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カテゴライズ嫌いの根源 (2019年3月 記)

私、西川は主に手紡ぎのイラクサと大麻の糸を染めて織り、着物の帯を中心に制作することを仕事としている。

このようないわゆる原始的な素材を使った織物の仕事をしていると(特に着物の世界で)「自然布」「原始布」「xx織」などとカテゴライズし、定義付けし、時には権威付けをし、価値を高めることで安心する人が、作る側にも売る側にも、そしてなにより使い手であるお客様にも沢山いる、ということを何度も思い知ることになる。確かにビジネスとしてはそれが解りやすい、ある意味親切な道なのだ。

しかしそこにどうしても乗れない、乗りたくない自分がいる。そしてそれはミュージシャンのプリンス の影響が根底にあるのだと思う。(余談ですが、私はかつて日本のプリンスファンクラブ[ワーナー・パイオニア(当時)公認]のスタッフでもありました)


彼の音楽も、ロックなのかブラックミュージックなのかソウルなのかブルースなのかファンクなのかジャズなのか…カテゴライズ出来ないものだし、彼自身があらゆる面で境界を作ること、分断を嫌う人だった。1978年、19、20歳のデビュー当時から、人種、性別のボーダーを超え、彼はただ「音楽」を…real musicを、real musiciansと共に作ろうとし、現実…real world, real businessと戦い続けた人でもあった。


私もただの布、real cloth, real fabricを作りたい。そしてその布が誰かの幸せと繋がり、同時に私の生きる糧となること。そしてその循環を作り続けること。
その精神を私はプリンスから教わったと思っている。青臭いナイーブな考えだなあと思うこともあるけれど、それは今も自分の根底にある。

13歳で彼の音楽に出会った時には、思いもよらなかったことだけど。


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プリンス?誰それ..??
そんなあなたに見て欲しい厳選この一本。プリンスのギターで泣くがいいさあ!!
Prince, Tom Petty, Steve Winwood, Jeff Lynne and others 
"While My Guitar Gently Weeps"


#truefunksoldiers


2019年3月8日記。「プリンスに捧ぐ」と銘打った個展(2019年4月)の制作時に書いたものを加筆修正。

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