……私は朝食が好きだ。ここ数年、ほとんど自分で作る事はなかったが、自分で用意する事もあったし、いい思い出である。
　朝炊けるようにタイマーをセットする時に、まれに母がセットし忘れて、朝ごはんが炊けていない両親の喧嘩も覚えている。
　いいじないか、そんな事があってもと、おそらく高校生くらいの私は思ったものだ。父には大切な朝のご飯だっただろうから許し難いのもわかる。
　朝食で戦争が起こり、世界情勢が変わりかねないのも確かなのだ。

　土曜日は電車のダイヤも違って、同じ時間に家を出ても、10分くらい早く着く。ここを狙ってゆっくりしたいのが土曜日である。コーヒーも一つサイズを大きくて、ゆっくりしようという魂胆だった。
　今日作ってくれたスタッフさんは若い女性だった。私の前の御婦人がたくさん頼んだ事もあり多少焦っていたのはわかった。結果、おそらくレタスが多い。嬉しい誤算だった。いつも多いが、いつもより多い。
　ソーセージは完全に飛び出して、仲間外れにされていた所だったが、私はしっかりみんなで仲良くするように、言い聞かせながら食べた。強めに感じる味覚だったが、美味しいと思うくらいの回復に自分で嬉しくなった。
　美味しいと思う事ができる。きっとこれがなにより、そう思った。コーヒーの味も、いつもの味に感じられる幸せを感じた。

　「朝食」は、「朝、人を良くする」と書く。
　明日は休みだから、適当に仕事をしようと思う。