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note:64 朝さば文化干し定食【BreakfastNotes】

 「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。体調によって求めるものは変わってくる。
 体が目覚めず、食欲がないという時が多いだろうと思う。そんな中で食べられるものを選んで少しでも食べる事は体にいい。食べたいものを食べれば、心にも良い。美味しければ、尚良い。
 寝起きは体のコンディションがリセットされているような状態に感じる事が多いので、敏感に味を感じる事もあり、その日の自分のコンディションを知ることにもつながっていい。
 だから今日も私は朝食を求めている。

 朝、バスを待っているあたりから空腹を感じていた。あれを食べようと決めてきたのだが、お店は空いていなかった。土日の早朝は営業していないチェーン店が出てきている。働き方改革なのか、それとも働き手がいないのか。
 真っ暗なチェーン店が並ぶ通りに、一軒明るい看板が私を誘なうように、煌々と光っていた。
 すごく久々な気がした。鯖の染み出す脂から、焦げた皮に香ばしさ。ご飯は欲しくなってしまう塩気と鯖の味。嫌味なくしっかりと寄り添う味噌汁。清涼感をもたらす、おろし。
 日本人でよかったな、というと差別主義的に聞こえてしまそうで易々とは口にできないが、私のアイデンティティがどこにあり、私は何者なのかを認識するヒントをくれているようだった。

 ……私は朝食が好きだ。奇しくも今日のラッキーフードが魚だったので、そこもまたラッキーだった。

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