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Tokyo312にうってつけの日?

 目が覚めて、部屋の小さなデジタル時計の方を見やる。時刻よりもっと小さなセグメントで表示される数字”3/12”が目に入る。今日の日付。何があるというわけではないが、Tokyo 312という自分の曲のタイトルを思い出す。

 「今日は⚪︎⚪︎の日です!」みたいなものが沢山ある。ポッキーの日(11/11)とかイチゴの日(1/5)とか、多少無理がありそうなものを含めたら結構色々ありそうである。

 日付を見て自分の作品タイトルが思い浮かぶとは、我ながらいくらか図々しさを感じるが、思いついてしまったものはしょうがない。いっそ今日はそういう日にしてしまおうか。「今日は3月12日で、Tokyo312の日です!」

 しかし、ううむ。そもそも312は日付に由来しているわけではない。解釈は自由だけど、無理をして自らこじつける必要はない。

 では、「うってつけの日」にしたらどうか。「今日はこの曲を聴くのにうってつけの日です」。ちょうどいい感じ?どうだろう。

 今日、東京は雨らしい。自分はこの曲を聴くと(他人事のような話だけど)どちらかと言うとカラッと晴れた日の空気の匂いがする。雨の日に聴いていけないことはないが、じゃあ全然”うってつけ”でもないか。

 「うってつけの日」と聞いて思い起こされるのは、“バナナフィッシュにうってつけの日”という作品タイトルである。J.D. サリンジャーの書いた短編小説。昔読んだなぁ。

 原題は“A Perfect Day for Bananafish” というもので、直訳したら”バナナフィッシュに完璧な日”となるが、”〜うってつけの日”と翻訳されるの、良いなぁと思う。

 そういえば“うってつけの”って日常であんまり使うことないな。試しに使ってみようかな。よし、実際に使ってみる。

 「Tokyo 312の312は3月12日からきているわけではありませんが、思い出して聴くにはうってつけの日です。」

みたいな感じ。なんだかわざとらしくて良い。”It’s a perfect day”、完璧な日。

 さて、英語にするとどうなるだろう。試しに書いてみて、Chat GPTに校正してもらう。

 “The title ‘Tokyo 312’ doesn’t come from March 12th; however, it’s a perfect day for remembering and listening to the song.”

 セミコロン(;)の使い方がそれっぽくて良い。

 “バナナフィッシュにうってつけ日”とは全く関係ないけど、ヴィム・ヴェンダース監督の”PERFECT DAYS”っていう映画、良い映画だったなぁ。今度また観に行きたいな。

 映画の途中、影の濃さについての話があったなと思い出す。こういうとき、影は濃くなるんだろうか?どうだろう?分からないな、というような内容の話。影の濃さは光源との関係で説明できそうな気がするけど、それはそれとして、実際、分からないままのことって沢山ある。

 例えば、雨の降る景色を眺めるとき、自分は雨を見ているんだろうか?それとも雨によって乱れた景色を見ているんだろうか?

 多くのことは分からないまま、日常は過ぎていく。


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