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乾坤一擲、Lead入魂のニューアルバム『THE SHOWCASE』の素晴らしさ

ダンスボーカルグループLeadが実に4年ぶりとなるニューアルバム『THE SHOWCASE』を発表した。

多彩なジャンルで「魅せる、聴かせる、楽しませる」というコンセプトのもと、その多彩な楽曲を数々の魅惑的なアイテムに見立て、それらが並べられているショーケースのような構成であることからアルバム名が『THE SHOWCASE』と銘打たれている。そのコンセプト通り、バラエティー豊かな楽曲の数々とメンバーの歌声やラップを堪能し楽しめる内容となっているが、純粋に楽しめるだけで済まされないこの感動は、メンバーも語っているように「悔いなく全力で臨んだ」ことが歌声やラップ、トラックや曲順構成などからビンビンに伝わってくるからだろう。個人的にはLeadの現段階における最高傑作とも言えるのではないか?と思っている。

このアルバムを歴代最高傑作たらしめているもの、それはメンバー自身の現在の音楽的嗜好をひとつひとつの楽曲に最大限に反映させながらも既存シングルも含めた曲順にまで拘ることで、メンバー自身がアルバム発表に至るまでの音楽人生を振り返りつつも、今後どのように音楽と向き合っていきたいのかをアルバムという作品を通して示した姿勢そのものだと個人的には感じている。メンバー自身が作詞作曲を手掛けた楽曲が多く含まれているのも、その姿勢を最もよく表している部分だと思う。

アルバムは、ディスコやファンク、新旧様々なクラブミュージックやヒップホップの要素を盛り込んだ楽曲、ホーンセクションを効かせたポップナンバーの楽曲に既存シングル楽曲…これだけ多岐にわたるバラエティー豊かな内容が収録されているにも関わらず曲順に関してはこれ以上ないくらいの自然な流れとなっている。谷内くんが語っていたアルバムの「振り幅」が、リスナーをただただやみくもに振り回しているのではなく、アルバムを通して音楽の世界をクルージングしているような、心地よく楽しい気分にさせてくれる、そんな「振り幅」なのだ。曲順によってアルバム全体に大きなグルーヴ感を生み出しており、そのグルーヴ感に身を委ねることで聴いている人が自ずと楽しめる、そんなアルバム構成となっている。

そして何よりも素晴らしいのは、そのバラエティー豊かな楽曲ごとに表情を変える表現豊かなメンバーの歌声やラップだ。

冬に宮本亜門演出の舞台『PRISCILLA』への出演が決まっている古屋くん、楽曲制作に並々ならぬ情熱を注ぎソロライブを成功させた鍵本くん、流れるようなフロウでラップを刻みながらダンスができるという稀有な能力を備えた谷内くん…3人が楽曲のカラーに合わせて歌い方やラップフロウを変化させることによって、楽曲の魅力が一層増しているように感じている。古屋くんや鍵本くんに関しては、これまでのまっすぐで伸びやかな歌唱法だけでなく、リズム感を活かした跳ねや喉を効果的に効かせた歌唱法そしてファルセット唱法などで新鮮な驚きを与えてくれたし、谷内くんに関しては、これまでのラップをより個人的な嗜好に強く寄せた方向性に振り切っており、楽曲に軽快さと逞しさを注入してくれている。

単に彼らが置かれるダンスボーカルグループを取り巻く世界の中でだけでなく、今後は各アーティストが音楽シーンの中でどのように音楽と向き合っていくのかということがより重要になってくるだろうと言われている。そんな中、各メンバーの音楽的嗜好をふんだんに盛り込み、歌唱法やラップフロウを楽曲に合わせ変化させ進化(深化)させ、そのバラエティーさそのものを魅せ、聴かせ、楽しませることこそLeadであり、それは唯一無二のものであるということをアルバムをもって示したことが今回のLeadのすごさであると感じている。そして今回の『THE SHOWCASE』はダンスボーカルグループシーン、J-POPシーンに放たれた渾身の、まさに乾坤一擲と言える一投なのではないかと思う。この素晴らしいアルバムが多くの方に届き、Leadの音楽を多くの方に楽しんでいただけることを心から願っている。

余談までに、簡単に現段階において個人的に好きな楽曲を紹介しておく。M01の『Loud!Loud!Loud!』はEXILE TRIBE関連、K-POP、Da-iCE等の楽曲を手掛けたことでも知られるDrew Ryan Scottが楽曲制作に参加しており、古屋くんが作詞を担当したレトロモダン色溢れるディスコ・ファンク。M11『志~KO.KO.RO.ZA.SHI~』は民族音楽の要素を取り入れたクラブミュージックの様相となっているところが個人的に大好きなDimitri Vegas & Like Mikeの楽曲を彷彿とさせてくれて、かなりのお気に入り楽曲である。

M14の『Stand Up Action』はホーンセクションが華やかなポップナンバーとなっており、通常のアルバムであればラストを飾る楽曲だろうと思われる。そこをM15『Upturn』で終わらせたことで、過去・現在・未来の時間軸が一気に繋がったかのような感覚になった。そしてLeadは今いる場所から再び未来に向けて強く一歩を踏み出したのだろうと思わせてくれた。

Lead渾身の一作である『THE SHOWCASE』を聴いて強く胸を打たれた勢いで今回の記事を書いてみた。本当に素晴らしいアルバムだと思うので、ダンスボーカルグループの枠にとらわれすぎず、幅広い層の方々に今回のLeadの音楽が届くことを強く願っている。

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