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母は仕事と家事を休んでニュージーランドへ行く⑤~【27年の時を越えてMangawhai へ】

距離も時間も長い歳月も超えてMangawahiに来た

オークランド空港に迎えに来てくれたAnneと泣き笑いしながらの再会を果たして、Anneの車で一路Mangawhaiへ向かうこと1時間半くらい。

空港の外に出た瞬間、ぶわぁ〜っとニュージーランドの空気が身体の中に吹き込んできた。いや〜、信じられない、今、私、ニュージーランドにいる!

英語が全然出てこなくって、しどろもどろ。
まどろっこしいんだけれど、カタコトで必死にAnneに、そんな今の気持ちを伝えようと喋った。
そうそう!マスク!
こっちではもうマスクはしなくてよくって。マスクなしで外気を吸うのって、こんな開放感あるんだっけ!?って思った。
今、3年ぶりにマスク無しになった! そんなこともAnneにしどろもどろで伝える。

オークランド市街地を走り抜けて、どんどん景色が一面緑色になってくる。
なだらかな緑の稜線が広がって。
また私の涙腺はきゅんとする。

今もミルキングしてるの?牛いるの?
そうか、もう引退したのね。とか。
Hannnahは近くに住んでいて、今日これから会えるわよ。当時彼女は2歳だったけど、今は彼女の息子が2歳よ〜とか。
私が訪れた頃の家は、25年前に、大雨で地盤が緩んで傾いてしまったこと、今はそのすぐそばに新しい家を建てて住んでいること。
長男のSamは離れたところに住んでいること。

娘ちゃんはネイピアのどこの学校に通うことになるの?1年間?
何を勉強するの?

Anneはへっぽこな私の英語力に合わせて、ゆっくり言葉を選びながら話してくれた。
昔来た時はいつも、英和と和英の分厚い辞書2冊を持って歩いて、話が躓くたびにディクショナリー!ディクショナリー!って言いながら調べて話したよねって、思い出して話して笑った。

他愛ない話を車内でしていたら、27年はすごく長かったはずなんだけれど、今こうやって再会できたAnneと、前回来たときのことを話してると、なんだかつい数年くらい前にしか感じられない。27年も経ったなんてねと、Anneも信じられないって言っている。

だんだん景色が田舎になってきて。
Mangawahaiって看板も目に入ってきた。
あ、なんか町がすごく大きくなってるかも?

Anneが指差した方を見ると、昔来たことのある教会があった。



causeway church


隣周辺に建物がたくさん増えていたけれど、教会そのものは27年前と同じ!
覚えてる!日曜日に礼拝に来たの。そこで会ったおばあちゃんが「日本から来たの?ネイピアと同じ名前のペーパー作ってる製紙工場があるわよね」って話しかけてくれたのも覚えてる。(奇遇にもそれ、私の住んでる街にある工場)

教会の先の、ゆるやかにカーブしながら上がっていく坂道を、この先20分くらい歩いていくと、もう家だ。
昔、小さなお店がこの辺にあって、一人で家から歩いてチョコバーとかジュースとか買いにきたこともあったなぁ。でもその店らしきものが見当たらない…。この店だったかなぁ?ちょっとお店が変貌したけどこれじゃないかなぁ?って気もするけど、なんせ周辺にお店や家が増えすぎていてわからない。
まあ、27年前だもんなぁ。

いよいよお家に到着。

お家につくと、この家の長女で同時2歳だったHannnahが旦那様と息子君とランチを作って待っていてくれました。

わー、信じられない!Hannahが大人になってる! 
Hannahは小さすぎたから、私のことあまり覚えてないって 笑  
そりゃそうだよね。初めて会った時2歳?その数年後に会ったときは5歳。

でもいいの。
覚えてなくてもいいの、私はいっぱいあなたが小さかったときの可愛らしさを覚えてるから。
英語がそんなに話せなかったから、2歳のあなたの英語レベルがむしろ、私にちょうどよかったのよ。一緒にブランコ乗ったり、ままごとして遊んだ楽しい思い出がいっぱいあるのよ〜。

そのHannahがすっごい美人なママになっている〜。感無量。
そして当時のHannahにそっくりな、今2歳のめんこい盛りな彼女の息子、Jacksonが、ちょこまかと見慣れぬ私達に近づいてみたり逃げたりしてなんともかわいい!

Jacksonの相手をどうしていいかわからない、ちびっこに不慣れな娘1号がギクシャクしながら、Jacksonにお土産のピカチュウを手渡す。
すごーい。長い歲月を超えて、私の娘がHannahの息子と出会ってる! 笑

そしてホストファザー、Colinも仕事から戻ってきた!
Colin!  私、来ちゃったよ!今、超ハッピー!って、ハグ。
Colinはスマホの画面を見せてくれて、昨日からずっとフライトレーダーでナツコの乗ってる便を見てたよ!ウチの上空通っていったね!って、昔と変わらない笑顔。いやー話し方も笑顔も変わらないけど、白髪になったね!Colin。

あー、もー!
幸せすぎる。

みんな揃ったところで、ランチタイム。
ランチしながらお土産にそれぞれ一人ずつに印鑑を作ってきたのを渡して、その漢字の意味なんかを説明して。
ロイズのチョコレートも渡して。

Hannah一家が帰る前に記念写真。

今日は本当に人生最良の日だ。
私、この先ずっとずーっと、この日のことを、一生の宝物として思い出ながら生きていくんだろうな。
この写真撮りながら、そう思った。


娘1号がなぜか別人のような顔で映ってしまった集合写真 

27年前にステイさせてもらったお家へ

Hannahが帰った後、昔の家…私も当時滞在させてもらったオールドハウスは敷地内に今もあるよと聞いて、娘1号と散歩がてら見に行くことに。
家の周辺はだだっ広い放牧地で。庭の横の小道を降りていくと牧場に放牧地まで行けるみたい。


庭の向こうへ小さな林道をてくてく鼻歌交じりに下っていくと、ふいに広がる景色。

「ただいまMangawahi! 帰ってきたよぉ〜〜〜〜〜〜!」


この景色はずーっと心に残ってた


 牧場内をてくてくと歩き、ちょっと迷子になりながら。
あれ、これは昔ミルキングをしていた小屋じゃないか?…ここに小屋があるならば…あっち方向に家があったような?と、記憶をたぐって道をたどることしばし。

あれ?なんか草に埋もれて家がないか?? あった!あれだ! なんかジブリ感溢れる廃墟みたいになってるけど! 27年前のステイ先!

この家見るだけで懐かしさといろんな思いが溢れて泣ける

ここでまたいろんな思いが湧いてきて。またまた涙腺崩壊しそうになって。
首にかけてたタオルでこそこそっと目頭押さえて。
それでも鼻にツーンってきちゃったりして。
娘1号の手前隠そうと思ったけど隠せない。 苦笑

ずっとずーっと遠い記憶だった景色や人や場所が。
今、嘘みたいだけど本当に目の前にある。この手に触れられる目の前にある、この感動ったらなかった。

ずっとずーっと遠くにいってしまった記憶はもうすっかり現実味を無くしてしまっていたのだけれど、ここに辿り着いたら「ほらほら、本当に存在していたんだよ」って実感に、もう心が震えてなんとも言えなかった。

これまでいろんな事があったけど、がんばってとうとうここまできたんだなぁ。わたし。

私、本当に帰ってきたよ。

ホストファミリーへの手紙

その夜。夕食後のデザートを食べながら。
(しかもさっそくホーキーポーキーアイス)

日本で先に書きしたためてきた手紙をColinとAnneに渡しました。
ずっと伝えたかったことを、事前に日本で英作文して、知人アメリカ人の先生に添削してもらって、持参した手紙。

十代の私にとって、この家で過ごした日々が、いかにその後の私の人生を豊かにしてきたかということ。
来年また来るからって別れたきり、就職したり結婚して子育てをして、ニュージーランドに来るなんてことがものすごく遠い、叶わぬ夢となってしまっていたこの27年間のこと。

果てしなく遠い夢だと思いながらも、その夢があるから今日までがんばってこれたこと。

20歳だった私は、今は、3人の子がいてすごくハッピーな母であること。

途中から涙腺崩壊して読めなくなりながらの私の隣で、気まずそうに座ってる娘1号。苦笑

AnneとColinは涙でグズグズになった私に微笑みながら「ずっとナツコは戻ってくるって、空港で別れたときから信じてたよ。ちゃんと神様が連れてきてくれるってわかってた」「会いに来てくれてありがとう」って、背中ととんとんしてくれた。


今思い出して書いてるだけでも涙が出ちゃう。

今日は間違いなく私の人生最良の日。幸せ過ぎて今日は泣いてばっかりだ。

夢は叶う。

夢は叶えられる。

そう思った。

もしこの先の人生で、困難があったとしても。
私は夢を叶える力を手に入れたから、もうどんなことも乗り越えていける。

そう思った。






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