エリザベス1世（1533年 - 1603年）は、イングランドとアイルランドの女王であり、1558年から1603年までの約45年間在位しました。彼女は、イングランド王ヘンリー8世と、その2番目の妻アン・ブーリンの娘であり、テューダー朝の5代目の君主です。彼女の治世は「エリザベス朝」と呼ばれ、イングランドの黄金時代とされています。

エリザベス1世の治世は、イングランドの政治・宗教・文化面で大きな発展があった時代でした。彼女は、カトリックとプロテスタントの対立を抑え、国内の宗教的な不安定さを終息させるため、統一されたイングランド国教会を確立しました。また、エリザベス1世は、外交政策の名手としても知られており、フランスやスペインといった大国との巧みなバランス外交によって、イングランドの国際的地位を向上させました。

特筆すべき功績の一つに、スペインの無敵艦隊を破り、イングランドの独立を守った1588年のアルマダの海戦があります。この勝利は、イングランドの海洋覇権の礎を築き、後のイギリス帝国の基盤を形成することになりました。

エリザベス1世の治世は、イングランド文学や芸術の黄金期ともされています。ウィリアム・シェイクスピアやクリストファー・マーロウといった劇作家が活躍し、彼らの作品は現代にも受け継がれています。また、音楽や美術、建築などの分野でも、多くの優れた作品が生まれました。
エリザベス1世は、「処女王」とも称され、結婚せず子供もなく、彼女の死によってテューダー朝は終焉を迎えました。しかし、彼女の治世は、イングランドの経済・文化的繁栄の象徴として、歴史に名高い時代として今なお語り継がれています。