バスキアから考える「物語」について
バスキア展に行ってきた。
「バスキアって誰?」っていう方の為に説明を、、、。
ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)は、1960年アメリカ生まれのアーティスト。
1988年の8月12日に27歳の若さでこの世を去る。
物心ついた時から絵を描くことが好きだった彼は、母からもらった解剖学の本に大変興味をもち、作品性に大きな影響を与えている。
彼の作品はどことなくカートゥーンを彷彿させるようなタッチに、敷き詰められた暗号のような文字が特徴的だ。
政治的かつ詩的、一目見ただけでバスキアとわかる作品はたくさんの人の心を動かしてきたに違いない。
ZOZOTOWNの前澤社長がサザビーズで彼の作品を1億1050万ドル(約123億円)で落札したのが大きなキッカケともなり、日本でもかなり知られるようになった。
今や、世界の多くの国が現代美術の育成や保護に力を入れている一方で、日本は立派な美術館が各地にたくさん存在しているのに、作品購入費が抑えられ、あとが続いていないのが現状である。
そんな中、前澤社長のような現代美術コレクターの存在はかなり大きい。
今回は80点に及ぶ作品が展示されていたが、どの作品からも彼特有の独特な世界観を感じられた。
そんな作品を眺めながら、絵と対話するのだけれど、
絵も、本も、音楽も、様々な形式の中で人々は今昔も変わらないものがあると感じた。
それは「皆、物語を求めている」ということである。
物語は人々の生きる糧であり、力となる。
時には悲しみや孤独を癒す存在でありながら、人々の側にずっと潜んでいる。
TwitterやInstagramなどのSNSも、個人の物語を語り、それぞれの物語を指先1つで覗き見ることができる史上最強のツールといえるだろう。
他者との関係に終始晒されている現代において、自分の時間をもち、思考、想像、創作する大切さを改めて考えたい。
バスキアのような個性的でかつ、理解し難い作品をみると、なんとも芸術というのは特別に感じることが多い。
だがよく作品を眺めると、これは特別なものではなく「彼の物語」なのだ。
そう考えると、芸術を生み出すことは誰でも可能なのだと思う。
TwitterやInstagramで、もし嘘や偽りない想いを言語化したり、収め続けることが出来るのなら、それは時を重ねるごとにとても価値のある芸術に変化していくのではないだろうか。
バスキアが注目され評価をされた理由は彼の絵の技術とかだけでは決してなく、
「彼の物語」にあるような気がした。
やはり彼は天才だ。
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