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note:87 ホットモーニング【BreakfastNotes】

 「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。朝目覚めて、体に昨日の食事やビールが残っているのを感じて、朝食の気分にならなかったとしても、支度をしてバスに乗り、駅の着く頃には「今日は何を食べようか」などと考えられるくらい体が回復してくる。朝食の習慣化が、一つのリズムを作ってくれているのか、自然に食べる準備にもなっていく。
 会社を間も無く辞めるのだが、この出勤前の朝食がなくなってしまうのが、寂しい気もする。せっかくなのでランチも記録しておきたいところだ。

ホットモーニング¥470-

 初めて見たので頼んでしまった。ベーコンエッグと書いてある。よくも悪くも、ドトールのモーニングは見た目が変わらないので、それほど警戒をしないで頼んでしまった。

 これはとんでもない傑作と言っていいのではないか。

 ドトールのホットモーニングは、私が思っていたイメージを完全に裏切ってきた。ドトールらしくないと言ったらいいだろうか。
 見た目は全く変わらないのだが、挟んであるのは、とろとろのスクランブルエッグ、ベーコン、おそらくケチャップだろうと思う。食べると中のとろとろ玉子が逃げてお尻からはみ出す。思った以上に食べにくいのだが、それがいい。
 夢中になって食べているうちに包み紙の底に、はみ出た玉子がたまってしまう。その熱々の玉子、行儀悪く啜って一気に食べる。
 なんとも言えない贅沢を感じる。スクランブルエッグとケチャップが混ざり合った、すこしピンクの玉子にコクと酸味を感じる。なんてうまいんだ。
 熱いことを前提に頼んだアイスコーヒーで口内を冷却し、香りと香りを混ぜ合わせて、私は1分ほど余韻を楽しんだ。

 ……私は朝食が好きだ。新しい挑戦を垣間見た気がしたし、また食べたいなと思った。

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