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商品企画に役立つ繊維基礎講座

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国内の繊維産業の衰退は著しく、多くの繊維製品を扱う会社が海外生産を請け負う商社に素材選定から企画まで丸投げしています。結果、以前のようにモノ作りの現場を知っている商品企画や生産管… もっと読む
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#化学繊維

第1章 繊維原料編

衣料品に使用されている主な繊維原料を順番に解説していきます。 ちょっと古い資料ですが、これらの繊維のシェアがわかる円グラフを載せておきます。ポリエステル が圧倒的に多いこと、天然繊維では麺が多いことがわかります。この状態は2019年の今も同様です。 1.天然繊維  1-1.植物繊維    ・コットン    ・麻(リネン、ラミー、ジュート、ヘンプなど)  1-2動物繊維    ・ウール    ・カシミヤ    ・シルク 2. 再生繊維  2-1 レーヨン 主にパルプが原料  

第1章繊維原料編 4.合成繊維1

主に石油から生成されるナフサを原料に、さまざまな製法により製造されるのが合成繊維。各種合成繊維の共通の特徴として、強い、熱可塑性があり(熱でしわが伸びたり、形を変えたりする性質、比喩としてチョコレートの性質)、吸湿性が低く、静電気が起きやすいです。虫やカビの影響を受けにくく耐薬品性も高い。3大合成繊維と呼ばれるのがポリエステル、ナイロン、アクリル。その他、洗濯絵表示でよく見かけるのがストレッチ素材のポリウレタン。以上の素材について解説します。 ポリエステル 流通量ではダント

第1章繊維原料編 4.合成繊維2

ナイロンポリエステルより強度があって柔らかいのが特徴。ストッキングやカーペットはナイロンが広く用いられています。吸湿性がポリエステルより高いので、素肌に優しいこともストッキングに用いられる理由です。肌着や水着にも使用されています。ウールやシルク染める酸性染料で染まります。 コート素材では経糸にナイロン、緯糸に綿の交織が生地が多いです。バッグの素材としても広く利用されています。ナイロンの種類にはナイロン6、ナイロン66などがある。 ナイロンはポリエステルと比較して熱伝導率が

第2章 紡績糸(スパン糸)、フィラメント糸編

この章では繊維を糸にする方法についてご紹介します。化学繊維、天然繊維からどの様に糸を作るかが分かります。 記事が出来たら、該当する見出しにリンクを張ります。 1.糸にはスパン糸 とフィラメント糸の2種類がある 2. スパン糸とフィラメント糸の製造方法+蚕の技  2-1紡績~短繊維をつむいで糸にすること    ・綿紡績    ・ウール紡績    ・麻紡績    ・オープンエンド紡績  2-2紡糸~化学繊維は製造段階では全てフィラメント    2-3蚕の技、口からフィラメント

第2章 2-2 紡糸~化学繊維は製造段階では全てフィラメント

 フィラメントは天然繊維ではシルクのみです。あとは化学繊維。フィラメント糸は長繊維で出来ているので、繊維を揃えて撚ることによって糸になります。化学繊維については、再生繊維も合成繊維もドロドロになった原料を細い口金から押し出して繊維が作られます。製造方法は原料の特性合わせて3種類あります。湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸です。もっとも取り扱いの多い合成繊維のチャンピオン、ポリエステルは溶融紡糸です。  溶融紡糸の場合、口金の形状で繊維断面形状を変化させることで、種々の機能をを付与す