丈夫。
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