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note:33 ミラノサンドAとアイスコーヒーM【BreakfastNotes】

 ……私は朝食が好きだ。夏のこの暑さで食欲がなくなっても食べたいと思う。
 会社の喫煙スペースで、朝、ひっくり返ったセミがいた。違う部署のお姉さんと「この子はもう終わりだね」などと、セミの短い一生を思い、その最も輝いた時期を終え、最期を迎えるだろう所を見て、心で手を合わせていた。
 しかし一時間毎に見ても、手足を動かして臨終していなかった。
 とうとう退勤前の最後の一服まで、セミは生きていた。命の強さを感じた夏の一日だった。

ミラノサンドAとアイスコーヒーM¥700-

 久々に食べようと思っていた。店内は涼しく、賑わっていた。注文し、受け取る時のお皿はしっかり熱く、お皿の温度一つにも優しさを感じる。このパン一つがお腹の中に入るのだ、人間とは不思議なものである。
 綺麗に切られた断面を見て、おそらくマヨネーズ、レタス、ハム、生ハムと挟んであるだろうか。少し固めのパンに潤いと味をプレゼントして、パンはそれを頂き、一体感をそれぞれに与えてくれる。型崩れが少なく、全てを一緒に食べる事ができる。
 思ったよりきついハムの塩気が、よりパンを甘く感じさせてくれる。アイスコーヒーで、すっきりと流してしまうと、残る思い出は「うまかったな」くらいなものであった。幼少期や学生時代の思い出と同じで、いいところだけがいつまでも残っている気がする。

 「朝食」は「朝、人を良くする」と書く。
 ……明日は、何を食べようかな。

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