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頭の回転とキャッチボール

会話に口を挟んでくる人は基本的に苦手だ。

話の腰を折られてリズムが崩れてしまうし
口を挟んだ割にその内容が浅いことが多いから。

会話はキャッチボール。

お互い気持ちよく投げて(喋って)
お互い気持ちよく捕りたい(聞く)

話をしていて楽しい人はキャッチボールの名手。

こっちのボールを実に綺麗に捕ってくれる。
また、捕りやすい玉をいつも投げてくれる。
こんな人なら永遠にキャッチボールが続く。

・・・

さて、口を挟んでくる人は苦手と言ったけど
せっかくなので
どうして口を挟みたくなってしまうのか
掘り下げて考えてみたい。

結論から言ってしまうと口を挟みたくなる人は
普通の人に比べて頭の回転が早いのだと思う。

相手の話の途中で「結論」が見えてしまうので
先回りして問題点を指摘してあげているのだ。
「みなまで言うな、俺は分かっている」と
いわんばかりに。ピュアなやさしさで。

でも、その指摘が間違っているとき
それはもうありがた迷惑以外の何物でもない。
そして多くの場合、ありがた迷惑なのだ。

「頭の回転が早い」というのは一見すると
優秀な人の特性のように思えてしまう。

でも、頭に浮かんだものを無責任にポンと
口に出すだけなら未就学児でもできる。

会話の上手い人は決して
頭に浮かんだものをそのまま口にはしない。

むしろ、頭で余計なことを考えないで
相手の話をしっかり聞くことに専念する。
笑顔で、頷き、共感して、関心を持って。

その聞き方が
相手が望む聞き方だと分かっているから。

つい、口を挟んでくる人は
たしかに頭の回転が早いのかもしれない。

でも、その言葉は軽い。
軽いが故に腰が入っておらず力不足だ。

・・・

とはいえ、世の中は広いもので
頭の回転が早い上に的確なことを言う人もいる。
さながら軽量級のハード・パンチャーだ。

学生で言ったら口喧嘩の強い人が分かりやすい。

相手の痛い所を、的確に、少ない言葉で突く。
相手の反論も瞬時に切り返してノックアウト。
(この人には勝てない…)と思うような人だ。

社会人で言ったらセミナーで人気の講師もそう。

質疑応答で、質問者の疑問点に瞬時に答える。
その言葉は聞きたいポイントを的確に捉える。
(めっちゃ納得した)と思わせるような人だ。

彼らは頭の回転が早い。
“ちょっと頭の回転が早い”どころではなく
“めちゃめちゃ頭の回転が早い”のだ。

彼らは相手の意見と対峙したとき
瞬時に意見が十数個浮かぶという。

浮かんだ意見から現状最も適したものを選択し
最も効果的なタイミングでそれを口に出すのだ。

私のような頭の回転が
普通~やや遅めの人からしたら
言葉のバトルではてんで相手にはなりっこない。
ターミネーターに竹やりで突っ込むようなもの。

じゃあ、頭の回転が遅めの人は損なのか?
といったらとんでもない。

会話のキャッチボールが気持ちよくできるし
文章を書く際には深くて力強い思考が役立つ。

頭の回転は使い方次第。

会話のキャッチボールを楽しみたい私としては
頭の回転が早くなくて良かったと思っている。


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