見出し画像

ホワイトデーって、何なん

ホワイトデーという奇妙な風習のことを
世の男性はどう思っているのだろう?

ぼくは昔からあまり好きではなかった。

バレンタインデーはまぁ、面白いと思うよ。
恋する女性が想い人に
言葉の代わりに渡すチョコレート。

初々しさや触れたら崩れそうな関係性が
見え隠れしていてまさしく青春のイベント。
そりゃ、色んな漫画や映画でも使われるよね。

でもなぁ、ホワイトデーか。
個人的にロマンチックの欠片も感じられない。
「お返し」を強要される日の印象が強すぎる。

なんですか、三倍返しって。
イイものを返さないとケチ認定されるみたいな。

いやまあでも、好きな人に返すならいいよ。
なんで義理チョコを貰った人にも
あれこれ悩んで返さなきゃならんのですか…。

お菓子会社のイメージ戦略らしきものとはいえ
ある程度根付いてしまったこの奇妙な風習は
モテない学生時代のぼくの精神をえぐった。

・・・

さて、今年もホワイトデーが巡ってきました。

ぼくはいつしか、ホワイトデーのことを
「悪くないね」と思うようになっていました。

理由はやっぱり嫁ちゃんだろう。
彼女は「お返し」を強要しないタイプだった。

付き合った当初、なんなら何もいらないとまで
言われたような気がする。気のせいだったかな。

人間というのは不思議な生き物で
「いらない」と言われるとあげたくなる。
それが好意を寄せる人ならなおさらだよね。

嫁ちゃんはバレンタインで手作りのチョコとか
チーズケーキとかクッキーとかを作ってくれる。
不思議なことに手作りだとめちゃくちゃ美味い。

心が満たされるという感覚なのかな?
とにかく、美味しさが跳ね上がる。すごい。

それを受け取ったら返したくなるのが人の道。
でもぼくはお菓子をキレイに作れる自信がない。

「ねえ、お返しで食べたいのある?」

そこでぼくは毎年、嫁ちゃんに希望を聞く。
普段食べない店のスイーツを食べに行こうと
二人であれこれ考えることにしたのだ。

サプライズでお店を予約してもいいんだけど
残念ながらぼくのサプライズは失敗が多い。
微妙な空気になってしまう。向いてない。

「だったら二人で満足できるもの見つけよう」と
ウチのサプライズは定着しないまま消滅ロストした。
さようならサプライズ。君のことは忘れない。

・・・

というわけで今年は普段ほとんど食べない
英国風アフタヌーンティーセットみたいな
エレガントでお洒落なヤツに決定。大決定。

「夫くん。ここの店、予約必要みたいだよ」

「うむ。まかせておきなさい」

そんな会話をしたのは二週間ほど前だった。

嫁ちゃんは知らない。

ぼくがこの記事を書いている今

まだお店の予約をしていなかったことに…。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?