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唐突に昔の夢を流暢に喋りだす我のチキンハートを責めるべからず

先週は体調不良の(というかイルミネーションの電球が一つひとつ眼球にしか見えなくて逃げ帰った)ために、あまりゆっくり楽しめなかったので、リトライしてきました、さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト「さがみ湖イルミリオン」

今日は体調が良かったのでイルミネーションを成す電球たちも特段こちらを睨んだりせず、おかげさまで「おーきれー」に徹することができました。

「SAGAMiKOの『i』が小文字な理由」について夫婦で推理をしました。

私「あの部品がちょうど切れてるだけなんじゃない?」

夫「『iPad』『iPhone』『iPS細胞』を意識しているんだと思う」

真相やいかに。

さて、このイルミリオンの名物は「光のリフト」なのです。カラフルに光り輝く地面を眺めながら、「素敵……」とうっとりしながら山の上まで運ばれていく、非常に写真映えするスポットでもあるので、私は意気揚々とチケットを購入しました。

この雪だるまくんの右奥に見えるのが「光のリフト」。左上に見える観覧車を目指しました。ちなみに夫がほっこりと「この雪だるま、なんだか心琴に似てるなぁ」と呟いたのを聞き逃す私じゃないわ。体型っすか? OK、知ってた!

順番がやってきて、いざリフトにライドオン。ところがこのリフト、転落防止ベルトなどの器具が皆無で、座って即出発なのです。リフトに乗って2秒で「怖い」ことを自覚してしまった私。

しかしながら、リフトはどんどん上昇していきます。後戻りなどできません。恐らく地上はカラフルなイルミネーションで鮮やかに彩られているのでしょうが、それを見ることは不可能で(下なんて見られん)、サイドバーに必死にしがみつき、でもそのサイドバーは冷気でキンキンに冷えており手袋越しでも冷たさが伝わってきて握り続けることができず、打つ手がなくなってきた私……の隣で、なにもかも見透かした表情の夫がこちらをニコニコ見ていたので、私のリミッター(非常に外れやすい)はスパークしました。

「わったっしっ、さぁ〜昔むかしはBay FMのパーソナリティーになりたかったの!」

「うん?」←微笑みつつ私の喋りを促す天使

「『ハァイ、あなたのお耳の恋人♡』ってキャッチコピーまで考えてさぁ、友達とラジカセに録音したりしてさぁ!」

「うん?」←目の奥にドSの光を灯しはじめる悪魔

「あとね、戦場カメラマンになりたかったー! 高校時代なんだけどね、担任の先生に『笹塚、お前は運動音痴だから向いてないかもよ』ってぇ、言われちゃってぇ〜」

「そう」←笑うのを必死に堪えている人にしか醸し出せないオーラを放ち結局笑う奴

「あと! 幼稚園のころは『ケーキ屋さん♪』なんて王道の夢を語ってたけど、パティシエになった友達が『クリスマスの時期はクリーム立てるから腱鞘炎になる』ってボヤいてたなぁ〜っはっはっ」

「もうすぐ到着するよ」

「まじでっ、あと何秒っ⁉︎」

「さぁ」

「わぁい(白目)」

それからのことは……あまり記憶にないのです……(なんとか着地して逃げるようにリフト乗り場を後にしました)。

目的だった観覧車に乗る気分など吹っ飛んでしまい、今さっき頂上まで運ばれてきたというのに、私の頭の中は一つの恐ろしい現実に臨んでいました。

昇ってきたんだから、帰りはまたリフトに乗って降らなければなりません。しかも、下りだから地面が丸見えなのです。

あわ、あわ、あわ……

ざわ、ざわ、ざわわ……

この星の真ん中に乗って呪文を詠唱したら下までワープできるとかそういうのを望んでも決して叶わないから本当にもうこの場で自分にバシルーラ(またはパルプンテ)をかけるしかないと思ってけど昇りのリフトでガッツリMPを削られたために詠唱不可のため、笹塚万事休す!

……と思った矢先、園内マップを見ていた夫が天使のような情報をゲットしてきてくれました。

「900m歩けば、下に降りられるみたいだよ」

歩く、歩きます歩くですます歩きますとも! ヒャッハーやっぱり私と同じようなチキンハートピーポーがいるじゃないのぉ。

ニコニコしながら徒歩での下山ルートを目指していた私たち。しかしそこに一人のパークスタッフが立ちはだかる。

「!?」

「まもなく園内全体の点灯です。ここからならその瞬間を広く見渡せますよー」

ありがとうございます今そんな情報は割とどうでもいいんだ。

……とは言えず、「ここから下に歩いて戻りたいんですが」と伝えたところ、衝撃の一言が。

「あ、点灯後はこちら通行不可となりますので下りのリフトをご利用ください」

あ あ あ あ あ あ

あ゛っあ゛ーっ!!あ゛ーっ!!!

見てみろよ……リフト乗り場では小学生たちが楽しそうにはしゃいでらぁ。己をふと顧みればさ……30歳をとうに過ぎた自分と、その隣にはそんな私を心配したりからかったり笑ったり蔑んだりと相変わらず人格のブレが激しいダーリンとが、並んで(私が)茫然と望む場所(=ふもとのパーク入口)を眺めているんだ……滑稽だろ? せめて笑ってくれよ。もっとも年齢云々なんてのは抑圧に過ぎないがな……いくつになろうが怖いもんは怖いんだベイベー。

だがしかーし! 困難ならばいくつも乗り越えてきた二人です。というか夫は絶叫アトラクション大スキーマンなので、リフトなんて余裕どころか移動手段の一つくらいの感覚らしいので私が勝手に自滅して騒ぎ立てていただけなんですが……。

結局、深呼吸を何度もして、意を決して下りのリフトに乗りました。乗ってやりましたよ。

ああっ、breakthroughの瞬間ッ!

でもやっぱり怖くて、もうこれは白旗ふりふり、泰然と座る夫に全力で寄りかからせてもらいました。はたからみれば「寒いね……」とか言って寄り添いあうラブラブカップルに見えたかもしれませんが、その実「怖すぎて身体の重心をいかに相手に寄せてバランスをとるかに必死なover age 30 なパートナーを終始ニヤつきながら見守る天使の仮面を装着したsadist」でしたごめんなさい。

見れば、前方のリフトの女性二人組は身を乗り出して自撮りまでする余裕っぷり。ああ、早く私もあれくらいの度胸がほしい……(でも高さどうこうじゃなくてスマホ落としたら怖いからやっぱり無理)。

というわけで、帰ってきた、帰ってきましたーっ!!

はい、生きてまーす。極めてほがらかにねッ(ごめんちょっと嘘ついた)。

今、帰りの車の中なんですが、鼻唄なんて歌ってますよ。ゴキゲンでございます。

ん……あれ……? もしかして明日って月曜日ですか? あれ? 早くない? おかしくない?(おかしくはない)

ちょっと帰宅してお風呂入ってMP回復したら、パルプンテ唱えてみます、世界が金曜日の夜に無限ループしはじめるかもしれないので……。

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