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「アーシー」を体現する大野雄大(Da-iCE)の魅力について

前回の記事では、Da-iCE花村想太くんについて語ってみた。花村くんの稀有な声帯から生み出される歌声は私にとってイマジネーションを掻き立ててくれる存在だと前回語ったが、今回はDa-iCEのもう1人のボーカル担当である大野雄大くんについて語りたいと思う。

もともとDa-iCEは、2014年8月14日のa-nation islandにて花村くんの歌声がまるで「矢」のように自分を突き刺したかのようだったという実体験に感動したところから本格的に興味を持ったのだが、その衝動のままに数日後購入したのがシングル『SHOUT IT OUT』のDVD付きCDだった。

最初は花村くんばかりを見ていたのだが、徐々に大野くんに目がいくようになっていった。大野くんはふとした瞬間に笑顔だったり、体の動きがとても大きく、表情や全身から楽しさや一生懸命さが伝わってくるようで、そんな大野くんのパフォーマンスに惹かれていったのだと思う。

目が離せなくなる存在…そんな存在を所謂「推し」と呼ぶのだろう、そして『ハッシュ ハッシュ』において、いよいよ大野くんが私の「推し」であることが決定づけられたように思う。

『ハッシュ ハッシュ』は海外のボーイバンドらしいスタイリッシュな部分を出しつつもグループとしての活動スタイルを表明するような内容となっており、MVではメンバーがわちゃわちゃしている風景が描き出されているが、他のメンバーがどこかはにかんでいるような笑顔の中で、大野くんはとにかく常に全力で笑っている。『ハッシュ ハッシュ』では大野くんの弾むように全力で楽しんでいる様子が歌声や体全体から伝わってくるし、その様子は一際目立っているように思った。

大野くんのその「陽」のパワーはどこから湧いてくるのか、それを考えるためにも大野くんのキャリアを振り返ってみたいと思う。

大野くんのキャリアを考える上で欠かせないのがアカペラグループ「腹筋学園」だが、メディアにおける腹筋学園での活躍により、この段階において一定の認知と人気を得ているようだ(※実は私はあれだけRAG FAIRが流行った頃においても「ハモネプ」は見たことがないのだが、アカペラ経験者に「腹筋学園知ってる?」と聞くとほとんどの方が知っているので、当時は「ハモネプ」において腹筋学園は人気だったことがうかがえる)。

腹筋学園の活動が落ち着いた頃から本格的にDa-iCEプロジェクトは動き出しているようだが、人づてに聞いて驚いたことは大野くんはDa-iCEに加入してから本格的にダンスを始めたということと、Da-iCE加入時前後は働きながら多い時で1日10時間ひとりカラオケで歌の練習をしていたということだった。

『BILLION DREAMS』のMVメイキングで働いていた時代のことが大野くんの口から語られるが、働いていた頃の日々が本当に充実していたことが伝わってくるし、働いている時間帯以外は歌や未経験のダンスと悪戦苦闘しながらもしっかりそれと向かい合い努力を重ねることができる大野くんは何というバイタリティーの持ち主なのかと本当に感動する。メンバーが語るように、本当に真面目で熱い方なのだと思う。

そんな明るさとバイタリティーと真面目さと熱さを持ち合わせる大野くんのことを考える時に、大野くんのボーカルを表現するのに用いられる「アーシー」という言葉が浮かぶ。

「アーシー」とは、土の香りのするような、どろ臭いという意味で使用され、主に黒人音楽のR&B・ゴスペル・ソウルなどの野性的で素朴なサウンドを形容するのに用いる言葉だ(出典:デジタル大辞泉)。アカペラグループで活躍していた大野くんの経緯を踏まえた上で大野くんの歌声を「アーシーボイス」と表現したことに関しては上手い表現だなと本当に感動してしまう(余談だが、いろいろな意味でどうしても物議を醸し出してしまう「顔面偏差値75」「イケメン界の東大生」よりも、「アーシーボイスを持つ雄大と、女性の声帯を持つ稀有なハイトーン・ベイビーボイスを持つ想太が織りなす2人の4オクターブボイス」という売り文句の方がDa-iCEの魅力を正確に表現できていると個人的に感じるから、私はこちらの売り文句の方が好きだ)。

「アーシー」は英語では「earthy」と書き、もともとは「earth(地球)」という単語から派生している。大野くんの魅力はボーカルスタイルだけでなく、人柄や気質などにおいても「アーシー」という言葉で説明できるのではと思う。ボーカルスタイルにおいて細かいビブラート唱法をあまり多用せず力強く歌い切るところや、LDH系でも通じるような声質でありながらもよりスモーキーな声質が土の香りがするようでそれはまさに「アーシー」だと思うし、明るく飾らない(時に少しばかりやらかしてしまうところやファンとのやり取りのなかで沈み込んでしまう部分も含めて)自然体な人間性自体も「アーシー」だと思うし(※私の中で大野くんのイメージは熱帯・亜熱帯気候である)、何より内面でふつふつと限りなく生真面目さや情熱をたぎらせており、それが原動力となっている様がまるで地球のマントルや核のようで、そんなところも含めてあらゆる部分において地球の自然を体現しているようなイメージを彷彿とさせてくれるところがまさに「アーシー」と言えるのではないかと個人的には思っている。Da-iCEでの音楽活動を通じて様々な曲調におけるボーカルスタイルを模索中かと思うが、曲調で細かな表現スタイルは変わっても芯の部分は変わらない、心から「あるがまま」を魅せてくれる人間らしい「アーシー」な部分に包み込まれ、その安心感の中から私は日々元気を、活力を与えてもらっているのだと思う。そして、そんな「アーシー」な大野くんが自分は本当に心から大好きなのだと思う。

Da-iCEは、そんなアーシーボイスを持つ大野くんと稀有なベイビーボイスを持つ花村くんによるツインボーカルによるダンスユニットである。2人のボーカルスタイルや声質はまるで真反対であるにもかかわらず、実は絶妙なハーモニーを聴かせてくれる。そんな絶妙なバランスにも着目しつつ、大野くん花村くん個々のボーカルスタイルにも是非着目していただけたらと思う。私がそうだったように、きっと新たな魅力をDa-iCEの中に見出していただけると思う。


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