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生まれてはじめてアーティストにファンレターを書いた話

先日、生まれてはじめてアーティストにファンレターを書き、イベント会場に置かれていたプレボに書いたファンレターを入れてきた。

実はこれまで、大好きな海外サッカー選手や漫画家にファンレターを書いたことはあったが、音楽がこれだけ好きにも関わらず不思議とアーティストにファンレターを書いたことがなかった。自分の感想がダイレクトにアーティストに届くということ自体に照れがあったのだろう、直接伝えたい気持ちがあっても、その気持ちをアーティストに直接届ける勇気が持てなかった。

そんな自分が一念発起してアーティストにファンレターを書いて、アーティスト本人に直接思いを伝えたいと思ったことには、自分なりに大切な理由があった。

2015年の12月末に仕事で大きな挫折感を味わい、どうしようもないほどに絶望していた。Twitterは自分にとって第2の家のような存在であるため、その家のような空間やフォロワーの皆さまと繋がっていたいという思いから何かしら呟いていたとは思うが、当然ながらTwitterにいない時間帯の方が圧倒的に長い上そこが日常における主戦場であり、その主戦場において自分は戦いに疲れ果て、生きている実感が持てないほどに落ち込んでいた。

そんな時に出会ったのが、とあるダンスボーカルグループのリーダーが作詞を担当した『Cynical Life』という楽曲だった。

当時発表されたばかりのアルバムに収録されているその『Cynical Life』の歌詞のひとつひとつが、どん底まで落とされるほどに絶望していた自分の心にとても自然な形で響いてきた。「どんなに頑張っても転んでしまう事だってあるだろ?」「神様だって公平なワケない」と負の立ち位置から物事を語りかけてくれつつも「映画のような奇跡が起こるとは思ってないけど描いていた夢の一つくらいは信じたっていいだろう?」と、暗闇の中でも微かな光を見出し強く前に進もうとする姿が描かれたこの楽曲は、精神的などん底にいた自分に寄り添ってくれているようだった。落ち込んでいる間、ずっとずっとほぼ毎日『Cynical Life』を聴いていた。何とか自分の足で立ち上げれるようになるまで、ずっとずっと『Cynical Life』が寄り添ってくれていた。『Cynical Life』を聴いている時間が、本当に救いだった。

『Cynical Life』を作詞したそのメンバーを私のフォロワー様が「負は彼のキーワードだ」と表現していたが、『Cynical Life』の歌詞はとにかく様々な「否定」の言葉で成り立っている。歌詞の中に「~ない」という表現が十数回出てくるし、負を連想させるような単語や英語表現も合わせると、歌詞の大半が「ないない尽くし」の否定表現だらけだ。現状に対する憂いも、挫折感も、そして信念や決意すらも否定形で表現されているからこそ陰鬱な状態の心にストレートに響いてくるし、否定形で表現されていない箇所(「Let me set you free」など)が微かな希望の光のように思えてくる。そんな『Cynical Life』をずっと聴き続けたことで自分の中に微かな勇気が湧いてきたのだった。

自分を取り巻く状況が全くよくなっていない中でも何とか立って這いつくばってでも前に進もうと思い始めた頃に、それまでアルバム楽曲の中であまり聴いていなかった『Back To The Future』という曲を聴き始めた。

一番大好きなメンバーが「それ以上落ち込まないで」、自分は「未来から来たタイムスリッパー」だから君の未来が大丈夫だと「僕は知っているんだ」と歌ってくれたこと、「今から伝えること信じて欲しい」、幸せに溢れている「その未来で僕は待っているよ」と語りかけてくれたことに当時どれだけ励まされたか計り知れない。明日を生きる力をその曲から、その大好きなメンバーの歌声や笑顔から与えてもらいたくて、とにかく何度も何度も聴いたりMVを見たりしていた。もともとロケ地巡りが趣味の一つではあったが、MVが撮影されたその場所自体からも勇気や元気を与えてもらいたかったから、『Back To The Future』のロケ地まで行ってしまった。

『Back To The Future』では何度も「励ましたい」「笑って」と歌われていて、最後にはそれを「君だけに伝えたくて」と歌ってくれている。音源を聴いている時、MVを見ている時には、相手が語りかけている相手は「君」イコール自分自身しかそこには存在していない。そのことを考えると、『Back To The Future』はあれだけ多数のファンがいるにも関わらず個に宛てた究極の応援ソングだと思っているし、自分自身に語りかけてくれているような感覚を感じることができること自体が嬉しくて仕方がなかった。

『Cynical Life』にそっと寄り添って支えてもらい立ち上がる勇気を奮い立たせてくれたこと、『Back To The Future』に背中を押してもらったことに対して、どれだけ感謝してもし尽くせないほどに心から感謝していることや歌詞や曲や歌声には本当に人を救う力があるんだということをそのメンバー達に伝えたいと思うようになった。そして自分の思いを伝える手段として「ファンレター」という手段を選んだ。

しかしながら生まれてはじめてアーティストにファンレターを書くということで、好きなアーティストに向けて何をどのように書いたらよいのかや作法が分からなかったため普段から多大な信頼を寄せているフォロワー様にアドバイスを仰ぐことにした。そんなフォロワー様の協力もあり、自分なりに心を込めたファンレターが何とか完成した。ファンレターには、感謝の気持ちや歌詞や歌声が私を救ってくれたり勇気や力を与えてくれたこと、楽曲や歌声の感想、メンバーの好きなところや尊敬しているところ、そして今もこれからも応援してるという気持ちなどを書かせていただいた。

自分の書いたファンレターを、そのファンレターを宛てたメンバーに読んでいただけるとは信じているが、正直自分が書いたファンレターが読んでいただけた後にどうなっても構わないし、細かい内容は忘れられてしまっても構わない。それでもファンレターを書いたのは、自分自身が伝えたいと思ったから、伝えないことであとあと後悔したくなかったからであり、まずは自分のためである。そして自分のファンレターに込めた思いが、本当に小さな小さなかけらとなって他のファンの皆さまのたくさんの思いと共にアーティストの支えや原動力となってくれれば、また人であればダークサイドに囚われそうになることもあるだろうからその時囚われることがないよう抑止力となってくれればと思ったからである。大好きなアーティストには心身共に健やかで、これからもますます活躍して欲しいと願っているし、その活躍する姿をずっと見ていたい。そのためにいちファンとして可能なことは極力していきたいと思っている。CDを購入すること、ライブに足を運ぶこと、その感想を発信していくこと、どんな形でも思いを伝えること…その一つ一つがアーティストの力に繋がると信じてこれからも応援していきたいと思う。





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