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不妊の原因になる可能性も。男女ともに気を付けたい性感染症

近年、日本で梅毒が再流行の兆しがあるというニュースを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
梅毒だけでなく性感染症(STD:)には様々なものがあります。
中には感染すると不妊の原因になってしまうものも。
この記事では、不妊症の原因になる性感染症とその予防法をご紹介します。

かかりやすい性感染症とは?

自覚症状がない事が多い

性感染症とは、「性的接触によって感染する病気」と定義され、
自覚症状がない事も多く、知らないうちに他人へ感染させてしまう可能性があります。


感染者の年齢で一番多いのは男女ともに20代です。
性感染症は、性的活動が活発な年代を中心とした病気だとわかりますね。

感染しているかどうかは、医療機関で検査することができます。
感染症の種類によって、おりもの検査や血液検査で知ることができます。

もしも感染していることが分かった場合は、
パートナーも感染している可能性が高いので、早急に一緒に治療を受けましょう。


不妊に関係のある性感染症とは

①    性器クラミジア感染症

性感染症の中でも日本で一番感染者が多いのが、
クラミジア・トラコマティスによる感染症です。

潜伏期間は1~3週間程度、成人の保有率は3~5%程度と言われており、
感染者との粘膜接触や分泌物を介して感染し、感染経路は主に性行為です。

もしクラミジア感染症の人と性行為を行った場合、
女性では50%以上の確率で感染するとされています。
さらに、エイズウイルス(HIV)の感染リスクが3~5倍に増えるので、
早急に治療しなければなりません。


男女とも性器や咽頭、男性では尿道にも感染します。
感染しても女性の約75%、男性の約50%は無症状であると言われるため、知らないうちに感染を広げてしまう可能性があるのです。

女性が感染すると、
子宮頚管と卵管に炎症が起こって癒着が起こる可能性があり、
それによって卵巣機能が低下するため不妊や子宮外妊娠の原因となってしまいます。

男性が感染して、
精巣炎を起こした場合も、乏精子症や精子無力症、最悪の場合、無精子症になり男性不妊となる可能性があります。

②    淋菌感染症

「淋病(りんびょう)」とも呼ばれる感染症です。

淋菌に感染することで発症し、
菌が子宮の中に侵入して卵管や腹腔内で炎症を起こすことがあります。

クラミジアと同じく粘膜接触で感染しますが、こちらは潜伏期間が2~7日程度と短めです。
性器や咽頭、男性の尿道に感染します。

男性では排尿時痛と濃い尿、
女性ではおりものや不正出血がみられることもありますが、
症状が軽い場合は気づかないことも多いです。

クラミジアと同じく、女性が感染した場合は卵管や子宮に炎症が起きる、
男性が感染した場合は精巣炎になると不妊の原因となります。

③    梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌に感染することで起こります。
厚生労働省の発生動向調査を見ると、2021年から急増している事がわかります。

厚生労働省 発生動向調査より

梅毒は、性行為によって粘膜や皮膚の小さな傷から感染し、
潜伏期間は約1ヶ月です。

感染してからの経過した期間によって様々な症状が出てきます。
感染してすぐは、性器や肛門・口の中にしこりができたり、全身に発疹が出てきたりします。

その後、症状は一旦消えてしまうので一見治ったように思えてしまうのですが、実は病気はその間も進行しています。
そして感染してから数年~数十年後に心臓・血管・神経に症状が現れることがあります。

不妊になるだけでなく、放置していると命に関わる可能性があります。

母子感染のリスクも

この記事で取り上げた感染症は、
妊娠した場合は、お腹の赤ちゃんにも感染する可能性があります。

これは「垂直感染」と呼ばれ、性感染症にかかると、
もし妊娠していた場合はお腹の赤ちゃんにも感染して先天性の病気にかかる可能性があります。

赤ちゃんが性器クラミジア感染症や淋菌にかかってしまうと、
結膜炎や肺炎、低体重児の場合は重症化して命に関わります。
また、先天性梅毒にかかると多臓器感染を起こします。

もし性感染症を治療せずに妊娠した場合、赤ちゃんを危険にさらすことになります。
自覚症状がないことも多いため、早期発見のために初期の妊婦健診でスクリーニング検査が行われる産院もあります。
適切な治療を受ければきちんと治療ができるので、積極的に検査を受けるようにしましょう。

予防法は

性感染症の予防法は以下です。

・コンドームを使う
・不特定多数の相手との性行為を避ける
・性行為の前後は身体を清潔にする
・不安な場合は、検査を受けて感染していないことを確認する
 (病院に行きにくければ、自宅で行える検査キットも売っています。)

性感染症を予防することは、
自分だけではなくパートナーや将来の妊娠・出産、自分の子供にも関わるため非常に大切です。
正しい知識を持って、予防・早期発見・早期治療を心がけるようにしましょう。

まとめ

感染すると不妊症になる可能性がある性感染症についてご紹介しました。
症状に気付きにくいので発見が遅れることも多いようですが、
卵巣が炎症を起こすことで将来的に不妊の原因になりうるので、
まだ妊娠を考えない人でも予防はとても大切です。
コンドームを正しく使うなど、正しい予防法で自分自身・パートナー・そして妊孕性と将来の赤ちゃんを守りましょう。

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