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【ライブ】ペルシカリア「Service Ace tour 2024」新所沢THE ROCK 2024.3.30

活動初期から追っている数少ない同郷・埼玉のバンド。

なかなかライブのタイミングが合わず、以前見たライブがよしはらくんの卒業ライブだったため時間が空き約2年ぶりの目撃。

場内はソールドアウトで満員、埼玉県人なのに先行チケットが全滅して絶望していたが、譲ってくださった方がいたのでありがたくも行ってきた。御朱印集めにハマり神社行きまくってて良かった。ご利益発揮。

ライブレポート

どこか語りかけるように歌われるミディアムテンポの「いびき」から始まるも、間入れる間も無く「死ぬほどどうでもいい」で風船が割れたようにはち切れる。

矢口「ツアー回ってきて今日がツアーファイナル。でも期待以下!地元埼玉なのに全然物足りない!埼玉お行儀が良すぎる!だから盛り上がりそうなこと発表します。」

「埼玉で3連チャンでライブやります。新所沢、川越、越谷。遠征してる人が多いから一気に詰め込みました。来てくれよ!」

通常こうした告知はアンコールでするものだが、ライブも始まってまも無い2曲目の途中で新規ライブを発表すると言う若手ならではの衝動、さらに告知後は仕切り直して同じ曲を2回する奇行に走る。

既にツアーファイナルの熱気と一体感は凄まじく、「恋心納品日」「どうしたって」と続く。

特に「死ぬほどどうでもいい」「恋心納品日」での統制されてたかのような一糸乱れる圧巻のシンガロングは”伸びやか”と表現するよりは、コロナ禍が開けてモッシュダイブが解禁された直後の10-FEETのライブで演奏された「第ゼロ感」のとんでもない”屈強さ”とふと重なった。

「前にいるセキュリティさんが暇そうなんだよ!」と煽れば「ショートカット」で続々ダイバーが発生。当初「さよならロングヘアー」のアンサーソングとして発表された楽曲が、ライブハウスで映える曲なるとは想定していなかっただろうな。

や「親父と殴り合いの喧嘩したことがあって、親父のことを反面教師だと思って生きてきたけど、親父のことを見直すきっかけになった出来事があった。16歳でギターを持って歌を書き始めた時だった。」

このとき矢口くんのお父さんがフロアに見に来ており、ステージMC中の息子に対してフロアにいる父が野次を飛ばすという、なかなか奇妙が光景が生まれていた。

ここからスローテンポの曲が続き、「煙」のスモーキーなアルペジオがアンニュイな雰囲気を醸し出す。

「離愁」は秋のセンチメンタルを思い出させる哀情とは裏腹に、この日から一気に春らしくなった暖かく穏やかな気候のチグハグさが不思議と突然友人から失恋した報告をさせられたかのような、なんとも言えない気持ちになった。

そして直後の「ビートルズが歌った」の歌い出しから「歓声の先」ではロックバンドらしいここ一番の盛り上がりを魅せ、ピークは最高潮。

「親父と喧嘩したのは、俺が大学を辞めたいと言った時。新所沢でライブするとき親父絶対見にきてくれてるんだけど、さっきあそこらへんにいたけど。母からは”やりたいことがあるならいいじゃない”と言われたけど、親父は止めてきた。実は親父が中卒で、それはバンドやるためだとは高校卒業まで知らされずにいた。そんな親父が今の"正義"は家族を守るためだって言った。」

「そんな親父だけど言っていたことは1つだけ。汚い大人になっても肯定する、でも絶対に”優しさ”を忘れるな、『優しい人』になれ」

先ほどの親父さんとのやり取りと親父さんのエピソードを挟んでの「優しい人」では新曲にも関わらずモッシュダイブの嵐、「HOME」の「お父さんお父さん届いてますか?貴方の正義も全部歌って」が染みに染みる。

こんなにもいい親子関係をライブハウスで見れていいのだろうか、と他者ながら、いや他者だから思うのだ。

や「ツアーを回ってきて、やっと4人になれた気がした。辞めとうと思った時もあって、それは俺が突っ走ってる気がしてたから。たいぴょんともずっと仲悪くてさ、なんかお客さんにはそう見えてないかもしれないけど」

客(…)

や「分かるんだ(笑)」

た「冷戦状態というか、ずっとビジネスパートナーだと思ってて踏み込めなかった。でもこのツアーで踏み込めた気がする」

や「俺はたいぴょんがお酒飲めないって言ってたのにお酒飲んでくれるようになったのが嬉しい」

「ミルキーのスタッフさんに来てもらってて、その人たちの前で言うのもアレだけど、ミルキーの先輩にギターコード弾きながら語るのはダサいと言われた。確かに売れてないし、気にしてMCしないでライブをした時もあったけど、”誰かの居場所になりたい”という気持ちでライブをしていることは受け取って欲しいなと思ってる。」

「さっきもライブ発表したけど、学校や仕事が終わって、俺たちのライブが目標になれればいいな」

「生き辛えよな」と世知辛いこの世を代弁するように 「最初の晩餐」、客の熱量を”完済”するかのように「愛情完済日」で本編は終了。

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アンコールではツアーTシャツに着替えたメンバーが再登場。

や「(ツアーTシャツを着て)UKPに着させられました!ツアーTだし、こんなに可愛いTシャツもしかしたら今日までしか買えないかも。…なんかみんなある?たいぴょんの親父エピソード聞きたい」

た「僕の親父は大学出て、サラリーマンになって、僕を小金持ちにさせてくれて、学校は私立通わせてくれて。親からはバンドやってもいいけど絶対大学は卒業してくれと言われています!」

や「大学卒業がたいぴょんの正義だな」

「あんまやりたくない曲なんだけど….」と前置きしてからの「ラブラドール」は悲鳴に近い歓声が上がり、「悲しみについて」では隣の人と肩を組んでゆらゆらと揺れる。(いつの間にかこの曲で肩を組むのが恒例行事になっていたようでオドオドしていたところ、隣の女の子が肩を組んでくれた。優しい世界)

ラストはペルシカリアの知名度を一気に上げた曲「さよならロングヘアー」で大団円で終了。

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最初にペルシカリアのことを知ったのは、今日は演奏しなかったがEggsに上がっていた「裏垢少女」だった。(今後もやる雰囲気は無いのだが)

この曲を聴いたとき、数多の曲で何故か耳と心にズシンと残った。同時に「このバンドは売れる!」と思った。才能の原石に違いなかった。青臭さ、泥臭さ、気怠さ、反骨精神。確かに率直な日本語と、不器用な胸中だった。そしてメロディや歌い方など既に”ペルシカリアっぽさ”が確立されていた。

今日のライブを見て、ふと初めてペルシカリアを聴いた時の思い出した。初心忘れるべからずという意味でも、人物でも物事でも忘れることのない一番最初の出会いでも、大人になると忘れがちな初心と原点を思い出させてくれたような気がした。

感想

久しぶりのペルシカリア、成長と同時に伸び代も感じ、さらにはライブハウスの楽しさを最大限に活かしたエモーショナルなライブだった。

ツアーファイナルということもあり矢口くんは「遠征してくれてありがとう」と遠方から来てくれたお客さんに感謝を述べていたのだが、何故か地元の埼玉県民に一切触れることはなく「こういうところが埼玉なんだよ」と埼玉県人ながら思った。

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2年前、越谷のライブでyodomiとの対バンへ行った時はまだコロナ禍だったためマスクの着用やライブハウスのスタンディングの位置指定などがあったし、年齢層も学生が多くいわゆるZ世代系のファン層だったため、ここまでモッシュやダイブが発生するバンドになるとは微塵も思っていなかった。

盛り上げるためにモッシュやダイブを起こさせる曲を作るバンドは総じて嫌いなのだが(客任せにするなという意味で)、モッシュダイブがありきのパンクやメロコアバンドを名乗っているのではなく、ペルシカリアのようにオルタナティブロックバンドからダイバーが自然発生するバンドは今時希少だ。

バンド側がいいライブをすれば、熱量の煽りをすれば、客も乗っかってモッシュやダイブは起こる、バンドへの最大限のリスペクトの結果として。私はそう思う。

何よりモッシュダイブやシンガロング以上に、ギターソロや間奏で大量の拳が上がるフロアを見て、彼らの未来と埼玉のバンドシーンの未来は明るいと思った。

セットリスト(公式URL)

※アンコールは「さよならロングヘアー」の前にサブスク未配信の「ラブラドール」「悲しみについて」

客層は20歳前後の若い子が6~7割でアラサーの私がBBA枠に入るぐらいだと思うんだけど、モッシュ起こってもサビ終われば引くし、リフトする人はいないし、この世代はコロナ禍でダイブか禁止されてたにも関わらず飛び方とか飛ばし方も知ってるし、ロングヘアーの子はみんな髪縛っていたし、終演後は落とし物を声かけあったりしていて、凄くマナーが良くてびっくりした。久しぶりに観に行くから若い子たち多めのファン層がちょっと怖かったのよ(笑)全然心配無かった!


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