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抑えておきたい「オープンシステムディペンダビリティ」と「アジャイルガバナンス」

この記事では、Cocozenの活動において重要視している考え方である、「オープンシステムディペンダビリティ」と「アジャイルガバナンス」について解説します。

「オープンシステムディペンダビリティ」とは

オープンシステムディペンダビリティ(Open Systems Dependability )は、国際標準(IEC 62853)にもなっている変化対応のプロセス群のことです。
変化が激しく予測困難なデジタル社会において、システムを安全に運用するために必要な視点としてまとめられました。 

デジタル化が進む中で、管理・運用主体が異なる複数のシステムを連携させ提供するサービスが増えてきています。例えば、とあるMaaSサービスは、ユーザーのカレンダーアプリと連携して需要予測をしたり、衛星データや地図アプリをベースに最適ルートを算出したりします。

こうしたサービスはもの珍しく無くなってきていますが、システムの運用中に、繋がる先のシステムの変更があり影響を受けざるを得なかったり、また設計時にどのシステムとどう繋がるかが想定できないため、事前に十分にリスクを予測することができないという難しさを孕んでいます。このような構造はシステムオブシステムズ(Sysytem of systems、SoS)と呼ばれます。

オープンシステムディペンダビリティは、こうした動的に変化することを前提としながらもサービス提供事業者が、
1)安全かつ継続して事業を実施できる
2)利用者や社会に説明責任を全うできるようにする
ことを目的に策定されました。

DEOSプロセス(DEOS HPより抜粋)

詳しくは、オープンシステムディペンダビリティを発展、普及させることをミッションとした団体であるDEOSのHPもご覧下さい。


「アジャイルガバナンス」とは

アジャイルガバナンスとは、急激な社会の変化や技術の発展に柔軟に対応するデジタル時代のガバナンスモデルです。アジャイルガバナンスのプロセスは、オープンシステムディペンダビリティの要素を取り入れ、経済産業省にて策定されました。

法令や規制の策定・運用、また企業における”コーポレートガバナンス”など、何らかの活動を実施するときに、活動の結果発生するインパクトの最大化とリスクの最小化に向けた取り組みをガバナンスと呼びます。

従来ガバナンスはトップダウンで決められ、かつ変えにくいものでしたが、デジタル時代の激しい変化や予測の難しさに対応するために、ガバナンス自体も、ピラミッド型から自律分散型へ、硬直的なものから柔軟なものへの転換が求められています。

アジャイルガバナンスは以下のように二重のループで構成されます。
外部環境の変化をとらまえて、ガバナンスの目的自体の変更を行い、ガバナンスシステムの設計に活かす外側のループと、ガバナンスシステムを運用した結果をモニタリングし、改善を行う内側のループです。

アジャイルガバナンスの基本的なプロセス

個々のガバナンスを協調させるにはー「ガバナンスオブガバナンス」

アジャイルガバナンスでは、これらの二重のガバナンスのループを、企業や法規制、インフラ、市場など、様々なレイヤーで実施することを求めています。

個々のプレイヤーが自律分散的にガバナンスを実施する中で、それぞれのガバナンスが協調するためにはどのような仕組みが必要なのでしょうか? 

個々の現場で行われるガバナンスを社会の共通目的に向かって、統合もしくは連携させようとするガバナンスオブガバナンスの仕組みが、アジャイルガバナンスを実現する上では必要です。

ガバナンスオブガバナンス

Cocozenの取り組みは、個々の現場での実践やガバナンスが、互いに効果を打ち消し合うことなく、有機的に連携し、全体最適を実現できるようにするための仕組みづくりの実験の一つです。

トップダウンの全体主義に陥ることなく、個々の主体性、自律性を尊重しつつも、同時に全体最適を実現するには。これは民主主義そのものへの問いかけかもしれません。

ぜひ私たちの活動に併走いただけたら幸いです。

文:隅屋輝佳

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