公共工事をカイゼンする手法を考える。〜建設カイゼン会議〜

私の仕事は、公園をつくることです。現場監督として現場で職人さんをまとめて、工期内に公園を完成させる仕事です。ざっくり言うと現場監督は、工期・予算・安全・品質と、様々な側面から工事全体をコントロールする仕事です。

公園工事の場合、発注者は役所なので、予算の都合上、私たちの仕事は年度末に集中するという宿命があります。完成するまでは終わらない悪夢のような年度末…。

14連勤で現場に朝から晩までいるなんてざらにある、怒涛の日々でした。しかし、「終わらない現場はない」を合言葉にがむしゃらにやっているとなんとか終わるもので、今年もなんとか無事に竣工することが出来ました。

そんな怒涛の日々が終わってほっと一息ついたある日、社長から社員にある指令がでました。

「公共工事をカイゼンしよう」

いままでずっと社員が我流でやってきてマニュアル化できていない部分も多かった、社員が応援にいっても、我流でやっているので手助けできない。もっと効率化よく施工できれば、社員が年度末にこんなに疲弊することもないし、余った時間で新たなチャレンジもできたはず。ベテランの人材がどんどん高齢化する中で、施工を効率化してスピーディーに若手の技術者へ伝承していかなければ会社の未来も暗い…。

たしかに、社長の言う通りです。
私も、怒涛の日々のなか、行きかえりの電車の中で「反面教師ノート」をつけていました。もっとこうすれば良かった、次の現場ではこうすればいいのに。怒りと愚痴を吐き出さずにはいられなかったのです。
でも、社長の言うように、ネガティブな感情は次に活かす施策を打たなければ、それはただの愚痴のまま。
そこで、社員があつまってカイゼン会議を開きました。

カイゼン会議で考えるべき課題は、次の三つです。

1、施工会社として自分たちは何が弱いのか?
 その弱みはどうすれば解決できるか?

2、施工会社として自分たちは、どのくらいのレベルの仕事ができているのか?
 もっと高い品質で施工するにはどうすればよいか?

3、現場に従事している社員が疲弊しすぎていないか?
 現場DXやマニュアル化を活用して、施工をもっと楽に、誰でもできるよう省力化できないか?

これらのカイゼンを考えるために、まず会議は年度末工事の反省会からはじめました。

反省すべき点はたくさん上がりました。

品質管理として必要な工事写真にヌケがある、
発注者から竣工の検査で厳しい評価がされている、
提出すべき書類が提出できていない、
守るべき品質が守れていない、
現場代理人が仕事の見える化と、作業の分担ができていない、
工程表が崩壊しているのに、軌道修正できていない…

やるべきことはたくさんあります。
まずは、反省点をしっかりと整理する。そして、それを社員ひとりひとりの個人の人格や能力を非難するのではなくて「会社の弱み」としてとらえ、有効な解決策を探る。

解決策は、社員の教育やスキルの習得かもしれないし、施工管理を効率化するツールを導入することかもしれないし、場合によっては業務の一部を外注してしまうことかもしれない。

【「会社の弱み」の言語化】

【解決策の検討と導入】

【効果の検証】

カイゼン会議では、このようなサイクルを高速で回していくことをひとまずの目標としました。(続く)


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